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2020/2/7 18:00

今年はまだドカ雪降ってないけど、絶対焦るから。雪無し大都市圏の人のため「タイヤチェーン」講座

雪の少ない首都圏で暮らしている人にとって、クルマの衣替えはとかく後手に回りがち。これがいざ突然の雪に見舞われると、慌ててタイヤチェーンを買いにカー用品店へと向かうわけですが、でも、一口にタイヤチェーンと言っても様々な種類があり、どれが自分に最適で、使いやすいものなのかは店頭で瞬時にはなかなか判断できません。

 

そこで今回は、「A PIT オートバックス東雲」の帶川和樹さんにタイヤチェーンの種類と特性、そして、いざ自分でやろうとするとかなり混乱する装着方法までを詳しく教えていただきました。

A PIT オートバックス東雲の帶川和樹さん。フロアリーダーを務め、タイヤチェーンはもちろん、あらゆる商品の特性、使い方に熟知されている方です

 

大別して3種類あるタイヤチェーンのメリット、デメリット

ーーまず、タイヤチェーンの種類から教えてください。

帶川和樹さん(以下、帶川) まず大別すると「金属チェーン」「非金属チェーン」「布製チェーン」の3種類があります。「金属チェーン」は比較的安価であり、装着していない間もコンパクトにまとめることができるメリットがあります。この「金属チェーン」の中にも「ハシゴ型」、「亀甲型」の2つがあります。

 

ハシゴ型は別名“ラダーチェーン”とも呼ばれていますが、チェーンの金属がタイヤに対して、ハシゴのように横方向に組まれるものです。登坂能力に優れる一方、チェーンに対してタイヤの露出面積が大きいため、どうしても雪道のカーブなどを曲がる際は横滑りを起こしやすいデメリットもあります。

 

一方の亀甲型は、チェーンの金属がタイヤに対してジグザグに組まれるものです。こちらはハシゴ型に比べ横滑りを起こしにくい構造ですが、登坂の際には少々重くなります。また、装着にも少々コツが要ります。間違った装着方法ですと、金属が絡まったり、チェーン切れを起こすこともありますので、注意が必要ですね。

↑金属チェーンの亀甲型(左)と、ハシゴ型(右)の違い。それぞれの特性が、確かに感じられます

 

↑オートバックスで売れている、金属チェーンハシゴ型の「雪道楽DASH」

 

↑金属チェーン亀甲型の「雪道楽NEO」

 

非金属チェーンは樹脂製チェーンとも呼ばれ、金属チェーンに比べれば保管する際に箱が大きくなります。例えば、車内に積んでおく場合は結構かさばります。そして、タイヤチェーンの中でも価格が最も高い。ただし、装着が楽で、チェーンをつけた際の乗り心地にも優れています。

↑非金属チェーンのヒット商品、「バイアスロン クイックイージー」の装着イメージ

 

↑非金属チェーンの中でも、タイヤの露出度を極力抑えた「イエティスノーネット」

 

さらに、布製チェーン。これは布製ですから軽く、保管も装着も一番便宜的な上に価格も安い。ただし、アスファルトの上を走っていると、簡単に切れてしまうことがあります。ですので、例えば、「クルマでどこかへ移動している際、突然雪が降ってきてしまった」といった際に、応急的に使うのを目的としたタイプです。

↑布製チェーンの「オートソック」。布製なので、耐久性は金属チェーン、非金属チェーンには及ばないものの、保管も嵩張らず、値段も安い。万一の際にクルマに積んでおくと良さそうです

 

ーーよく雪道などで「チェーン規制」があります。これには「布製チェーン」も対応しているのでしょうか。

帶川 布製チェーンであっても「チェーン」という分類の一つであるので、適合する場合もありますが、これはその道路を管轄する自治体の判断にもよりますので、そこは事前に注意して使っていただくのが良いと思います。

 

多少値が張り嵩張っても、装着性、走行性、耐久性に優れる「非金属チェーン」

ーーお話をうかがっていると、多少値が張り、嵩張ったとしてもチェーン性能だけを考えれば、非金属チェーンが最も優秀なチェーンのように思えます。

帶川 これはお使いいただく方それぞれの判断によりますが、確かに非金属チェーンが最も耐久性に優れていることも確かです。未使用の状態であったり、しっかりメンテナンスをして保管すれば、5~7年くらいは使うことができます。

