雪の少ない首都圏で暮らしている人にとって、クルマの衣替えはとかく後手に回りがち。これがいざ突然の雪に見舞われると、慌ててタイヤチェーンを買いにカー用品店へと向かうわけですが、でも、一口にタイヤチェーンと言っても様々な種類があり、どれが自分に最適で、使いやすいものなのかは店頭で瞬時にはなかなか判断できません。
そこで今回は、「A PIT オートバックス東雲」の帶川和樹さんにタイヤチェーンの種類と特性、そして、いざ自分でやろうとするとかなり混乱する装着方法までを詳しく教えていただきました。
大別して3種類あるタイヤチェーンのメリット、デメリット
ーーまず、タイヤチェーンの種類から教えてください。
帶川和樹さん(以下、帶川) まず大別すると「金属チェーン」「非金属チェーン」「布製チェーン」の3種類があります。「金属チェーン」は比較的安価であり、装着していない間もコンパクトにまとめることができるメリットがあります。この「金属チェーン」の中にも「ハシゴ型」、「亀甲型」の2つがあります。
ハシゴ型は別名“ラダーチェーン”とも呼ばれていますが、チェーンの金属がタイヤに対して、ハシゴのように横方向に組まれるものです。登坂能力に優れる一方、チェーンに対してタイヤの露出面積が大きいため、どうしても雪道のカーブなどを曲がる際は横滑りを起こしやすいデメリットもあります。
一方の亀甲型は、チェーンの金属がタイヤに対してジグザグに組まれるものです。こちらはハシゴ型に比べ横滑りを起こしにくい構造ですが、登坂の際には少々重くなります。また、装着にも少々コツが要ります。間違った装着方法ですと、金属が絡まったり、チェーン切れを起こすこともありますので、注意が必要ですね。
非金属チェーンは樹脂製チェーンとも呼ばれ、金属チェーンに比べれば保管する際に箱が大きくなります。例えば、車内に積んでおく場合は結構かさばります。そして、タイヤチェーンの中でも価格が最も高い。ただし、装着が楽で、チェーンをつけた際の乗り心地にも優れています。
さらに、布製チェーン。これは布製ですから軽く、保管も装着も一番便宜的な上に価格も安い。ただし、アスファルトの上を走っていると、簡単に切れてしまうことがあります。ですので、例えば、「クルマでどこかへ移動している際、突然雪が降ってきてしまった」といった際に、応急的に使うのを目的としたタイプです。
ーーよく雪道などで「チェーン規制」があります。これには「布製チェーン」も対応しているのでしょうか。
帶川 布製チェーンであっても「チェーン」という分類の一つであるので、適合する場合もありますが、これはその道路を管轄する自治体の判断にもよりますので、そこは事前に注意して使っていただくのが良いと思います。