実際にデバイスとアプリで「GOOD DRIVE」を体験
では、実際にどのような感じで計測が行われ、アプリの使い勝手はどうなのか、筆者のクルマにデバイスを装着し、アプリもダウンロードして走行してみました。GOOD DRIVEの契約では270日の間に累計の計測時間が20時間以上であることが条件づけられていますが、だいたい10時間ほど運転を計測すればそのドライバーの事故リスクが判定できるとのことだったので、しばらくデバイスを装着したままでクルマを使用することに。デバイスをシガーソケットに挿しっぱなしにしておき、アプリをインストールしたスマホを持ってさえいれば、計測は自動で行われるので、出発前にアプリを起動したりボタンを押したりといった操作は一切必要ありません。
手始めに仕事での移動で1日計測してみたところ、結果はギリギリSランクの91点。ホッとしつつアプリの画面を見ると、「ハンドル操作を意識してみましょう」というメッセージが表示されていました。計測結果をもとに、スコアを上げるために意識すべき操作をメッセージとして表示してくれるのです。走行後は、アプリの画面で運転を振り返ることが可能で、良かった操作や急な操作をしてしまった場所が地図上にも表示される機能も。運転中は画面には何も表示されませんが、運転後は自分のドライビングを確認し、良かったところや悪かったところの反省ができます。
そうやって自分の運転を振り返り、注意すべき点をアドバイスされると、運転するのが楽しみになってきます。アクセルを大きく踏み込んで急加速するのは抑えようと意識するようになりますし、ゆっくり減速できるように交通の先を読んで備えるようにもなってきました。普段から、安全運転は心がけてきたつもりですが、こうして具体的にスコアやアドバイスが表示されると、もっとスコアを上げてみたいとそれぞれの操作を意識するように。その成果が出て、徐々にスコアが上がっていくと、さらにやる気になって安全運転に取り組むようになりました。
実は、これがGOOD DRIVEのもう1つの効果。キャッシュバックというインセンティブがあることと、運転スコア、アドバイスをスマホ上に提示することで、ドライバーが安全運転を心がけ自然に事故リスクが減っていくのです。実際、販売に先立って行われた実証実験でも、この仕組みによって15.3%の事故リスク低減効果が確認されたとのこと。確かに実際に使ってみると、安全運転への意識がかなり高まることが実感できました。
「最近は自動運転が話題になっていますが、近々実現可能な“自動運転レベル3”で事故抑止の効果が高いのは高速道路です。一方で事故が最も起こりやすい都会の交差点で、自動運転が実用化されるのはまだ先ですから、事故を減らすにはドライバーの安全運転意識を高めてもらうしかない。その一助になれればと考えています」と石井部長は語ります。
古川さんは「近い将来、個人間のカーシェアリングが一般化すると言われていますが、貸す相手がどのような運転をする人か分からないと大切なクルマは貸しにくいですよね。ですが、その人が事故リスクの少ない運転をすることが可視化されていれば、そのハードルは低くなるでしょう。そのようなシーンでも、ドライバーの事故リスクを可視化する技術は役立てると思います」と話してくれました。GOOD DRIVEは自動車保険から交通社会を変革する1つの力になるかもしれません。
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