乗り物
2019/12/19 19:05

自動運転技術の現在・未来。「MaaS」で人々がより便利になるために必要なテクノロジー

誰もが気軽に乗れてスムーズに目的地まで運んでくれる自動運転技術。その技術はどこまで到達したのか。MaaS(マース ※Mobility as a Serviceの略)を通して考えてみました。そもそもMaaSとは、バス、電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステムのこと。

 

MaaS×自動運転の答えのひとつがトヨタが発表した「e-Palette」だ

↑2018年1月、米国ラスベガスで開催されたCESでトヨタが提案した「e-Palette Concept」。常時通信、自動運転技術を活用したMaaS専用EVです

 

自動運転を一般車にまで広げるハードルはまだ高い

少し前までクルマの自動運転が新たなモビリティとしてクローズアップされる時期がありました。自動運転はいますぐにでも実現しそうな雰囲気が生まれ、日本はその分野で後れを取っていると言われました。

 

しかし、2018年3月に米アリゾナ州で発生した自動運転車による初の歩行者死亡事故を契機に、それまでの流れは一気に変わることになります。この事故で判明したのが、一般車にまで自動運転技術を拡大するのはかなりハードルが高いこと。もともと自動運転の領域にいますぐ踏み込むことに懐疑的な意見があったこともあり、まずは運転をアシストする技術を磨くことを先決とする自動車メーカーも多かったのが事実。衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシスト、アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)などの技術を磨き、そのうえで技術レベルと経験値が上がった段階で少しずつ自動運転へと踏み込んでいく。現状ではその考え方に立って技術革新が進められている状況です。

 

身近な自動運転車として実現しそうな低速型モビリティ

一方で自動運転が早い時期に実現しそうなのが「低速型モビリティ」。時速20km未満で走行するシャトル型モビリティで、この速度であれば緊急時にも素早く停止できます。歩行者やほかの車両が混在するなかで、一定の安全性を担保できるのが時速20kmという考え方です。現状では万一に備えて監視員が乗車していますが、車両にはハンドルはありません。各車両が自律で周囲をセンシングし、設定された地図データの下で自動走行を行っています。実証実験は世界中で行われており、最近では無人での遠隔操作も試されています。MaaSで提案されるモビリティはこうした車両で運用されることがほとんどで、その車両は人を運ぶだけでなく、必要に応じて車体を載せ替えて物流や店舗として利用されることも。そのきっかけを生んだのはトヨタが発表した「e-Palette」です。それまで曖昧模糊としていたMaaSにおける自動運転のスタイルが、この提案で一気に加速することになったのです。

 

↑トヨタの豊田章男社長は「e-Paletteはオープンかつフレキシブルなプラットフォーム」と提言しました

 

↑「e-Palette」は1日で様々な仕様に変更可能。写真の場合はピザのデリバリーサービスカーとして配達します

 

日本やアジアでMaaS×自動運転の熱が急上昇中!

日本

【小田急】実用化に向けて江の島の公道で試験運転を実施

地域交通の要であるバスは、MaaSでは重要なモビリティ。自動運転の実用化に向け、江の島で試験運転されました。

 

シンガポール

【WILLER】大型植物園で自動運転の有償サービスを開始

WILLERはシンガポールで自動運転の実証実験を開始しました。自動運転によるオンデマンドバスの実現を目指します。

 

中国

【百度】MaaS向け自動運転車プラットフォーム「Apollo」

中国IT大手「百度」がMaaS向けの自動運転車のプラットフォームを構築。130以上の企業が参画しています。

 

 

2019年から2020年にかけて、自動運転のレベルが高度になる!

自動運転技術は着実な進化を遂げており、日産は新型スカイラインに一定条件下でハンズオフ(手放し)運転を可能にした「プロパイロット2.0」を搭載して発売しました。トヨタは2020年夏に自動運転レベル4での同乗試乗会を東京・羽田地区や臨海地区で開催予定。日本の自動運転技術は一気にレベルアップしそうです。

 

【2019】日産スカイラインに搭載された「プロパイロット2.0」でハンズオフ運転が可能に

↑新型スカイラインに搭載された「プロパイロット2.0」。3D高精度地図と360°センシングによってハンズオフ走行を実現しています

 

↑「プロパイロット2.0」は赤外線センサーでドライバーが前方を視認していることをチェック。制限速度内でハンズオフ走行が可能に

 

【2020】「レベル4」の自動運転実現に向け「東京2020自動運転実証」を実施

↑トヨタの自動運転・ロボティクス研究開発部門TRIは、2020年夏に実証実験車TRI-P4を使い、レベル4の同乗試乗会を行います

 

↑TRI-P4に搭載される自動運転ユニットは一般車への取り付けを前提に開発。ライドシェアでの利用を想定しているといいます

 

文/会田 肇

 

【フォトギャラリー(GetNavi webにてご覧になれます)】

TAG
SHARE ON