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2019/12/29 19:30

新線開業、災害、デビューそして、引退ーー2019年の「鉄道」を9つのテーマで徹底的に振り返る

2019年もあとわずかとなった。今年は、鉄道の世界もまさに悲喜こもごも。新線が開業、話題の新車両が登場する一方で、長年親しまれた車両が消えていった。災害で複数の路線が大きな被害を受け、古い歴史を持つ路線が廃止された。

 

「鉄道ゆく年、くる年」。鉄道を取り巻く話題を振り返りつつ、2019年がどのような1年だったのか、振り返ってみよう。

 

 

【注目!2019年①】相模鉄道とJR埼京線が直通運転を開始

2019年は待望の東西2本の新線が開業した。このことが、最も注目を集めた話題ではなかっただろうか。関東ではJR埼京線と相模鉄道を結ぶ相鉄・JR直通線。関西では大阪市の東側を走るJRおおさか東線が開業した。まずは相鉄・JR直通線の開業から振り返ってみよう。

↑11月30日、相鉄・JR直通線の開業により、相鉄車両12000系が新宿駅への乗入れ運転を開始した。また同じ日に羽沢横浜国大駅(写真左上)が開業した

 

2019年11月30日に相鉄・JR直通線が開業した。この開業により、相鉄本線と東海道本線(貨物支線)の線路が結ばれた。相鉄の車両とJR東日本の車両が相互乗入れ運転を開始、相鉄・海老名駅とJR新宿駅間を列車が直接、行き来するようになった。

 

新線の途中には羽沢横浜国大駅という新駅が開業し、“陸の孤島”でもあった横浜市神奈川区羽沢地区を一躍、駅前タウンに変えた。相鉄にとって初の他社線との相互乗入れであり、悲願の東京都心への乗入れを果たした。

 

とはいえ、相互乗り入れ列車の現状は朝夕に15〜20分間隔、日中は30分間隔と本数が少なめ。2022年度には、相鉄・東急直通線が開業の予定だ。この開業により新線計画は完了。相鉄線はさらに便利な路線と生まれ変わることになりそうだ。

 

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【注目!2019年②】JRおおさか東線が新大阪駅へ乗入れ

大阪も久々の新線の話題が注目を集めた。2019年3月16日、おおさか東線の新大阪駅〜放出駅(はなてんえき)間、11.0km区間が開業した。

 

新しく誕生した区間の南側、放出駅〜久宝寺駅(きゅうほうじえき)間は、すでに2008年3月9日に開業していた。今年、開業した北側区間はこれまで城東貨物線という貨物専用線が走っていた。しかし、新大阪駅へのアクセス線と、旅客用の路線への転換工事の時間がかかった。目標としていた新大阪駅乗入れまでに、一部区間の開業から10年以上の歳月を要した。

↑新大阪駅を発車するおおさか東線の主力車両201系。新大阪駅では2番線がおおさか東線の専用ホームとなっている

 

おおさか東線の開業により大阪市の東側、東淀川区、旭区、城東区といった地域と新大阪駅のアクセスが画期的に改善された。現在の運行頻度は朝と日中がほぼ15分間隔、夕方が10分間隔で、新大阪駅〜久宝寺駅間を走る普通列車が大半を占める。奈良駅行の直通快速列車は、平日の夕方からと、週末の日中と夕方に1時間に1本の運転のみだ。

 

当初、新大阪から奈良へのアクセスが画期的に改善されるとPRされていたものの、直通列車の本数は少ない。ちなみにおおさか東線の列車は、2023年春に、大阪駅の北側に開業予定の北梅田駅(仮称)までの運行も検討されている。北梅田駅までの運転が実現すれば、さらに便利になりそうだ。

【注目!2019年③】3月に復旧した三陸鉄道リアス線だったが

東日本大震災以来、不通となっていた旧JR山田線、釜石駅〜宮古駅間が2019年3月23日、復旧した。そして三陸鉄道へ移管された。旧山田線の復旧により、三陸鉄道の北リアス線と南リアス線が、1本の線路で結ばれることになった。

 

そして南の盛駅(さかりえき)〜北の久慈駅(くじえき)までは「リアス線」と路線名が改められた。距離は163.0kmで第三セクター鉄道が運営する路線としては国内最長の距離となった。

 

