スロットルをひねれば電動バイク、ペダルを漕げば自転車のような感覚で走れる電動ハイブリッドバイク。その新モデル「ハイブリッドバイク GFR-02(以下GFR-02)」が電動キックスクーターなどを手掛けるモビリティ系ベンチャーのglafit(グラフィット)から登場しました。価格は18万円(税別)。近日発売予定です。
GFR-02の進化は盛りだくさん!
グラフィットでは2017年にその初代モデルとして「GFR-01」を発売し、Makuakeを通して5000台以上を販売する実績を残しました。GFR-02はその改良モデルとして登場しただけに、その期待は膨らみます。
では、GFR-02はどのような改良が加えられたのでしょうか。
改良された中でもっとも魅力的なのがインホイールモーターの出力アップでしょう。パワーは0.25kwと変わらないものの、パワーカーブをより最適化したことでスロットルを回した瞬間から力強さを感じるようになったのです。試乗してみると、加速を続けても速度は確実に上がり続け、GFR-01で感じられたパワーの頭打ち感はほぼ感じられませんでした。上限の30km/hまでスムーズに走り抜けたのは大きな進化と言っていいでしょう。
ブレーキのフィーリングもかなり向上しています。前後輪ともディスクブレーキを採用するのはGFR-01と同じですが、軽いタッチでスムーズに制動するようになっていました。今までもしっかり効いてはいたのですが、どちらかといえば効き方はカックンとした感じ。それがGFR-02ではブレーキのかけ方に応じて確実に効いているのがわかり、思った位置にスムーズに停止できます。これは安心感を生む上で大きなプラスポイントになります。
ペダルに直結するクランクの口径もGFR-01の42Tから52Tへと大型化した点も大きなポイントです。自転車モードではペダルを漕いで走行できるわけですが、GFR-01ではギア比が低かったために思うように速度が上がりにくいという声が多かったと言います。私がGFR-01で体感した時も、電動バイクモードから自転車モードに切り替えると速度にペダルが追いつかず空回りすることもありました。クランクの大口径化はその改善にしっかりと応えていたのです。
グラフィットのハイブリッドバイクは、持ち運びができる小型軽量を実現しているのも大きな特徴です。その特徴をさらに発展させるためにGFR-02では折り畳み機構も刷新されました。GFR-02では新たに右折れ式を採用してハンドルポストを外側に収めるように変更。折り畳み時の作業性は一段とスムーズになり、シートポストの長さも見直して折りたたんだ時でも安定して自立できるようになっています。
シェアリングでの展開も念頭に置くグラフィットのハイブリッドバイクでは、GFR-01で既に鍵を持たずに自分の指でロック解除できる「YubiLock(ユビロック)」を搭載していました。ただ、GFR-01ではカバーを開けた後、指紋認証するためのスイッチを押す手間がかかりました。GFR-02ではカバーそのものがスイッチの役割を果たし、開けたらすぐに指紋認証ができるようになったのです。これも嬉しい気遣いです。
そして、あらためてお伝えしなければならないこと、それはGFR-01もGFR-02も道交法上は“ペダル付き原動機付自転車”であることです。そのため、法規上は「原付第一種」となり、車両には保安部品として定められたライトやウインカー、メーターなど保安部品が装備されています。また乗車するには原付免許が必要でヘルメットの着用も義務付けられます。さらに気を付けるべきは、たとえ自転車モードで走行してもこれは変わらないということです。仮にバッテリーが切れて自転車モードで走っていたとしても、道交法上は原付扱いのままなのです。
新機構「モビチェン」に注目!
そのような中でグラフィットは2021年夏頃までに、自転車と電動バイクの完全切り替え利用が可能となる新機構「モビリティカテゴリーチェンジャー」(モビチェン)を発売します。これは原付ナンバープレートを覆うカバーのことで、GFR-01ないしGFR-02にモビチェンを装着してナンバープレートを覆った状態なら道交法上も普通自転車として乗車できるというものです。内閣府のサンドボックス制度を活用してグラフィットのペダル付き電動バイクを対象として認可されており、モビチェンが発売されて以降、全国の警察署に周知されるということです。
GFR-02の発表会場ではその試作品が披露されました。プレートを覆うカバーの上には自転車マークが描かれており、そのマークは外国人にもひと目で理解できるピクトグラムとなっています。さらにカバーをするにはメイン電源を切って、完全に電動バイクとしての機能をOFFにすることから始めます。その上で両手を使ってロックボタンを外してナンバープレートにカバーするのです。このモビチェンはオプションとして販売されますが、価格は未定。GFR-01では配線など引き回し等で取り付けに時間を要するとのことです。
それとGFR-02ではもう一つ見逃せないポイントがあります。それはバッテリー管理です。電動で動く以上、メーター内にはバッテリー残量が表示されるようになっていますが、それは4段階のセグメントで表示されるだけ。正確な残量まではわかりません。そこで新た採用されたのがパナソニックのBMU(Battery Management Unit)です。GFR-02で採用したバッテリーにはこのシステムが内蔵されており、スマートフォン上の専用アプリで残量をより高精度に表示できるようになります。
また、この機能では遠隔モニタリングによる適切なバッテリーオペレーションも実現しています。たとえば劣化したバッテリーの交換時期を適切に案内できるようになるほか、地図データなど外部のデータとの連携により、電池残量から走行できる範囲を推定することもできるようになります。可能性として道路形状や高低差を考慮した最適ルートも案内にも対応でき、その先にはシェアリングサービスの展開なども想定しているそうです。
新型コロナウィルスの感染拡大という状況下にあって、パーソナルなモビリティは世界中で人気を集めており、世界的にも関連部材は手に入りにくい状態が続いているといいます。今回のGFR-02もその影響を受けており、当初予定していた発売スケジュールも延期となってしまいました。走りにしても拡張性にしても電動バイクとして魅力的な一台となったことは間違いなく、それだけに早期発売につながることを期待したいと思います。
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