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2020/6/18 23:00

ワールド・プレミアになった「新型LEXUS IS」はどんな車なのか? 「Shimoyama」がキーワードのモデルを紐解く

日本時間6月16日朝8時に米国発信で、LEXUSのFRコンパクトスポーツセダン「IS」2020モデルのワールド・プレミアが行われました。今回のマイナーチェンジモデルの発表は、コロナ禍によって延期となっていましたが、ついにアンベールの時を迎えました。

 

累計約109万台生産されているピュアスポーツセダンIS

北米発信ということで、そのデジタルカンファレンス第一部のホストを務めるのはLEXUS RC F GT3でIMSA ウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦しているタウンゼント・ベル氏とLEXUS USAのデイビッド・クリスト氏です。

 

初代ISがデビューしてから20年以上に渡り、ISは累計約109万台生産されています。両氏は今回のISのデザイン、パフォーマンスの魅力を伝えました。ISがピュアスポーツセダンであり、その挑戦がアグレッシブに続いていることを紹介し、数少ない「操る楽しさ」をイメージさせるクルマであることを語りました。

 

テストコースを作るところから始まっているLEXUSの意気込み

プレスカンファレンスでは土地の測量をする様子、工事をする様子が映し出されながらISの走行シーンに続きます。今回のISの開発では難所ニュルブルクリンクはもちろん、各地で開発テストが行われてきました。さらに、新たに愛知県豊田市下山地区に作られたLEXUSのテストコースで徹底的に走り込まれ、開発されたと言います。

 

このコースを少し紹介しておきましょう。現在はまだ発展中のToyota Technical Center Shimoyamaの3つのエリアの内の1つが今回のテストの舞台となっています。カントリー路と呼ばれる全長5.3km、自然の地形を活かしたコースです。ニュルブルクリンクの約4分の1の長さでコースの高低差は75mとなります。

 

注目するのは全長ではなく、そのコースの過酷さです。30か所以上のコーナーは横のみならず上下方向のブラインドコーナーも存在します。上下方向のブラインドコーナーというのは出口方向に空しかないことを示します。過酷なアップダウンはブレーキのみならず、サスペンションやボディにも強烈な重力でクルマに襲いかかってきます。また、ジャンピングスポットではクルマの荷重が完全に抜けてしまいます。重力の変化に耐え、このコースを気持ちよく走り切るには鍛え上げられた各部の剛性、そして、しなやかさが同居していなくてはなりません。

 

思わず走り出したくなる

レクサスインターナショナルの腕の確かなドライバーであり、チーフエンジニアでもあった佐藤恒治社長が続けます。「このISにはチーフブランディングオフィサーのマスタードライバー、豊田章男氏の情熱が注ぎ込まれている。そして、ドライバーが自信を持って走るためには高バランスでリニアなステアリング、加速、ブレーキングの応答が求められます。これを極限まで熟成し、Shimoyamaで開発したのです。『Lexus Driving Signature』、誰もが夢中になれるような乗り味の開発。これがLEXUSに命じられたのです。そして、今後もこれがLEXUSの基準となっていくのだ」と述べています。

 

また、チーフエンジニアの小林直樹氏は新型ISの開発にあたって「念頭に置いたのは、ドライバーとのコミュニケーションに優れ、それがどんな路面状況や走行条件でも破綻しない懐の深い車にすることだった」と開発を振り返ります。「LEXUSの上質な乗り心地と高いコントロール性を備え、長く乗れば乗るほど操る楽しさなどの新しい発見や造り手の想いを感じていただけるクルマを目指しました」とも。エンジニア、デザイナー、生産チームの高い意識の挑戦から生まれてきたことが伝わってきます。

 

Shimoyamaで鍛え抜かれた強靭なボディ

Shimoyamaで徹底的に鍛え抜かれたボディはスポット溶接箇所の見直しや追加をはじめ、強靭さとしなやかさを兼ね備えています。ステアリングを切ったときだけではない、戻す時のフィーリングにまで気を配り、高次元のドライビングフィールが求められています。

 

また、19インチのタイヤはブラッククロームのホイールと組み合わされています。グリップ力が増し、横剛性が上がりますが、タイヤ/ホイールの重量も増してしまいます。バネ下重量を下げるため、タイヤ/ホイールの重量増加分をサスペンションの軽量化で補い、高い運動性のバランスをトータルで向上させています。数値には現れない走りの印象を高次元で作り込むことができるようになったのは毎日Shimoyamaを走り込み、クルマを鍛え抜いた成果です。それこそがShimoyamaの大きな存在意味といえます。ISに乗ることでこれからのLEXUSの高いレベルでの基準が見えてくることでしょう。

 