東日本大震災からの復興も、このリアス線の開業で一つの区切りと迎えたと受け取られ、地元は復興ムードに沸いた。ところが……。

↑旧山田線区間の津軽石駅を発車する三陸鉄道の列車。正面には開業を祝うヘッドマークが付けられた。現在は、この津軽石駅〜釜石駅間が不通となっている

 

東日本に大きな被害をもたらした台風19号。開業して半年ちょっとというリアス線が台風の被害を受けて全線が不通となってしまった。12月末現在でも、その影響が続き、旧北リアス線区間の田野畑駅〜久慈駅間と、釜石駅〜津軽石駅間が不通となっている。

 

今後、陸中山田駅〜津軽石駅間は1月16日に運転再開の予定。全線運行再開は2020年3月20日と発表された。

 

リアス線が全通したばかりでのこの被害は、痛手に違いない。一方で全国の人たちも応援、募金活動が続けられている(筆者もわずかばかりですが、募金させていただきました)。これからも本サイトで同社を応援していきたい。頑張れ三鉄!

 

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【注目!2019年④】災害により不通となる路線が多かった

この秋、日本列島を襲った台風や長雨による被害は全国に大きなつめ跡を残した。鉄道路線に与えた影響も大きかった。これまで自然災害による影響はあったものの、ここまで広範囲に複数の路線が影響を受けた年も記憶にない(東日本大震災を除く)。今も、複数の不通区間が残っている。

 

ここでは、この秋の台風などの災害により不通となり、現在も残る不通区間(前述の三陸鉄道を除く)と、復旧見込みを確認しておきたい。

↑箱根登山鉄道の宮ノ下駅〜小涌谷駅(こわきだにえき)間の現状。蛇骨川(じゃこつがわ)沿いの斜面が崩落、線路もその影響でずり落ちてしまっている。訪れた12月20日現在、すでに復旧工事が各所で進められていた

 

阿武隈急行阿武隈急行線富野駅〜丸森駅間が不通。全線復旧の目処は見通せず。
JR水郡線西金駅(さいがねえき)〜常陸大子駅間が不通。復旧には1年超の期間がかかるとされている。
JR吾妻線長野原草津口駅〜大前駅間が不通。2020年2月末に復旧の見込み。
箱根登山鉄道箱根湯本駅〜強羅駅間が不通。2020年秋を目指して復旧工事が進む。
小湊鐵道里見駅〜上総中野駅間が不通。里見駅〜養老渓谷駅間は近々に復旧見通し、全線復旧は2020年1月以降の見通し。
上田電鉄上田駅〜城下駅間が不通。復旧は2021年春ごろの見通し。

 

↑長野県上田市内を走る上田電鉄も大きな被害を受けた。千曲川の鉄橋が一部、崩落。現在も上田駅〜城下駅間は代行バスが運行されている

 

大変な被害を受けたものの、阿武隈急行を除く、路線が復旧の目処がたち、また復旧工事が進められている状況だ。影響を受けた路線は、山間部、そして利用者が少なめな区間が多いだけに、復旧への道筋も厳しい。

 

振り返れば、毎年のように、各地の鉄道路線が災害の影響を受けている。新たな2020年という年は、ぜひとも穏やかな年になることを祈りたい。

 

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【注目!2019年⑤】踏切の事故と安全対策が注目を集めた

2019年9月5日、京浜急行の神奈川新町駅近くの神奈川新町第一踏切で、下り快特列車と大型トラックが衝突する事故があった。列車は脱線転覆、大型トラックの運転士が死亡するという痛ましい事故となった。

 

この事故が契機となり踏切事故、踏切トラブルへの注目度がより高まってきているように感じる。筆者もつい最近に同踏切を訪れてみた。訪ねてみると、なぜ事故がここで起ったのか、不思議に感じたことがあった。

 

捜査は、なぜ列車が通常のブレーキに加えて非常ブレーキをかけたのにもかかわらず、止まれなかったのか、などを中心に、検証が続けられている。しかし、大型トラックがなぜ踏切内に立ち往生せざるを得なかったのか、大型トラックの運転手の方が亡くなったせいなのか、情報が伝わってこない。

↑痛ましい事故が起きた神奈川新町第一踏切。大型車は線路沿いの右手の細い道から右折をしようとして、踏切内で立ち往生、そこへ走ってきた快特電車がぶつかることになった

 

