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2020/1/1 19:00

2020年「鉄道業界」では何が起こるのか? 10のトピックで読み解く

【注目!2020年⑤】山手線に新駅誕生ほか、全国の新駅の話題

2020年3月14日に、東京の品川駅〜田町駅の間に新駅・高輪ゲートウェイ駅が誕生する。公募された駅名の中で130位という応募数が少ない名前で賛否両論あったものの、現代風の名前となった新駅の歴史がスタートする。

 

ちなみに山手線の駅としては、1971(昭和47)年に誕生した西日暮里駅以来の新駅で30番目の駅となる。京浜東北線では、2000年に開業したさいたま新都心駅以来の新駅となる。なお、今年の開業は暫定開業で、駅ビル等が整備され、2024年度に本開業となる。

↑田町駅側から見た新駅方面の様子。右側が旧線で、新しい路線は東側にだいぶ寄せられたことが分かる。左上写真は、工事が進む高輪ゲートウェイ駅の建物

 

その他にも2020年には複数の新駅が誕生する。

 

◇御厨駅(みくりやえき) 静岡県磐田市

3月14日に開業予定。東海道本線の磐田駅と袋井駅間に誕生する。ヤマハ発動機やNTN株式会社(ベアリングの製造会社)などの工場が至近にある。

 

◇南伊予駅 愛媛県伊予市

3月14日に開業予定。予讃線の北伊予駅と伊予横田駅間にできる。ちょうどJR四国の新車両基地と、JR貨物の松山貨物駅が建設中で、基地に隣接して新駅が設けられる。ちなみに南伊予駅の名前は、駅の所在地が、かつて南伊予村だったことから。ほかに北伊予駅があり、伊予市駅(伊予横田駅の南側、2つ先の駅)があり、新たに南伊予駅ができることになる。南伊予駅は伊予市駅の南側にある駅、と勘違いする利用者も出てきそうだ。

 

◇みなみ寄居駅 埼玉県寄居町

10月31日に開業予定。東武東上線の東武竹沢駅と男衾駅(おぶすまえき)の間にできる。駅の最寄りにはホンダの寄居工場がある。同じ埼玉県にある狭山工場を閉鎖、この寄居工場に機能を集約することから、ホンダが増える工場勤務の人たち向けに新駅の設置を希望していた。

 

 

【注目!2020年⑥】今年も新型車両が多く投入される!

2019年から引き続きの動きだが、2020年も多くの新型車両が導入される見込みだ。前述したが、東海道・山陽新幹線用のN700S。特急「サフィール踊り子」用のE261系が代表的なところ。

 

ほか、JRグループでは、JR西日本の特急「はるか」増結用の271系。JR九州のYC1系ハイブリッド車両が大村線などを走り始める。

 

大手私鉄では近畿日本鉄道の特急形電車80000系「ひのとり」、そして小田急電鉄の通勤車両5000形。ほかに、つくばエクスプレスのTX-3000系、しなの鉄道SR1系の運行も始められる。

 

本原稿で注目したいのがJR北海道のH100形だ。H100形は新型の電気式気動車で、函館本線の小樽駅〜長万部駅(おしゃまんべ)駅間、通称“山線”区間に投入される(一部列車は札幌駅まで乗入れ)。しかも一気に15両が投入され、キハ201系とともにワンマン運転用に使われる予定だ。

↑函館本線の苗穂駅付近で、試運転を行うH100形。JR北海道の車両の中では、北海道新幹線を走るH5系に次いで、車両形式の頭に「H」の文字が付くことになった

 

JR北海道の非電化区間には、長年、国鉄時代に生まれたキハ40系、とキハ54形。そして1990年代に造られたキハ150形、キハ201系が使われてきた。

 

多くの車両が残るキハ40系は、すでに車歴が40年前後と古くなり、新車の導入が急がれていた。H100形は、JR東日本のGV-E400系(主に新潟地区に投入される)と仕様が同一で、北海道用に酷寒地対策を施している。JR東日本の車両と同タイプにしたことで、メンテナンスコストが抑えられる利点がある。

 

H100形の愛称は「DECMO(デクモ)」。雪深い函館本線の山線での活躍が期待される。

 

 

【注目!2020年⑦】震災から9年目でようやく常磐線が復旧へ!

東北地方を中心に大きな被害をもたらした東日本大震災。大半の鉄道路線が復旧され、また復旧が困難とされた大船渡線や、気仙沼線の一部はBRT(バス・ラピッド・トランジット)路線となり専用のバスが運行されている。

 

震災が起きて9年目。まだ列車が走らない区間が残っていた。常磐線の福島県内、富岡駅〜浪江駅間が不通のままになっていた。常磐線はご存知のように東日本大震災により被災、津波によって大きな被害を受けるとともに、路線が、福島第一原子力発電所近くの避難指示区域内を走ることから、長期間にわたって不通が続いていた。

 

帰宅困難区域だったその一部、駅周辺などが、特定復興再生拠点となり、避難指示が解除される。この解除に合わせて、路線の復旧が進められ、試運転も開始されていた。昨年12月の新ダイヤの発表時に、常磐線の正式な復旧日は発表されなかったが、およそ年度末ごろには復旧となりそう。復旧後には東京〜仙台間を結ぶ常磐線経由の特急「ひたち」の運行も行われる予定だ。帰宅困難地域に含まれていたこの沿線も、新しい時代の到来が期待できそうだ。

↑常磐線の全通に合わせて特急「ひたち」「ときわ」に使われるE657系の増備も行われた。路線の復旧に合わせて東京の品川駅と仙台駅の間を結ぶ特急列車が復活する予定だ

 

ところで、震災前に常磐線を走っていた貨物列車はどうなるのだろうか。震災前、東北本線とともに、首都圏と、東北・北海道を結ぶ貨物列車が常磐線を通っていた。現在のところ、JR貨物から路線復旧後に、常磐線を利用する等のアナウンスはされていない。

 

すでに東北本線の輸送で十分まかなえているだけに、常磐線を使った貨物輸送が復活する可能性は低いのかも知れない。

 

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