今月はリーフの高性能版とI-ペイスという日英のピュアEV、そして1999年以来約20年ぶりの復活となったBMW 8シリーズをピックアップ。エコなEVとラグジュアリーなクーペという異色の組み合わせですが、意外な共通点もあります。それは走りの楽しさが見出せることです。
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【その1】一層長い航続距離と力強さを獲得した国産最強EV
日産 リーフe+
【ハッチバック】【試乗】
SPEC【G】●全長×全幅×全高:4480×1790×1545㎜●車両重量:1680㎏●電気モーター形式:交流同期電動機●最高出力:218PS/4600〜5800rpm●最大トルク:340Nm/500〜4000rpm●バッテリー総電力量:62kWh●WLTCモード最大航続距離:458㎞
満充電からの最大航続距離はガソリン車と同等レベル
リーフe+における最大の見どころは、やはりバッテリー容量を従来型より55%アップして実現した“アシの長さ”です。航続距離は、リアルな使用環境に近いWLTCモードでも458㎞。JC08モードでは570㎞に達し、これはそれぞれ322㎞と400㎞の従来型比で約40%のアップとなります。実際、今回はあれこれと意地悪くテストしてみたのですが、満充電から400㎞近くを走破。普通に走らせれば400㎞超えは楽勝だったはずで、この点に関してはもはやガソリン車と比較しても遜色がありません。
だが、実はそれ以上に印象的だったのが従来型よりパワーとトルクが68PSと20Nm高められた電気モーターの走り。単に従来型より速いというだけではなく、アクセルを踏み込んだ際の加速が実に心地良いのです。特に中速域から感じられる伸びやかなフィールは、リーフe+独自のキャラクターと呼べる出来映え。走りが楽しい電動モデル、という意味でも積極的にオススメできる一台です。
【注目ディテール01】エクステリアは従来型と変わらず
エクステリアの基本的な仕立ては併売されるリーフと変わりません。ボディカラーは、写真のようにルーフを塗り分けた2トーン6色と、モノトーン8色の合計14色をラインアップ。
【注目ディテール02】「eペダル」は専用設定
発進から停止までをアクセル操作だけで行なえる「eペダル」は専用セッティングに。「プロパイロット」を筆頭とする運転支援機能も先進のものを装備します。
【注目ディテール03】室内の使い勝手は従来型と同等
バッテリーの総電力量が40kWhから62kWhへと増量されています。エネルギー密度を25%向上させましたが、レイアウト変更で室内の広さは従来型リーフと変わりません。
【その2】復活を遂げた本格ラグジュアリークーペ
BMW 8シリーズ・クーペ
【クーペ】【試乗】
SPEC【M850i xドライブ・クーペ】
全長×全幅×全高:4855×1900×1345㎜●車両重量:1990㎏●総排気量:4394㏄●エンジン形式:V8DOHC+ツインターボ●最高出力:530PS/5500rpm●最大トルク:750Nm/1800〜4600rpm●WLTCモード燃費:8.3㎞/ℓ
ラグジュアリーな味わいとリアルスポーツ級の速さを両立
M850iクーペは、どこから見ても超ハイパフォーマンスぶりを主張してくるモデル。搭載する4.4ℓのV型8気筒ツインターボエンジンは、爆発力の強大さを知らしめる鼓動音を響かせながら一気に吹け上がます。その凄まじいばかりの加速に、全身の筋肉が緊張を覚えるほどです。
シャシーも鍛え上げられ、ステアリングをズバッと切れば、ノーズもすぐに向きを変えるダイレクト感が楽しめます。それでいて、クルージング中は刺激を抑え込み、ラグジュアリーなクーペらしい一面も確かめられました。BMWのクーペとしては実質的に6シリーズの後継となるモデルですが、そのパフォーマンスは「8」の名が示す通り、格段に底上げされています。
【注目ディテール01】室内はデジタル化が徹底
上質であるだけでなく、デジタル化された室内。メーターは12.3インチディスプレイとなり、最新の運転支援システムも網羅します。
【注目ディテール02】V8ツインターボ+4WD
エンジンは特殊なコーティングをシリンダーに施した4.4ℓのV8ツインターボ。4WDの「xドライブ」を組み合わせてハイパワーを発揮します。
【注目ディテール03】オープンモデルもデビュー済み
日本仕様の8シリーズ・クーペはM850i(1714万円)とオープンボディのカブリオレ(1838万円)。新たに、ディーゼルモデルも登場しました。
【その3】EVでもジャガーらしさは全開!
ジャガー I-ペイス
【SUV】【試乗】
SPEC【SE】●全長×全幅×全高:4695×1895×1565㎜●車両重量:2240㎏●駆動方式:電動モーター×2全輪駆動(AWD)●最高出力:400PS/4250〜5000rpm●最大トルク:696Nm/1000〜4000rpm●WLTCモード航続距離:438㎞●WLTCモード電力量消費率:224Wh/㎞
静粛性にすぐれ加速はスポーツカーと同等
迫力のあるワイド&ローシルエットで、ジャガー初となる100%EVが登場。試乗して感じたことは、とにかく静か。先進の密閉型モーターで騒音を抑えると同時に、合理的な外観のデザインで風切り音もカット。高速走行時は、ロードノイズの遮断性を、より如実に感じられました。
スポーツカー同等の0-100km/h加速5秒を切る性能を備え、アクセルを強めに踏み込むと加速感は十分。それでいてアクティブエアサスペンション装着車での乗り心地は、マイルド。さらにダイナミック、コンフォート、エコ、雨・雪・氷のモード切り替えも可能。地球60周ぶんの過酷なテスト走行を経ただけあって、従来のEVとは一線を画す「走り」です。
【注目ディテール01】エアインテーク
SUVには珍しいエアインテークダクト付きのボンネット。空気抵抗を低減させ、爽快な走りを実現します。空気抵抗係数(Cd値)は0.29を達成。
【注目ディテール02】Touch Pro Duoシステム
ジャガー初の「Touch Pro Duo」搭載。例えばセンターに位置する上部の10インチでナビを、下部の5インチ画面でマルチメディアの設定が可能です。
【ギャラリー(本サイトから閲覧できます)】
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その1:文/小野泰治 撮影/郡 大二郎
その2:文/萩原秀輝 撮影/郡 大二郎
その3:文/野田浩樹(本誌) 撮影/我妻慶一