なぜ横幅の狭い細い路地を大型トラックが抜けようとしたのか。なぜ大型トラックは踏切内に立ち往生してしまったのか。ちょうど踏切付近にも京急の職員がいて、非常ボタンを押したとされる。そのあたりの時間の経過も解説されていない。

 

起きてしまった事故に“もし”はないが、もし下りかけた遮断かん(踏切を遮断する黄色と黒の棒のこと)が折れても良いから、大型トラックが踏切を突っ切り、抜けていれば……。所詮、第三者の推測の域を抜けないが、悔やまれるところだ。

 

遮断かんの先には遮断かん折損防止器が付いていて、多少の曲がりに耐えられる。突っ切れない理由があったのだろうか。ちなみに筆者が訪れた時、この踏切を渡った側の左右路肩に買い物のため、路上駐車をしているクルマが複数見られた。路上駐車しているクルマが左右に停まって、さらに対向車がいる時には、大型車が踏切を渡りにくくなるように感じた。そんなこともあり、大型トラックは踏切を突っ切ることを逡巡せざるをえなかったのだろうか。こうした大型トラック側の検証は十分にされたのだろうか。過ちを繰り返さないためにも、このあたりの検証も抜かりなく進めていただきたい。

↑事故が起きた神奈川新町第一踏切を逆方向から見た。写真のように道路の左右にクルマが駐車していると(画像加工済み)、このような状況になって、大型トラックが踏切を渡りづらくなってしまう。ちなみに踏切から10m以内は駐停車禁止という規則がある

 

ここまでの大事故に至る事故ではないにしろ、全国で踏切事故が絶えない。また連日のように、踏切が稼働後、遮断かんが下りているのにもかかわらず、車や人の立入りによる事故が報告されている。事故にまで至らないものの、列車が緊急停車する例も目立つ。こうした事故を防ぐ方策がないのか、本サイトでも機会を見つけて、今後も踏切の問題を追って行きたいと考えている。

 

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【注目!2019年⑥】春の訪れとともに静かに消えた夕張支線

2019年も長い歴史を持つ路線が1つ消えていった。北海道を走る石勝線の夕張支線(新夕張駅〜夕張駅間)が3月31日を持って廃止されたのである。この夕張支線は、元は国鉄夕張線と呼ばれていた路線で、石炭採炭のために1892(明治25)年11月1日に敷かれたもの。当時は北海道炭磺鉄道室蘭線の支線として開業した。その後に国有化されている。

 

開業してからなんと126年以上という長い歳月、列車が走り続けてきた。石炭産業の衰退で、貨物列車も走らなくなった。さらに1981年には石勝線が開業、夕張線の名は消え、夕張支線となっていた。消える1か月前に同支線の列車に乗車したものの、乗っている人のほとんどが鉄道ファンという状況だった。

 

北海道ではローカル線の廃線が進む。2020年にも札沼線(さっしょうせん)の一部区間の廃止が予定されている。ローカル線好きの筆者としては寂しい限りだ。

↑廃線間近の夕張支線の終着駅・夕張駅。全盛期は、この駅の先、夕張の町中に大規模な引込線や、貨車が多く停められる留置線が広がっていた

 

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【注目!2019年⑦】画期的なスタイルの特急車両が登場した

2019年は新車両の誕生ラッシュの年でもあった。全部を紹介し切れないので、ここでは代表的な車両を紹介しておきたい。まずはそのユニークな姿で、かなりの驚きを持って迎えられた車両から。

 

西武鉄道の特急車両として誕生した001系。長年、レッドアローという愛称で呼ばれてきた西武特急だが、新型001系は「Laview(ラビュー)」と愛称も一新された。

↑西武池袋線の特急「ちちぶ」や「むさし」として運用される001系ラビュー。側面のガラス窓が大きいのが特徴で、秩父路の自然を楽しみながらの旅が楽しめると好評に

 

鉄道車両のデザインといえば、男性デザイナーにより進められるケースが多い。一方、同車両は建築家の妹島和世(せじまかずよ)氏が中心になってデザインワークが進められた。誕生した車両は、これまでに無い独特の先頭車のスタイルとともに、側面の窓の大きさが、画期的だった。西武001系は3月1日から運用開始、すでに6編成目が走り始めている。

 

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【注目!2019年⑧】多くの新車・新列車の中で注目したいのは

