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2020/10/8 11:15

【最速インプレ】車内が「Wi-Fi繋ぎ放題」になる「車載用Wi-Fiルーター」がカロッツェリアから登場。使い勝手は? どんな人に向いてる?

昨秋、カロッツェリアのフラッグシップ、サイバーナビの新機能は衝撃だった。NTTドコモの車両用通信サービス「docomo in Car Connect」に対応。定額でLTE通信が使い放題に。クルマの中で、YouTubeや映像系サブスクを観たり、PCを広げて仕事ができたりと、自宅やオフィスと変わらない空間を構築できるようになったのだ。

 

↑今夏、筆者もサイバーナビを使ってクルマからリモートワークをしてみた

 

特に、新型コロナウイルスの感染拡大を経た今春以降はクルマのあり方が激変。「おうち時間」ならぬ「くるま時間」を充実させるデバイスとして唯一無二の価値を提供しているプロダクトだ。

 

とはいえ、純正カーナビしか付けられない車両が、特に新車では増えているし、カーナビを新しく買い直すという選択肢がない人もいるはず。サイバーナビを導入するという敷居の高さはあったのだ。

 

そんな人がいることをカロッツェリアはしっかりと把握して、次の、そしてまたもや画期的な手を打ってきてくれた。それが今回紹介する車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」。発売前に触る機会を得られたので、ファーストインプレッションをお届けしていこう。

 

【今回紹介する商品】

カロッツェリア

車載用Wi-Fiルーター DCT-WR100D

12月発売予定

希望小売価格2万7500円(税込)

 

シガーソケットさえあれば、車内がWi-Fi使い放題に

まず概要をお伝えしていこう。本商品はサイバーナビ同様、「docomo in Car Connect」に対応したデバイス。タブレット菓子のケースほどの小さな本体をセンターコンソールやインパネ周辺に固定。付属の電源ケーブルをシガーソケットに挿す。そして開通設定をすると、その日からNTTドコモのLTE回線が使い放題になる。カーナビではなく、車載用のWi-Fiルーターなのだ。

 

対応車種はシガーソケットがある乗用車なら基本的にOK。新型車だろうが旧車だろうが、どんなクルマもWi-Fi機能を持たせることが可能だ。もちろん、カーナビにWi-Fi接続機能があるモデルの場合、カロッツェリア製品でなくても接続できる。

 

手順はギャラリー形式でまとめたが、機器類が苦手な人でも迷うことなく設定できる内容だった。

【手順ギャラリー(画像をタップすると閲覧できます】

 

さて、1点だけ。本商品、「車載用」を謳うだけあり、動作条件は理解しておく必要がある。下記にテキストと図でまとめてみた。

・走行中は無制限で回線を利用可能(青の部分)

・エンジンスタートから30分間までは回線を利用可能(水色の部分)

・停車後エンジンオンであれば、1時間までは回線利用可能(水色の部分)

・停車中の利用時間が経過するとエンジンオンでも利用不可(ピンク色の部分)

 

要は、走行中は無制限、停車中は一定の制限時間があるということ。実際の利用実態に即した内容にもなっている。

 

確かに、エンジンをスタートして目的地を設定したり、荷物を積み込んだりしても30分以内には出発するだろうし、PA/SAやコンビニで同乗者を乗せたままトイレ休憩や買い物をしても1時間以内には必ず出発する。不便を感じることはないはずだ。

 

スマホつなぎ放題だけじゃない魅力

さて、この車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」、実際にどんな使い方ができるのか。もちろん、スマホをWi-Fi接続して通信し放題、というのが筆頭に挙がるのだが、それだけではない。4点ほど試してみたので紹介していこう。ちなみに、様々なケースや場所で通信してみたが、NTTドコモのLTE回線のため、移動中でも通信はまったくストレスなく使えたというのを先にお伝えしておこう。

 

①HDMIケーブルでスマホの映像をナビやディスプレイオーディオに出力

HDMIケーブルが挿せるカーナビやディスプレイオーディオを持っている人にまず楽しんでもらいたいのがこの方法。スマホと本商品をWi-Fi接続し、HDMIケーブルでスマホとカーナビやディスプレイオーディオをつなぐ。これによって、Netflixなどの映像サブスクサービスをスマホ画面でなく大きな画面で楽しむことができる。また、AmazonのFire TV StickをナビやディスプレイオーディオとHDMI接続すれば、Amazonプライム・ビデオの映像を視聴可能だ。

 

個人的におすすめなのが、スマホとWi-Fi接続はしつつ、スマホとナビやディスプレイオーディオとはBluetoothで接続する方法(上写真)。この方法は映像こそ表示されないが、音はカーオーディオから出るので音はバッチリいい。

 

