【大村線の秘密⑥】大村線の難読駅、南風崎は何と読む?
車両の話がつい長くなったが、大村線の旅に戻ろう。
ハウステンボス駅の次の駅は南風崎駅だ。南の風の崎と書いて「はえのさき」と読む。早岐(はいき)も難読駅だが、南風崎を最初からしっかり読める人は、かなりの鉄道通と言って良いだろう。他に大村線には彼杵(そのぎ)、諌早(いさはや)と読み難い駅名が複数ある。
ちなみにこの駅名が付いた理由は、地元の南風崎港(はえのさきこう)が知られていたことからだそうだ。明治時代に唄われた「鉄道唱歌」にも難読駅ということで「南の風をはえと読む 南風崎過ぎて……」と読まれている。
【大村湾の秘密⑦】大村湾が目の前に!千綿駅が超人気な理由
南風崎駅の先、小串郷駅(おぐしごうえき)付近から、進行方向、右手に大村湾が見えるようになる。さらに川棚駅の先からは、ほぼ大村湾沿いを線路が走っている。国道205号も平行して通っているが、大村線は国道よりもさらに海側を走る箇所が多く、車窓から障害物が無く広がる海景色が存分に満喫できる。
彼杵駅(そのぎえき)を過ぎれば、いよいよ次は千綿駅(ちわたえき)だ。この駅、大村湾の目の前にある駅として、大村線の駅の中で特に人気が高い。
海岸にそって緩やかにカーブする線路。ホームの目の前には大村湾と対岸に連なる西彼杵半島(にしそのぎはんとう)の眺めが広がる。
このロケーションが好きで、筆者もたびたび訪れたが、今回、実は初めて列車に乗って訪れた。2016年暮れから変ったことがある。待合室が「千綿食堂」というカフェになった。ひと休みにうってつけの場所もでき、さらに多くの人が立ち寄るようになっている。
これまでも人気だった駅とはいえ、時間帯によってはひとけがなく、寂しさが感じられた。その千綿駅が一新され、列車を待ちつつ、駅舎内でひと休みできるようになった。またこの駅を訪れる楽しみができた。
【大村線の秘密⑧】夕暮れ時に憧れの列車が通り過ぎていった
そんな千綿駅。下車したのは良かったのだが、時刻表を良く確認せずに降りて大失敗。快速列車が同駅を通過することを見過ごしていた(停車する快速列車もあり)。写真を撮り、では、次の列車に乗って帰ろうかなと思ったら……あれれ、次の列車まで1時間半以上も待たなければいけない。
取りあえず千綿食堂でひと休み、食堂の方たちと会話を楽しんでいたら、「今日は『ななつ星in九州』が通りますよ」とうれしい情報を教えてもらう。えっ、ななつ星? ネットで調べたものの、運転日が不明確だったのだが……。想定外の列車待ちの時間が思わぬ幸運をもたらしてくれたのだった。
ラッキー!とばかり、駅から徒歩5分ほどの撮影スポットへ。大村湾がやや赤く染まるころに「ななつ星in九州」が通過していった。こうした豪華列車を走らせることができるのも、大村線が幹線として造られたから。明治期の鉄道人たちが残した財産がこうして活かされているわけだ。
この日は、「ななつ星in九州」だけでなく、JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」にも出会うことができた。大村線は、普通列車だけでなく、こうしたJR九州自慢の列車にも出会うチャンスがあるわけだ。
ちなみに「或る列車」は2020年2月末まで検査があり運行されない。その後の運行予定は3月14日〜5月6日が博多駅〜ハウステンボス駅間。5月15日〜6月29日は佐賀駅〜長崎駅間を走る予定となっている。