鉄道車両は製造されてから30年前後というサイクルで新車両と入れ替わるケースが目立つ。2019年から2020年は、国鉄が分割民営化されJRグループとなって、32年め。JR発足時に導入した新車両も、ちょうど切り替え時期を迎えることもあって、新型車両の導入、そして親しまれてきた車両が引退というケースが目立った。私鉄でも、同様なケースが多く、そして西武鉄道001系のように、鉄道会社のイメージを変えようと新車導入を行う例が見られた。

 

多くの新車・新列車の中から目立った新車の例をピックアップした。

 

◆JR四国2700系(2019年8月6日運用開始)

↑高徳線の特急「うずしお」に運用される2700系気動車。最高時速は130kmでカーブ区間が多い土讃線の特急「南風」や、土佐くろしお鉄道に乗入れる特急「あしずり」などの特急列車に使われている

 

JR四国の路線はカーブ区間が多い。そうした路線に合わせて開発されたのが、特急列車用の2000系気動車だった。2000系はJR四国と鉄道総合技術研究所が共同で開発した車両で、制御付自然振り子式という気動車としては世界初の技術を採用した。この2000系が誕生したのが1987年こと。走り始めてから30年以上となる。そのため2000系の置き換え用として製造されたのが、特急列車用の新車2700系である。

 

JR四国には2700系の前に導入された2600系気動車という新型特急形気動車があった。しかし、土讃線などカーブが連続する路線での、高速運転が難しいという問題が生じた。そこで再設計されたのが、この2700系だった。この夏から導入され、早くも土讃線や、高徳線などの特急列車として活躍している。

 

◆京成電鉄3100形(2019年10月26日運用開始)

↑京成押上線の四ツ木駅〜京成立石駅間を走る新型3100形。京成では初となるオレンジ色の帯が入る。既存の3050形にもオレンジの帯に模様替えした車両が走り初めている

 

3100形は16年ぶりに京成電鉄の導入した新型車両。京成の自社線、京成成田空港線から、都営浅草線、京浜急行空港線を乗入れ用に造られた。そのため車両の長さ18mで乗降用ドアが3扉という都営浅草線および京浜急行線に合わせたサイズで造られている。

 

車両のラインカラーは京成では初のオレンジとした。これは京成本線の列車と間違えないように、誤乗車を防ぐための工夫としている。京成=ブルー&レッドというイメージを一新、ざん新な雰囲気を生み出している。なお、新京成電鉄でも2019年暮れに新型80000形が導入された。京成3100形と新京成80000形は共同設計されたもので、色は異なるものの、同形車両となっている。

 

◆西日本鉄道「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」(2019年3月23日運転開始)

↑西日本鉄道が導入した新観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」。主に金・土・日・祝日に走る観光列車で、車内では沿線・筑後地方の食材を使って作る料理が提供される

 

この春に西日本鉄道に新観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」が登場した。路線が通る福岡県筑後地方の食材を生かした「できたての温かく美味しい料理」が車内で提供される。

 

車両は新型車両ではなく、既存の6050形が改造された。側面の窓など、かなり凝った造りに改造され、西鉄の意気込みが伝わるような車両に仕上がっている。同列車は西鉄福岡(天神)駅から太宰府駅への行程が「ブランチの旅」で約40分間、西鉄福岡(天神)駅から大牟田駅への往路が「ランチの旅」で、復路は「ディナーの旅」として、それぞれ約2時間半かけ、食事がゆっくりと楽しめる。

 

◆阿佐海岸鉄道DMV(2019年10月5日公開)

↑10月の公開時にはグリーン、ブルー、レッドの3種類のDMVが公開された。鉄道車両に比べて維持費が格段と安くなる。鉄道路線の維持に苦しんでいる地方路線にとって、今後のDMVの成否が注目されている

 

これまでの鉄道の概念を変えそうな阿佐海岸鉄道の車両がこの秋に公開された。阿佐海岸鉄道は徳島県の海部駅(かいふえき)〜高知県の甲浦駅(かんのうらえき)を結ぶ阿佐東線8.5kmで列車を運行させている。

 

同鉄道では、2020年度を目処に、DMV(デュアルモードビークル)の運用を始める予定だ。DMVとして使われる車両はベースがマイクロバス。線路を走る時には、前輪のゴムタイヤの前に線路走行用の鉄輪が出てくる。路線を走る時は、「鉄道モード」で、終点の駅に到着したら、鉄輪をたたみアクセス路を下りて、一般道を使い目的地へ向かう。

