もう一方のMEGA WEBの展示は?
青海展示棟のトヨタメインブース以外にも今回はトヨタのショーケースとして親しまれているお台場のMEGA WEBを会場として『フューチャーエキスポ』と題した展示が行われました。このエリアにはモーターショーのお客様だけでなく、MEGA WEBのお客様も無料で入場が可能で、お台場に遊びに来てモビリティの未来を体感できたのです。その中でAIエージェント搭載の未来のモビリティ「トヨタLQ」や来年発売と言われる「ホバーバイク」などが注目を集めていました。
【NEC「空飛ぶクルマ 試作機」】
MEGA WEBの会場に入ってすぐに展示されていたNECの空飛ぶクルマに、いきなり未来感を感じさせられました。空飛ぶクルマは飛行機じゃないの?という疑問の声が聞こえてきそうですが、これまでの飛行機よりはドローンに近い感じで、よりパーソナルなモビリティとして位置づけます。滑走路とパイロットが必要なこれまでとは違い、未来では玄関先からすっと飛び立ち、目的地に向かえるような、現在の「クルマ」的意味合いから、空飛ぶクルマと位置づけられます。NECがこのプロジェクトに参画しているのは、これまで培ってきた航空、宇宙、防衛システムによるものが大きく、2030年代に向けて、現在も実験が繰り返されています。
【対話型救助用パッセンジャードローン「SUKUU」】
プロドローン社が開発した「SUKUU」は要救護者を1人乗せて、遠隔操作でパイロットが安全に救助するためのドローンです。救護者を安心させ、安全に救出させるための声がけをしながら救助活動が行われます。また、コンパクトに折りたたむことができるので、クルマへの積載が可能になっており、非常時の機動力を高めます。
【ホバーバイクA.L.ITechnologies「XTURISMO」】
2020年に発売を予定しているホバーバイク。ガソリンエンジンにより駆動されるメインのプロペラで浮上し、ドローンのような電動モーター駆動の四隅のプロペラで推進力を得、姿勢制御をします。法律の問題などを含め、一般公道での実用化にはまだ数年が掛かりそうですが、浮上することによるメリットも期待されています。単に乗って楽しむモビリティではなく、災害時にタイヤ付きの乗り物では走破が難しい環境などでのモビリティ機能も新たな可能性を示しています。
【トヨタ「LQ」】
AIエージェント「YUI」を搭載し、クルマと人との相互のコミュニケーション関係を提案したモビリティです。単なる移動手段のクルマから愛車としての関係性をAIエージェントのYUIを介して築きます。今回は実車の展示だけでなく、VR体験をすることもでき、AIエージェントとの関係がより身近に感じられました。
モビリティの会社であるという覚悟
ここまで見てきてわかるように、トヨタはクルマではなく、人を中心とした未来のモビリティ社会をプレゼンテーションしたのです。遊びに参加するとポイントがもらえ、そのポイントによってブース内の「トヨタコンビニ」でノベルティグッズをもらえるなど、これまでのモーターショーのブースとは雰囲気が大きく違いました。子どもから大人まで、皆が楽しめ、体感できるスペースが今年のトヨタブースだったのです。
前回の「東京モーターショー2017」でトヨタはすでに、今回への布石を投じていました。しかし、この2年の世の中の変化は大きく早かったのです。自動運転、次世代エネルギー、危険回避、高齢者の操作ミスによる事故などを始めとするトピックスが数多くあり、ものすごいスピードでの変化にトヨタはいち早く答えようとしました。2年前も、今回のLQのようなシームレス化を見据えた、未来のインテリジェントカーの方向性を示すモビリティプロジェクトは始動していました。
しかし今回はそのスケールが違いました。本格的に従来型の自動車(車両)メーカーアプローチからIoTやAIを駆使したモビリティカンパニーへの変革を他メーカーに先駆けて打ち出したのです。そういう大きな変化を子ども世代から体感、体験を通して将来へつなげていくアプローチを採用。e-ブルームやマイクロパレットなどには特にそんな想いが強く出ていました。「とにかく楽しむ」これまでのモーターショーでは出てこなかった夢のある人の生活の未来を一番強く打ち出していたのでした。
楽しく参加していた子どもから大人までの表情を見れば、カーメーカーからモビリティメーカーに変化していくトヨタのプレゼンテーションは成功していたと思えました。
とにかく楽しむ…。子どもの頃にモーターショーのステージという特別な場所で未来のクルマに乗り記念撮影をした思い出、魔法のホウキにまたがり未来に触れてワクワクした思い出は、男の子にも女の子にも深く心に残るものとなったはずです。MEGA WEBでの展示も含め、モータリゼーションからモビリティに変化していく第一歩を体験でき、感じさせられたトヨタブースだったといえます。自動運転のクルマだけでなく、愛馬のようなクルマの必要性も示していくといいます。そして、公共性と個の未来を示すモビリティメーカー「トヨタ」はその牽引役として一歩先を行っていました。
撮影/中田悟、大塚 deiv 治
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