ホンダが開発した歩行者ダミー「POLAR」。傷つきボロボロになることが人の安全につながる
ホンダのEEVC(サブシステム試験法)に使用される歩行者ダミー人形「POLAR」は、数多くのセンサーを搭載でき、最大128か所の衝撃データを計測することが可能。その開発は1988年から始まり、最新モデルのPOLARⅢへと進化を遂げています。開発当初のモデルは前進挙動を再現するだけでしたが、2世代モデルでは全身挙動の精度を向上させ、各部の傷害値を計測できるようになり、現在の3世代モデルでは腰部・脚部の人体忠実度を上げ、胸部傷害値計測精度もアップデート。
EEVCと呼ばれるテストはホンダ車が、歩行者の損傷度合いをデータ化するもので、実験で収集されたデータはホンダのクルマ作りに反映されます。そのデータをもとに開発されたボディは、歩行者との交通事故による死亡率を下げるとともに歩行者の衝撃をクルマの構造で和らげます。人に優しいクルマ作りはホンダの安全性における重要なファクターなのです。POLARに刻まれた傷は「人を守る」ための勲章。今後は歩行者だけでなく自転車に乗った状態でのテストを行うため、ホンダでは新たなるダミー人形の開発を進めているといいます。