【国鉄形④EF67形式】EF65を改造した後期型もあとわずか
製造年 | 1982年〜1990年(現存車両数3両) |
現存車両の内訳 | JR貨物3両(広島車両所に配置) |
EF67形式直流電気機関車はJR貨物の機関車の中でも特異な存在だ。山陽本線には通称「瀬野八(せのはち)」と呼ばれる急坂の区間がある。瀬野駅と八本松駅(はちほんまつえき)の区間がその急坂区間で、上り路線には22.6パーミル(1000m走る間に22.6mを登る)という急勾配がある。電車ならば問題なく登りきれる勾配も、最大26両というコンテナ貨車を牽引する貨物列車の場合、いくら強力な新型電気機関車を使っても登りきることができない。
そこで瀬野八では、後押しをする電気機関車(補機)を連結して走る。この後押し用の機関車として開発されたのがEF67形式だ。1982年からはEF60形式を改造した基本番台が造られ、1990年にはEF65形式の0番台を改造したEF67形式の100番台が導入されている。
100番台は厳密にいえばJRになった後に生まれた車両だが、改造される前の車両がEF65形式の初期形で、元の車両の姿を今も留めているので、国鉄形としてここでは扱いたい。
EF67形式は最盛期に8両が稼働していた。しかし、30年以上、稼働し続けてきたことから後継のEF210形式300番台を開発、2013年3月から稼働し始めた。EF67形式は古い基本番台からEF210形式300番台への引き継ぎを行われ、現状、EF67形式は100番台の3両のみが残る状況となっている。
後押し用の新型EF210形式300番台はすでに10両が製造されている。この300番台は後押しだけでなく、山陽本線などの貨物列車の牽引にも利用されている。瀬野八以外も走る300番台の使われ方を見ると、残るEF67形式は車両の寿命を見ながらの運用が続くと見て良さそうだ。
【国鉄形⑤ED76形式】過去には九州で寝台列車を牽いた交流機
製造年 | 1965年〜1979年(現存車両数10両) |
現存車両の内訳 | JR貨物10両(門司機関区に配置) |
ED76形式は国鉄が開発、九州と北海道に配置した交流用電気機関車だ。旧形の交流用電気機関車に比べて扱いやすいシリコン整流器を装備、貨物用、旅客用に計139両が造られた。基本番台は普通列車用に、1000番台は高速列車の牽引用として1970年から1979年にかけて増備され、寝台特急「はやぶさ」などの牽引にも使われた。
ちなみに北海道用は500番台で、九州用とは異なり、前面の中央に貫通扉が設けられていた。
JR北海道とJR九州に引き継がれた車両はすでに無く、残るED76形式はJR貨物の車両のみ。全車両が九州で使われる。ちなみにED76形式は、JR貨物に残る唯一の動輪4つ(D級車)の電気機関車となっている(他はF級車)。
運用される区間は鹿児島本線、長崎本線と日豊本線。基本番台も2両(81号機と83号機)が残って、走り続けている。ED76形式は新しい車両であっても1979年8月生まれですでに40年選手。将来が危ぶまれるところだ。今のところ引き継ぎが可能な新しい交流電気機関車の増備がないことから、〝貴重な戦力〟としてしばらくの間は走り続けることになりそうだ。