賛否両論というより必然だった電動ハーレー
ここまで、電動ハーレーダビッドソン・ライブワイヤーの全体を見てきましたが、最後にハーレーダビッドソン ジャパン・プロモーションマネージャーの大堀みほさんに、ライブワイヤー開発の背景について話を聞きました。
ーー言うまでもなくバイクファンにとって、ハーレーダビッドソンは特別なメーカーです。電動バイク・ライブワイヤーの開発には賛否両論があったのではないかと思うのですが。
大堀みほさん(以下、大堀) それが、本国では面白い事態が起きているんですよ。ライダー歴が浅い人、バイクには造詣がなかったけど、ガジェット好きでこれを機にバイクやハーレーダビッドソンに興味を持つ人が増えているようです。従来の「ハーレーダビッドソンの空冷エンジンが好きだ」という流れはこれからも続くと思いますが、一方でハーレーの創業時から続く「変革を恐れない」というこだわりは、ライブワイヤーにも現れていると思っています。
一般的に、ハーレーダビッドソンと言うと、「アメリカンでドコドコとゆったり走る」イメージがあるかもしれませんが、実際には様々なモデルがあり、各モデルそれぞれにファンが存在しています。なので、今回のライブワイヤーは賛否両論の末というより「新しいバイクの楽しみを提供する」という意味で必然的に開発されたと思っています。
ーーその「変革」には時世的な影響もあったのでしょうか。日本国内の四輪では2000年代から電動自動車が浸透し始め、最近では「2030年にガソリン車の新車を廃止する」という政府の方針も発表されました。
大堀 社会的な流れはもちろん意識しています。排出ガスに対する取り組みは四輪が先立って行っていますが、その波は二輪メーカー各社にも来ています。いわゆるSDGsのように持続可能社会を考えていかないことには企業は生き残っていけませんので、そういった意味でライブワイヤーを開発した経緯はあります。
しかし、バイクというのは「乗ってみて面白い」「カッコ良いものに乗りたい」というものでないと淘汰されていってしまうと思うんですね。バイクをただの足として考るのであれば、スクーター、自転車など代替品は他にもあると思いますし。しかし、「ハーレーダビッドソンに乗りたい」と思ってくださるお客さまに対して、前述のような社会的なことを意識しつつ新しい価値の提供をするということで、今回のライブワイヤーの開発に至ったところがあります。ですから、見ていただいた通り機能面だけでなく、デザイン面にもすごくこだわったモデルです。
まだ発表したばかりのライブワイヤーですが、このモデルを通してバイクの新しいライディング体験を提供できるとも思っています。ぜひ機会がありましたら、店頭へのご来店や、今後実施予定の試乗会などにお越しいただき、ライブワイヤーに触れていただければ嬉しいです。
電動ハーレーダビッドソン、ライブワイヤーは未来を見据えた同社の新しいバイクの提案であり、この試みがバイク市場全体にも連鎖するようにも思いました。環境、機能、ルックスとも三方ヨシのライブワイヤー。ぜひ機会があったら触れてみてください!
撮影/我妻慶一