3種のパワートレーン

エンジンのバリエーションは直列4気筒2.0L直噴ターボ、直列4気筒2.5L ハイブリッドシステム、V型6気筒3.5Lの3種が発表になっています。Shimoyamaで鍛え上げられたのはボディやサスペンション、ブレーキなどだけではありません。パワーユニットにも『Lexus Driving Signature』、その走る喜びが味わえるようチューニングされています。

 

Shimoyamaのコースを最大限に使い、アクセルを踏み込んだ瞬時のレスポンスのみならず、アクセルを戻した時の自然なフィーリングの向上にも着目して、これまでとは違うレスポンスを導き出しました。ハイブリッドモデルではアクセル開度に応じるモーターとエンジンの駆動制御を見直したり、2.0Lターボモデルではドライバーのアクセル開度から走行シーンを判断し適切なギアを選択したりと、ドライバーの意図に対し、リニアなレスポンスを実現しました。

 

シャープなエクステリアデザイン

シャープなキャラクターラインによって具現化された、新型ISのエクステリアデザインはAgile & Provocative(=俊敏で挑発的)をテーマにデザインされました。ワイド&ローで4ドアクーペのようなリアルコンパクトスポーツセダンが生まれたのです。そして、LEXUSとしての世界観はカラーデザインやオーナメントなどの細部に至るまで作り込まれています。気になるボディサイズは北米仕様プロトタイプで全長4710×全幅1840×全高1435mmとなり、前モデルに比べて全長+30mm、全幅+30mm、全高+5mmと大きくなっていますね。

 

特徴的な薄型ヘッドランプのシャープなラインはグリルの先端からトランクの後端まで鋭いエッジと美しい曲面を作り、ISのフォルムを際立たせます。「寄絞り(よせしぼり)型構造」と呼ぶ最新プレス技術によって、膨らんだリアフェンダーや美しく絞り込まれたキャビン、その間をつなぐCピラーなどの豊かな造形ができ上がっています。リアスタイルでは全幅に亘るLEXUSのLをモチーフにしたテールランプは後続車にもLEXUSの存在を印象づけます。

 

高揚感を覚えるインテリアデザイン

ドアを開けると有彩色のインストルメントパネル上部やドアパネルが内装色とツートーン配色となり左右方向の広がりを感じさせます。そして、その配色によってドライバーは高揚感を覚えるでしょう。タッチディスプレイ式となったマルチメディアシステムは各種スマートフォンに対応し、10.3インチのワイドディスプレイとお使いのスマートフォンを連携させることで大きく利便性を向上しています。操作しやすいようにディスプレイはこれまでより7.5cmほど手前に設置され操作性を向上しています。

 

先進安全技術の進化

アグレッシブに走るだけでなく、今回のISではLexus Safety System+を含む先進安全技術が進化し、搭載されました。昼間の自転車運転者、夜間の歩行者の検知が可能な「プリクラッシュセーフティー」、自動車専用道路などで効果を発揮する前走車との距離を一定に保つよう加減速制御を行う「レーダークルーズコントロール」や「LTA(レーントレーシングアシスト)」=同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する高度運転支援機能を備えます。

 

また、LTA作動時にはカメラによる白線認識機能にAI技術を導入し、カーブの大きさによりあらかじめ減速をするなどカーブ時の横Gを一定に保つことで、安定し、快適な走行を実現しました。先行車や対向車を検知し自動でハイビームを制御する「オートマチックハイビーム」、カメラが捉えた道路標識をメーター内に表示する「ロードサインアシスト」。LTA連動型の「ドライバー異常時停車支援システム」や「パノラミックビューモニター」、「パーキングサポートブレーキ」などの搭載によって安全性を大幅に進化させています。

 

ワールドプレミア DEEP DIVEセッション

ワールド・プレミアセッション2では、タウンゼント・ベル氏とLEXUSのマーケティング副社長リサ・マテラッツォ氏が新型ISをさらに掘り下げます。ISはラグジュアリーカーなのかスポーツカーなのかという質問にリサは、「ISは絶妙なラインにあると思っている。開発時の思いで言えばまぎれもないピュア・スポーツセダンです」と答えました。オーディオシステムはマークレビンソンのサウンドシステムでは17のスピーカーがセットされ1800ワットの出力を得ます。

 

また、ここでもShimoyamaの新テストコースに触れ、レーサーのタウンゼント氏が多種多様なうねりや起伏、逆バンクのコーナーの存在を示し、クルマにとって厳しいあらゆる道を想定している設計だと説明しました。そのような環境でうまれたISは車両開発における変革の象徴なのかと質問。リサ氏はそれを認め、あらためてLEXUS独自の乗り味『Lexus Driving Signature』はISがShimoyamaで、それを鍛え上げた最初のLEXUSであるというレクサスインターナショナル佐藤恒治社長の言葉を紹介しています。

 

国内での発売は2020年秋を予定しています。先行予約の情報など、デビューに向けてまだまだ目が離せません。

 

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