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2020/1/1 19:00

2020年「鉄道業界」では何が起こるのか? 10のトピックで読み解く

 

【注目!2020年⑧】2つのBRT区間では鉄道事業を廃止へ

前述したように、東日本大震災で路線の復旧が困難とされた区間は、現状、BRT(バス・ラピッド・トランジット)という形態で鉄道に代わる専用バスが運行されている。BRTバスが走れるように元線路を専用道路として復旧し、復旧が難しい区間は、公道を迂回して走る。BRTのバスが走るのは気仙沼線の柳津駅〜気仙沼駅(55.3km)、と大船渡線の気仙沼駅〜盛駅間(43.7km)だ。

 

この2区間にも2020年に大きな動きがある。11月13日に両区間の鉄道事業が廃止される予定だ。つまり鉄道路線として正式に廃止となり、BRTバスが走り続けていた区間は鉄道路線の気仙沼線、大船渡線ではなくなる。

 

バスの路線自体は存続されるとはいうものの、これまでのように時刻表の地図や誌面への時刻の掲載が消滅しそうだ。このことによりどのような結果になるかは断言できないが、公共交通としての存在感は鉄道よりも薄まることになるのだろう。駅(バス停)の数が鉄道時代よりも増えたなど利点があるBRTバス。鉄道事業廃止により、地元の人たちにとってマイナスとなることのないように祈りたい。

↑現在の大船渡線の陸前高田駅。BRTバスや路線バス用のロータリーの前に駅舎が設けられている。鉄道事業廃止後には、陸前高田駅という駅名はどうなってしまうのだろうか?

 

 

【注目!2020年⑨】札沼線が廃止へ!道内の他路線も危ぶまれる

札沼線(さっしょうせん)は函館本線の桑園駅(そうえんえき)と新十津川駅(しんとつかわえき)を結ぶ76.5kmのローカル線。札沼と名乗るように、元は札幌と留萠本線の石狩沼田駅を結ぶ路線として計画された。

 

1935(昭和10)年に全線開通したが、利用者減少から1972(昭和47)年6月18日に、新十津川駅〜石狩沼田駅間が廃止となった。その後、路線が維持されてきたが、2020年初頭現在、路線の途中にある浦臼駅と終着駅の新十津川駅を結ぶ列車は1日に1往復のみで、廃止も時間の問題とされてきた。

 

2020年の5月7日に北海道医療大学駅〜新十津川駅間(47.6km)が廃止の予定だ。同区間にある16の駅も同時に廃止となる。

 

札沼線で残るのは桑園駅〜北海道医療大学駅の区間。すでに交流電化されており、この区間は札幌市の郊外路線として機能していることもあり、廃止対象から除外された。

↑札沼線の終着駅の新十津川駅。現在、列車は9時28分着、10時00分発の1本のみ。つまり10時発の列車が最終列車となる。函館本線の滝川駅が同駅に近く、石狩川を越えて約4.5kmの距離にある。クルマならば約12分の距離だ(写真提供:稲野政男)

 

札沼線は以前から廃止やむなしという状況となっていた。北海道では災害により不通となっている他の路線も2020年中に、廃止という結論が出されそうだ。

 

まずは2015年1月の高波の被害で不通となっている日高本線の鵡川駅(むかわえき)〜様似駅間(116.0km)。これまで不通になっていた地元自治体の理解が得られなかったものの、昨年暮れの段階で、同区間の廃止、そしてバス転換に向けて自治体とJR北海道との協議が始められることになった。

↑日高本線の浜厚真駅(はまあつまえき)に停車する苫小牧駅行き列車。総延長146.5kmの路線のうち、116km区間が不通となっている。写真の浜厚真駅は現在も列車が走っているが、2つ先の鵡川駅から先、代行バスが運行されている

 

ほか北海道では根室本線の一部区間が廃止の決定が出そうだ。不通となっているのは東鹿越駅(ひがししかごええき)〜新得駅間。2016年8月31日に襲った台風10号による降雨被害により列車が不通となっている。JR北海道では、2020年度を目処に富良野駅〜新得駅間の廃止の方針を打ち出していた。

 

同じ根室本線で2019年11月21日には野花南駅(のかなんえき)〜富良野駅間にある架道橋にトレーラーが接触、橋が損傷、復旧に3か月かかるとされる。どうもJR北海道に関わるトラブルが多くなっているのが気にかかる。それでなくとも深刻な経営難に陥っているJR北海道。これ以上、災いが降りかかることがなければ良いのだが。

 

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【注目!2020年⑩】ことでん名物レトロ電車も徐々に消えていく

2020年は多くの新型車両が登場する一方で、消えていく車両も出てきそうだ。

 

その中で非常に残念なのが、高松琴平電気鉄道の動態保存車両4両である。4両はことでん「レトロ電車」として親しまれてきた。1カ月に1回の頻度で、主に琴平線を走ってきたレトロ電車。その姿も2020年と2021年で見納めとなりそうだ。

↑近畿日本鉄道南大阪線が大阪鉄道を名乗っていた当時に造られた23号電車。1961(昭和36)年に高松琴平電鉄に譲渡され、現在まで走り続けてきた。ベージュと朱色の塗り分けで、人気も高かったが、2020年ゴールデンウィークの運転を最後に引退となる予定

 

ことでん「レトロ電車」は1925(大正14)年〜1928(昭和3)年に製造された車両で、現存する電車で今も乗客を乗せて走ることができる最古級の電車となっている。中でも120号、500号、300号は高松琴平電鉄が自社発注した車両で、2009年には経済産業省の近代化産業遺産にも認定されていた。

 

そうした貴重な車両だったが、維持することが困難になりつつあった。予定では23号(元近鉄車両)が2020年のゴールデンウィークまで、500号が2020年の9月まで、120号、300号が2021年のゴールデンウィークに、それぞれさよならイベント後、廃車の予定になっている。

 

同社のホームページでは「静態保存先が確保できなければ解体する予定です」としている。昨今、地方の鉄道会社の経営が厳しくなってきている。滋賀県を走る近江鉄道でも、静態保存していた多くの電気機関車のほとんどが廃車となってしまった。高松琴平電鉄のレトロ電車たちも、このまま廃車となるのだろうか。近代化遺産に認定された車両だけに、非常に惜しまれるところだ。

 

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