なぜこれがおすすめなのか? 最近は、オンラインライブなどのアーティストのライブ配信が増えている。多くのライブは生配信後、1週間程度はアーカイブ配信をしているので、配信当日は自宅でしっかりと観て聴く、その後1週間は余韻に浸りながらドライブ中に音を聴くといった楽しみ方ができるのだ。

 

というのは今風の楽しみ方であるが、「運転中は画面が見られないから映像はいらないんだけど、動画の音はいい音で聴きたいんだよね」という人にジャストの使い方と言えるだろう。

 

②後席でもエンタメ映像や音楽を楽しむ

スマホやFire TV StickをHDMI接続して映像サービスを楽しめることは①で説明したが、これは前席だけの特権ではない。後席にプライベートモニターやフリップダウンモニターを設置すれば、後席でも様々なエンタメソースを視聴可能だ。渋滞で同乗者や子どもたちが退屈しても安心というやつである。

 

なお、プライベートモニター自体にもHDMIケーブル端子が用意されているので、スマホやFire TV Stickを接続すれば、後席で単独で映像を楽しむことも可能。飛行機のモニターのように自分の好きなコンテンツで時間を過ごせるのだ。

 

昨今のアウトドア&キャンプがブームになっており、クルマで移動する時間が長くなっていると感じる。そして、withコロナの時代においては安心・安全の観点からクルマ移動が重視されていくはずで、乗車時間は長くなっていくと予想している。そんなときにクルマに乗っている時間も有効活用したいという人にはうってつけだ。

 

③タブレットやゲーム機などをつなげて遊ぶ

カーナビや後席モニターなどを導入するのはちょっと大掛かりという人でも、すでに持っている端末をWi-Fi接続すれば、あっという間にエンタメ空間に変わるのが、本商品のいいところ。最近の映像コンテンツは本体内にデータをダウンロードして持ち運びできるのが一般的だが、事前に準備し忘れるのが人の性である。また、最近のゲーム機は通信接続を前提としたタイトルも多い。子どもがクルマの中でFortnite(大人気のシューターゲーム)をやりたいと駄々をこねてもパケットを気にすることなく、ゲームを遊ばせることができる。

 

④短時間のPC作業や移動しながらオンラインミーティングをする

①〜③はオフの使い方がメインだが、④ではオンの使い方も紹介したい。本商品はPCやスマホがつなぎ放題(接続端末は最大5台)なので、仕事もできてしまう。先ほども述べたように、利用条件があるので、丸一日同じ場所で作業するには適さないが、クルマ移動を伴う働き方をしている人にはおすすめ。

 

取引先の訪問を終えて、ちょっとした事務作業を車内で行ったり、次の訪問先の移動時間に音声のみのオンライン会議を行ったり。会社支給のモバイルルーターがあればいいが、自前のスマホでテザリングしている方も少なからず多いと聞く。

 

あとは、これから拡大が見込まれるワーケション。パートナーや友人たちと出かけつつ、同乗メンバーは通信使い放題なので移動中に仕事ができる。クルマ酔いする人は厳しいし、「そこまでしてワーケションしたい?」という人もいるかもしれないが、選択肢の拡大としておすすめしていきたい。

 

クルマを持たない人でも持つ価値がある一台

ここまで、本商品の概要および使い方の例を紹介してきたが、あくまでクルマを持っている人を前提とした内容であった。が、この商品が素晴らしいと思うのは、クルマを持っていない人でも買うべき意味があるという点だ。

 

例えば、カーシェアを契約している人や、たまのクルマ利用はもっぱらレンタカーという人。この商品はシガーソケットさえあれば利用できるので、クルマを使うときに車内に持ち込んで接続すれば、環境を構築できる。週末の日帰り旅行や帰省の際に使えば、余計な通信費を抑えることが可能だ。

 

これまで車内でWi-Fi環境を構築しようと思うと、自前のスマホをテザリングする以外では、モバイルルーターが一番の解決方法であった。もちろん、モバイルルーターもデバイスとしては有効な手段ではあるが、契約が結構手間。解約手続きもかなりしんどいと個人的には思う。その点、この商品は買い切りで接続設定もdアカウントがあれば、すぐに使える。

 

この商品によって、カロッツェリアは「クルマをオンライン化する」を身近なレベルで実現している。本格的なナビゲーションおよびオーディオ環境と併せて使いたい人はサイバーナビを、オンライン環境に特化して構築したい人は本商品を、といったように自分に合った形で選択できるようになったのだ。

 

今後、MaaSといったモビリティの大変革が次々と起こっていくが、移動の手段だけでなく、クルマでの移動中の質を高めるという点で、カロッツェリアのオンライン化商品は非常に価値があるといえるだろう。