【注目その④】8月初旬から運転手が群馬大で教習を開始
相鉄バスは今回の実証実験を行うにあたり、どのように対応したのだろうか。
まずは実験用の車両の提供を行った。さらに実験に携わる人材を社内から募集した。当初は手を上げる人材がいるかどうか、心配したそうだが、多くの者が手をあげた。
結果、12人の運転士が選ばれ、8月上旬から群馬大へ出向いて、教習を受講、実際にテスト走行を体験した。そして運転方法、操作方法を学んだ。
将来を考えて、こうした自動運転の機能を少しでも知っておきたい、慣れておきたいという運転士の人たちが多かったということなのだろう。
群馬大との共同作業で、運転士の研修期間中にも、自動運転の技術が徐々に向上する様子が見て取れたとか。さらに今回の自動運転では、ハンドルに触れずに、とはいえ、ハンドルを常に手でサポートする状態に置いておかなければいけないことから、両腕をサポートする肘あてを取り付けた。
こうした現場の声というのは、これからの自動運転を進める上で大きく役立っているように感じられた。
【注目その⑤】自動運転開始!まず走る様子を外からチェック
今回の実証実験は、実際に一般の利用者を乗せて走るが、今回は、その前に報道陣を対象に試乗運行が行われた。
筆者は2便に乗車するとあって、まずは1便が走る様子を、正門前のロータリーで見学した。発車時間に合わせ報道陣を乗せて出発する。バス停からすでに自動運転が始まっていたそうだ。通常の手動運転を行うバスのようにスムーズに出発していった。
元の車両がハイブリッドとあって、発進音も静かだ。ロータリーを回って、交差点ではいったん停車し、左右を確認。左折して道路へ出る。スピードは遅めながら、普通のバスと変わりない。
さて、里山ガーデンに向けて発車したバス。30分ほどで戻ってきた。戻るバスは道路から動物園正門前のロータリーへ入るところで見守った。
通常の路線バスも多く行き来しているが、他のバスの走りよりは遅い。遠くに見えてもなかなか近づいてこない。時速20kmだから当然といえば当然か。後続車両がしびれをきらしたのか、追い越しをする光景が見受けられた。
【注目その⑥】自動運転中、運転士はハンドルのサポートに徹する
さ〜て、自動運転のバスの乗車の順番がやってきました。どのような感じなのだろう。正門前のバス停を出発した。スムーズに道路へ出る自動運転のバス。
運転席に近づくと、“あぁ、なるほど”といった印象。運転手が、ハンドルを触れずに、何かがあった時にそなえて、サポートしている。付かず離れずそのものの印象だ。この姿勢のキープは大変そうで、前述した肘あてがないと辛いだろうなと感じた。
道路に出る時は、「左右の安全を確認してください」という運転士向けにシステムからのアナウンスが行われる。こうしたアナウンスは各所で流されていた。運転士は安全が確認できたら、左足下にある青いペダルを踏み、確認したことをシステムに伝えている。
ゆっくりゆっくりと折り返しの里山ガーデンを目指す。この間、並木道が続く。折り返しの里山ガーデンでは、この自動運転を行っていたバスへ関心を持つ人の姿が目立った。多くの人が話していたのは、
「すごい!自動運転のバスだって」。
「このバス、運転士さんが乗っていないのかな」。
自動運転にはその技術によりレベルの差があり、運転士が不在の完全自動運転化は、まだ先のことになりそうである。一般の人たちには自動運転の現状があまり認識されていないことが感じられた。こうした自動運転の啓蒙が今後も必要になるのだろうと感じられた。