【リアス線おもしろ旅①】久慈駅から4時間23分の旅が始まった
筆者はリアス線の北の端、久慈駅を旅の出発点とした。せっかくだから盛駅まで通して走る列車に乗ろう。ところが、久慈駅発、盛駅行きの1本目の列車は朝の5時52分発と、かなり早いので諦める。そして2本目の朝8時5分に発車する列車を選んだ。
朝8時5分発の列車であっても、盛駅着が12時28分着とほぼ半日かかる。“乗りで”はかなりのものだ。筆者は近年、新幹線や寝台列車は除いて、4時間30分近く、列車に乗り続けることはまず無かった。長時間乗車して、果たして飽きないだろうか? 体力的に持つだろうか? と心配になる。
久慈駅のホームは跨線橋を渡った専用ホーム。ここに8時5分発の列車が停車していた。36-700形、702号車と703号車の2両編成だ。702号車は釜石市の中学校の生徒さんたちが描いたイラストが車体に入る。席は4人用のボックス席が主体、久慈駅側、先頭の左右の座席は2人席で前面が見わたせ、まるで“特等席”のような造りになっている。
JR久慈線の列車を待合せ、さらに旅行会社が企画したツアー客が乗車したこともあり、席は満杯。座り切れず立って乗車する人が少しいたほどだった。
久慈駅を発車した列車はしばらくの間、内陸を走る。2つめの陸中野田駅の先から海岸線に沿って走り始める。今回、リアス線に乗車して、やはり気になるのは東日本大震災の復興がどのぐらい進んでいるのかだった。
海沿いの標高の低い地域は、津波の被害をかなり受けている。そうした地区では家々の片づけもほぼ終わり、海沿いには高さ5mとされる巨大な防潮堤が築かれていた。その防潮堤の工事も最終的な局面を迎えている箇所が多い。
陸中野田駅の先で見られるのも、こうした巨大な防潮堤だ。場所によっては威圧感すら感じるほどせせり立っている。
【リアス線おもしろ旅②】大倉橋梁は北リアス最大の魅力ポイント
野田玉川駅を過ぎ、列車は徐々に標高を上げていく。トンネルが続くようになり、トンネルとトンネルの合間から青い海が覗く。次の堀内駅までの間にある安家川(あっかがわ)橋梁、さらに堀内駅の先に大沢橋梁がある。それぞれ橋梁から素晴らしい眺めが楽しめるように列車は橋の上でいったん停車する。
2つの橋梁のうち、大沢橋梁は旧北リアス線では、最も眺望が素晴らしいとされる。高さ30m、長さ176mの橋梁で、平行して走る国道45号から撮影した写真は、三陸鉄道のベストポイントと称されることが多い。
大沢橋梁を過ぎると、列車は内陸部へ入っていく。あとは田野畑駅、または田老駅(たろうえき)付近で海が遠くに見えるぐらい。山間を抜けるトンネル区間が長く続く。
久慈駅から乗車した団体客は普代駅(ふだいえき)で下車していった。この先、トンネルが続き、変化が少ない区間となるだけに、旅行会社は賢明なルートを選択していたと感じた。
【リアス線おもしろ旅③】変化に富んだ路線が魅力の旧山田線
乗車した列車は宮古駅に到着した。駅では15分ほどの停車時間があったので、構内の売店でお弁当や飲み物を購入するためいったん下車した。列車に戻ってびっくり。乗客がどっと乗ってきた。満員電車とはいかないものの、かなりの立ち客が出たほどだった。
筆者が訪れたのはGW期間中、さらに新線となって1か月ちょっとのため、物珍しさもあったのだろう。宮古駅からは旅行会社のツアー客も乗車してきた。新線のリアス線だけに旅としても“新鮮”なのでしょう(お粗末でした)。
筆者は始発駅からの乗車ということもあり、席に座っていたのだが、立ち続ける人たちの視線を感じつつ、やや肩身の狭い思いをしながらの旅となる。乗車した翌日に、宮古駅〜釜石駅間を再乗車。気になる駅で降りてポイントを巡ってみた。そんな沿線の風景を中心に旧山田線区間を紹介しよう。