【天浜線の秘密⑦】木の床が残る三ケ日駅の駅舎にびっくり!
三ケ日(みっかび)は、ドライブをする人にとっては馴染みの深い地名ではないだろうか。東名高速道路には三ケ日ICがあり、東名高速道路と新東名高速道の分岐点には三ケ日ジャンクションの名前が付く。いずれも緑に包まれ、少し走ると浜名湖が見え、風光明媚という印象が強い。
さて天浜線にも三ケ日駅という三ケ日地区の玄関口となる駅がある。この駅も登録有形文化財に指定されている。天浜線では最初に路線が開業した区間にある駅で、駅舎は1936(昭和11)年に開業した。
この三ケ日駅、訪ねてびっくりしてしまった。駅舎内の床が木なのである。それも長年、使い込まれていて、適度に表面がすり減り、木の節(ふし)が浮かび上がっている。
踏むと木の床特有のきしみ音が。とはいえ、踏みしめたら壊れそうという印象はなく、年期が入った魅力がにじみ出ている。木造校舎のそれに近い。廊下など、木の床は歩き、また走ると足裏に感じる弾力とともに、“キシッ”、“ミシッ”といった音が聞かれたものだった。
三ケ日駅を訪れると、そうした今ではなかなか体験できない懐しさが、歩いて、また音から込み上げてきたのだった。
【天浜線の秘密⑧】5つの橋が登録有形文化財に指定される
前述したように天浜線では登録有形文化財に指定された施設が36件にも及ぶ。駅とともに登録有形文化財に指定された施設が多いのが橋だ。
現在、路線では5つの橋が登録有形文化財に指定されている。すべてが1935(昭和10)年、もしくは1940(昭和15)年に造られたものだ。ほとんどがガーダー橋と呼ばれるシンプルな構造の橋となっている。
唯一、形が違うのが二俣本町駅と西鹿島駅の間に架かる天竜川橋梁。ガーダー橋と、橋上に三角形の鉄骨をつないだトラス橋との組み合わせになっている。
天浜線を訪れた時には、こうした橋の構造にも注目してはいかがだろうか。
【天浜線の秘密⑨】天竜二俣駅で行われる転車台見学ツアーが人気
天浜線の登録有形文化財として注目度が高いのは、天竜二俣駅に隣接する車両基地内にある転車台と扇形車庫だろう。
国鉄二俣線では1971(昭和46)年3月いっぱいで路線の無煙化が完了したが、その前まではC58形蒸気機関車が使われていた。この機関車の方向を変更する時に使われたのが、この転車台だった。扇形をした車庫に入線する時にも、この転車台により車両の向きを変える必要があった。転車台と扇形車庫は1セットとして使われていたわけだ。
転車台と扇形車庫が残された駅は全国にいくつか残るが、天竜二俣駅のようなコンパクトな造りは稀だ。良く残ったものだと感心させられる。
天竜浜名湖鉄道では、この転車台と扇形車庫を巡る見学ツアーを毎日実施している。週末になると、なかなか人気のツアーで、わざわざ浜松駅から、遠州鉄道と天浜線を乗り継いで訪れる人も多い。
ツアーに合わせて、車両がぐるりと回る光景が見学できる。さらに週末には車両に乗車したまま、洗車機を通り、さらに転車台で回転を体験できる「洗って!回って!列車でGO!」というスペシャルツアーも開催され、人気となっている。
ちなみに「転車台&鉄道歴史館ツアー」(所要45分)は毎週土・日曜・祝日の10時50分〜と13時50分〜の1日2回、平日は13時50分〜の1回で、ツアー料金は300円(天浜線利用者は200円)。
「洗って!回って!列車でGO!」(所要45分/要電話予約)は土・日曜・祝日の開催で、一般参加者は11時30分〜のみ(20~50名の団体の場合は毎日11時30分~、13時50分~の開催)で、ツアー料金は500円となっている。