【国鉄形⑥EF81形式】銀窯・ローピン窯!九州では注目の存在に
製造年 | 1968年〜1992年(現存車両数29両) |
現存車両の内訳 | JR貨物19両(門司機関区に配置)、JR東日本7両、JR西日本3両 |
国内の電化区間は、直流方式、そして交流方式の50ヘルツ区間と、60ヘルツ区間といったように3電源で電化されている。この3電源を通して走れるように造られたのがEF81形式交直両用電気機関車だった。この電気機関車の登場で、初めて日本海側を走る北陸本線、信越本線、羽越本線、奥羽本線を通しての列車の運行が可能になった。そのため国鉄分割民営化後も、JR貨物だけでなしに、JR東日本、JR西日本でも活用され、特急「トワイライトエクスプレス」といった寝台列車の牽引を長年こなした。
便利さゆえ、JRになった後もJR貨物で新造、計164両の車両が造られた。そんな国鉄が生み出した〝名機〟だったが、ここ数年でEF81形式を取り巻く状況が大きく変わっている。
残るEF81形式で、最も大所帯のJR貨物ではあるが、すでに日本海縦貫線での運用はなくなり、九州のみを残すだけになっている。とくに減少が著しいのが、基本番台と呼ばれるシリーズ。717号機から735号機まで7両が残されるが、実際の運用は716号機と717号機の2両に限られているようだ。この2両はローズピンク色の外観から“ローピン窯”と鉄道ファンから呼ばれる。
基本番台とともに注目を集めるのが300番台機。関門トンネルを通り抜けるために造られたEF81だ。海水による腐食を防ぐため外板がステンレス製で、その色から〝銀窯〟と呼ばれる。同形タイプが4両造られたが、現在は303号機のみが稼働するのみ。貴重な車両となっている。
300番台に次ぐ400番台は、国鉄最晩年の1986年から87年にかけて重連運転ができるように基本番台を改造したもので、現状2両のみが稼働する。
残りの450番台、500番台はJR貨物が増備した機関車で、こちらはJR更新色と呼ばれる白地に水色カラー、前照灯の位置など変更した車両もあり、それまでのEF81形式とは装いを変えた車両も含まれる。
九州地区で活躍するEF81形式だが、その中で、基本番台と300番台は車歴が古いだけに、今後が気になるところ。幡生(山口県)〜博多貨物ターミナル駅間には、EH500形式が入線しているが、ほか九州の路線にEH500形式が入るためには路線の整備が必要となる。EH500形式以外の九州向け後継機が現れないことから、ED76形式を含め、減りつつも、当分の間は使われていくことになりそうだ。
【国鉄形⑦JR東日本の機関車群】気になる存在の車両がずらり
JR東日本に残る国鉄形電気機関車 | EF60形1両、EF64形8両、EF65形6両、EF81形11両、ED75形5両(EF58形があるが保留車なので除外) |
JR貨物と並び、国鉄形電気機関車の宝庫となっているのがJR東日本。観光列車・客車の牽引のほか、レールの運搬列車、事業用車の牽引、さらに配給列車(JR東日本管内で新造車両・回送電車を牽引する列車のこと)の牽引と、主に事業用車としての役割を担う。
残る車両の中で注目されるのはEF60形直流電気機関車。残る1両は1962年に製造された19号機で、すでに57年と古参そのもの。
ほかにEF65形直流電気機関車の500番台で唯一残る501号機。さらにEF64形直流電気機関車の基本番台として最後の1両となった37号機も残る。
いずれの車両も、回送されるたびに「廃車か?」と話題となり、また秋以降は引退なのでは? という予測情報が飛び交う。
これらの希少車両は、高崎車両センター高崎支所に配置されている。事業用に使われる以外には、この秋は高崎車両センターの機関車を利用した「ELぐんま よこかわ」「ELぐんま よこかわ」「ELぐんま みなかみ」「ELぐんま」などの列車が運転の予定だ。
EF60形はごく最近の情報では2019年8月17日に「あきた鉄道フェア」に展示されたのが最後となっているが、ほかの電気機関車は秋の観光列車の運転でフル回転しそう。
直流電気機関車、交直両用電気機関車以外に、JR東日本にはED75形交流電気機関車が5両残っている。すでにJR貨物からは消えた電気機関車でこの車両の動向も気になるところだ。現在JR東日本のED75は、レール輸送と臨時観光列車の牽引を主に行っている。
今から2年ほど前にJR東日本では、キヤE195系というレール輸送用の新型気動車の導入を発表した。東北地区向けということもあり、こちらの本格運用がここ数年中には行われることになりそう。となるとED75形はそれに合わせて車両数が減っていくことになりそうだ。ED75形は東北のみの運用なので、情報がなかなかキャッチしづらいが、早めに見て、撮っておいたほうが良さそうだ。