 

ーーザックリ言うと、クルマを購入した際、そのクルマに合わせて「非金属チェーン」を買っておけば、かなり長く使うことができるという

帶川 もちろん、どれくらい使うかにもよりますけど、持っていれば安心ですし、早めにご準備していただくに越したことはないと思います。

 

ーー装着面でも「非金属チェーン」はさほど面倒ではなさそうに見えます。

帶川 はい。装着に関しては布製チェーンが一番簡単で、金属チェーンが一番手間は掛かりますが、前述のようにそれぞれメリット・デメリットがあります。そこも加味して考えると、やはり非金属チェーンが最も使いやすいことは確かです。

チェーンを装着する際のシチュエーションって、雪が積もっていたり、地面も必ずしも平らではないかもしれません。こういったシチュエーションで作業をするわけですから、購入と合わせて装着方法も事前に知っておくと良いと思います。

 

ーーそれを実際に見せていただけますか?

帶川 わかりました。

 

よくわかる「非金属チェーン」の装着方法(バイアスロン クイックイージーの場合)

①まず、タイヤ側面を前に、八の字状にチェーンを広げます。ここで八の字にしておくことで、②の工程が楽になります

 

②八の字に広げたチェーンをシュルシュル~と、そのまま水平にタイヤ後方へと回します

 

③両端を持ち後方から、タイヤに被せるように手前へと持っていき、上部を裏側・表側の順に接続します

 

④手前側にきたタイヤチェーンの、一番下の部品を繋ぎます

 

⑤続いて左上を止め、最後に専用のレバーを使って右上を止めて完了。早ければこの装着までに1分かかりません

 

タイヤチェーンのメンテナンスは?

ーータイヤチェーンを使用していない間のメンテナンス方法はありますか?

帶川 金属チェーンはもちろんですが、非金属チェーンであっても、一部に金属の部品が使われています。雪道には、だいたい「凍結防止剤」というものが使われていて、これによりチェーンの金属の部分が錆びてしまうことがあります。

ですので、使われた後は、その凍結防止剤を落とすために水洗いをし、しっかりと乾かした後に保管するのが良いです。錆びたままですと、いざチェーンを付けようとした際に切れてしまう。または、走行中に切れてしまうといったトラブルを招いてしまいますので。

 

ーーよく、雪が溶けた道路を、チェーンを付けたままガリガリガリガリ走っているクルマを目にしますが、あれもダメですよね。

帶川 はい。タイヤチェーンはあくまでも雪道で使うように作られていますから、雪が積もっていない道路での使用はチェーンの劣化に繋がりますし、アスファルトも削ってしまうので、雪が溶けた場合はできるだけ早めに外しましょう。

ただ、だからといって、雪道と雪道を繋ぐ、雪が積もっていないトンネル内でいちいち外すというのは現実的ではないので、こういう場合は速度を落として、走行しましょう。実際商品によっては、すごく長い関越トンネル向きとして「関越トンネルでも、装着したまま走れる」ことを売りにしているタイヤチェーンもあります。

 

ーー話を聞いていると、やはり日頃からタイヤチェーンを積んでおくことに越したことはなさそうですね。

帶川 もちろんそうです。雪が降り始めてからタイヤチェーンを買いに行こうとしても、まずカー用品店までにクルマで買いに行くのが危ないですし、タイヤチェーンはタイヤサイズごとに違いますから、自分のクルマに適合するチェーンが売り切れている場合もあります。やはり、早めに準備しておいていただくことは大切だと思います。

↑今回紹介したいくつかのタイヤチェーンと合わせて持っておきたい、雪アイテム。雪道で空回るタイヤをサポートする「クレトム ハニカムヘルパー」(左上)、凍ったガラスを解凍する「CRC アイス・オフ」(右上)、クルマの屋根の雪を落とす「クレトム スタンダード伸縮ブラシ」(右下)

 

いくら暖冬と言えど、すでに何度かの雪を経験した首都圏。今後も雪が降る可能性は十分ありますので、帶川さんの解説を参考に、ご自身にピッタリのタイヤチェーンをご準備されることを強くオススメします!

 

撮影/我妻慶一

 

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