【リアス線おもしろ旅⑦】釜石駅ではSL銀河との出会いも楽しみ
両石駅から釜石駅へ、列車はいったん山間へ入り、釜石の町には西側から入っていく。街に入る手前でJR釜石線と合流する。花巻駅と釜石駅を結ぶJR釜石線といえば、現在は週末を中心に運転される「SL銀河」が名物となっている。路線の途中にある遠野は民話の里としても良く知られている。
乗車した盛駅行き列車は釜石駅までは“すしづめ”状態に近かった。図らずもリアス線の人気を実感することになった。釜石線では、旅行会社のツアー客が下車してしまう。そして沿線の人たちも大半が降りていった。釜石がやはり三陸沿岸では拠点となる街であることが分かる。
とはいうものの、宮古駅から釜石駅まで乗車時間1時間28分。立ちっぱなしの方々には頭が下がる思いだった。
【リアス線おもしろ旅⑧】旧南リアス線では吉浜駅近くが名所に
釜石駅からはほぼボックス席が埋まるぐらいの利用者が乗りで終点の盛駅に向かう。
旧南リアス線の沿線は、北リアス線と趣が似ている。内陸をトンネルで突っ切り、海岸エリアでは高架となった路線を走り、海景色がところどころで楽しめる。車窓から見る景色で一番のお勧めは唐丹駅(とうにえき)〜吉浜駅間だろう。とくに吉浜駅近くから眺める吉浜湾の眺めがなかなかだ。
旧南リアス線の途中駅で注目しておきたいのは恋し浜駅だろう。実はこの駅、南リアス線の開業時には小石浜駅と名付けられた。その後に地元で収穫されたホタテを「恋し浜」のブランドで売り出したことから、2009年に駅の名も「恋し浜駅」と改名された。ホームには幸せの鐘を設置されていて、恋愛成就に御利益あり人気がある。
列車はやや長めに停車するので、ホームに降りて、鐘を鳴らしてみてはいかがだろう。ちなみに「恋」という名が付く駅は日本で4か所あるのだそうだ。恋し浜駅はその中の貴重な1駅というわけである。
恋し浜駅を過ぎれば、あと残りは数駅。長かった旅も終わりに近づいた。盛川を渡り、駅の手前で旧JR大船渡線の線路跡(現在はBRT専用道として利用)と並走して、今回の旅の終着駅となる盛駅のホームに到着した。
4時間23分の変化に富む“長旅”は無事に終了したのだった。
盛駅の先は大船渡線BRT(バス高速輸送システム)に乗換える人が多かった。鉄道に比べて、輸送力に課題があるように感じたが、途中に陸前高田といった被害が大きかった街もあることから、これも致し方ない運行方法なのだろう。