 

既存の鉄道車両と、このDMVは併存して運用することは不可。よって阿佐海岸鉄道を走る車両は2020年度のシステム導入以降はDMVのみとなる。利用者が少ない地方鉄道ならではの特徴を、逆に利用した運行方法。すでに京都鉄道博物館で同DMVが展示されるなど、注目を集めている。

 

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【注目!2019年⑨】時代を彩った車両たちの“引退”が目立った

新型車両が登場する一方で、さまざまな事情で“引退”していく車両も目立った。一時代を彩った車両、代表的な車両をここにあげておこう。

 

◆JR東日本189系(2019年3月28日運転終了)

↑長野総合車両センターに配置されていた189系N102編成。あさま色と呼ばれる車体色で、団体列車などで首都圏へやってくることも多かった。2019年3月28日にさよなら運転が行われた。その後の6月25日に除籍となり、189系電車という形式も消滅している

 

189系特急形電車は、信越本線の横川駅〜軽井沢駅間の急勾配区間で行われたEF63形電気機関車との協調運転が可能なように、国鉄時代の1975年から製造された。信越本線の特急「あさま」、その後には中央本線を走った特急「あずさ」や「かいじ」として長年、走り続けた。近年は中央本線の臨時列車や、富士急行線内への直通運転列車、団体列車に使われていた。しかし、誕生してから40年以上となり、毎年のように車両数が減りつつあった。

 

最後の1編成は長野総合車両センターに配置されていたN102編成で、鉄道ファンの間で人気が高い編成だった。189系の消滅で、残る国鉄形特急電車は、JR東日本の185系と、JR西日本の381系のみとなっている(485系を改造したジョイフルトレインを除く)。

 

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◆京急800形(2019年6月16日運転終了)

↑京浜急行で唯一の片開き4扉車だった800形。最盛期には132両と“大所帯”で、普通電車の顔として活躍した

 

京浜急行の800形は、1978年から1986年にかけて製造され、最盛期には132両の車両数を誇った。高加速、高減速を特徴にし、また駅の停車時間を短くするために4扉という京浜急行では希少な車両として活躍した。角が丸くカーブする正面の形、前照灯が一つで、ついた愛称が「ダルマ」。ユニークな形が鉄道ファンに愛されてきた。

 

ところが、停車時間を短くするため導入した4扉がマイナスとなった。京浜急行は相互乗り入れを行う京成と都営浅草線に合わせ、3扉車へ共通化を進めていた(2扉車の2100形を除く)。それに合わせて一部の駅にホームドアも設置された。そのために、羽田線への乗入れができなくなった。また6両固定編成のため、大師線など支線での運用が出来なかった。晩年は京急本線を中心に普通列車のみで運用となっていた。最後となった6月16日には「ありがとう800形」が品川駅から久里浜工場まで運行された。

 

◆JR貨物EF200形式直流電気機関車(2019年3月28日運用終了)

↑東海道・山陽本線の貨物列車の輸送に活躍したEF200形式。側面はライトグレー、運転台部分が濃淡ブルーに塗られた。2019年3月の運用離脱以降、11月16日からは2号機が京都鉄道博物館で特別展示され、引退セレモニーも開かれた

 

国鉄からJRに分割され、JR貨物が誕生したころ、世の中はバブル景気に沸いていた。そうした好景気もあり、貨物の輸送量は増え続けた。その輸送需要に応えるために製造されたのがEF200だった。JR貨物の貨物用機関車としては最大の6,000kWの出力を誇り、最大1600tの牽引が可能となった。

 

この高性能があだとなる。最大出力を出して走ろうとすると、変電所などの設備に負荷がかかることが分かった。そのため、出力を抑えて走ることになった。そのため、製造されたのも21両と少なめだった。

 

さらに当時のハイテク設備で造られた車両で、車両数が少なかったことから、近年は部品の調達が出来ない状態となっていた。

 

製造されたのは1992年〜93年のこと。誕生してから27年ぐらいと比較的、貨物用機関車としては若い車歴だったにもかかわらず、引退を余儀なくされた。国鉄時代に誕生した先輩格のEF64形式や、EF65形式といった直流電気機関車が頑張る中で、ちょっと残念なことになった。

 

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