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2021/1/20 6:00

ローカル線用の国鉄形電車「105系」と「123系」の気になる行く末

 〜〜希少な国鉄形電車の世界その2「103系」「123系」〜〜

 

国鉄形電車の中には103系のように大量に製造され、各地の路線で活躍した車両がある一方で、限られた路線用に造られた国鉄形電車がある。例えば105系や123系といった車両があげられるだろう。

 

今回は地方ローカル線用に新造され、また一部は改造され105系と123系となった車両に迫ってみた。それぞれとても味わいのある車両なのである。

 

【はじめに】地方線区に残った旧型国電の置き換え用として登場

前回に紹介した新性能電車101系と、経済性を重視した103系。両車両の大量投入によって、旧形電車(旧型国電とも呼ばれる)の置き換えがかなり進んだ。一方、地方の線区では1980年代まで、旧型国電が多く残っていた。地方の線区に残っていた旧型国電の置き換え用に誕生したのが105系だった。

 

◆3扉か4扉車かで新造車か改造車か分かる

105系が登場したのは1981(昭和56)年のこと。地方ローカル線用の電車ということで、2両編成で運行できるように計画された(当初は4両編成も造られたが、その後に2両化)。国鉄の行く末に暗雲が立ちこめていた時期でもあり、経済性を最も重視している。電動車1両、付随車1両という組み合わせを基本とした。台車や主電動機も103系と共通化してコストを抑えている。

 

105系には2タイプがある。「新規製造車」と、103系を改造して105系とした「改造編入車」である。台車や主電動機は103系と同じにしたこともあり、改造しやすい利点もあった。

↑可部線を走った105系「新規改造車」。3扉が特徴だった。可部線の105系はすでに227系に置き換えられた 2015年3月27日撮影

 

1981(昭和56)年にまず福塩線、宇部線・小野田線に「新規製造車」が導入された。1984(昭和59)年からは、103系を改造した「改造編入車」が奈良線、和歌山線、紀勢本線の一部と、可部線に導入された。「新規製造車」と「改造編入車」の大きな違いは乗降扉の数が違うところ。「新規製造車」は3扉で、「改造編入車」は103系からの改造ということで4扉だった。よって外観を見ればすぐにどちらかが分かる。

↑和歌山線の105系は4扉車の「改造編入車」が使われた。和歌山線の105系は2019系9月末で運用を終えた。2017年3月20日撮影

 

可部線にはかつて同じ105系ながら3扉車、4扉車が混在していた。その後2016年には扉の数を統一するために、先に4扉の105系が姿を消している。新造車と改造車が混在していたころは、利用者にとって、さぞや使いづらかったことだろう。ちなみに新型の227系が導入され、可部線からは3扉車を含め105系のすべてが姿を消している。

 

◆“パンダ顔”の正面と異なる103系のままの姿を持つ105系も

新造した105系の正面中央には貫通扉があり、窓が左右に取り付けられている。左右の窓周りには黒色ジンカート処理と呼ばれる、黒の縁取り塗装が行われている。こうしたデザインから、鉄道ファンは“パンダ顔”とも呼んだ。確かにパンダに見えないこともない。

 

105系の「改造編入車」のうち中間車を改造した車両もそんな“パンダ顔”が取り付けられた。そんな中に異なった形の正面を持つ105系も混じっていた。この車両は元常磐緩行線を走った103系1000番台を改造したものだった。常磐緩行線では後継車両の203系が投入されたことで、103系が使われなくなっていた。この103系を2両化、片側は常磐緩行線の103系の正面のままの姿で、一方の正面は“パンダ顔”が付けられた。要は前後で正面の形が違う105系となったわけである。

↑可部線を2016年まで走った105系。写真は103系改造編入車で常磐緩行線の正面がそのまま活かされていた 2015年3月27日撮影

 

他には仙石線用に4両編成の103系を2両化する改造工事が行われ、こちらの改造車も105系に組み込まれている。こうして新規製造車60両、改造編入車が65両(後に1両補充)の計126両が造られた。一時は大所帯となった105系だったが、すでに生まれて40年近くたち、徐々に減っていき、今はJR西日本の50両を残すのみとなった。路線はわずかに4路線のみになっている。

 

そのうち1路線ではこの春に105系の運用の終了が予定されている。105系が残る4路線の現状を見ていきたい。

 

【105系が残る路線①】この春で消えそうな紀勢本線の105系

近畿地方で今や唯一、105系が残るのが紀勢本線だ。紀勢本線の中でも紀伊半島の最南端にあたる紀伊田辺駅〜新宮駅間の普通列車に使われるのみとなっている。2021年3月のダイヤ改正で、すでに和歌山線に導入されている227系1000番台が、この区間に導入されることが発表されている。代わって105系が引退ということになりそうだ。

 

◆車両の現状:わずか2編成の4扉車が注目を浴びている

↑先頭の車両がクハ105-6で103系1000番台の正面デザインを残した車両だ。紀勢本線の紀伊田辺駅〜新宮駅間を不定期で走る

 

紀勢本線に残る105系は吹田総合車両所日根野支所・新在家派出所の計14両で、このうち5編成が3扉の「新規製造車」。残り2編成が4扉の「改造編入車」が配置されている。ちなみに車両基地、新在家派出所は和歌山線の和歌山駅〜田井ノ瀬駅間にある。

 

4扉の「改造編入車」はあくまで3扉車の予備車の扱いで、3扉車が検査の時などに走る。この4扉車2編成のうちSW009編成のクハ105-6車両が今や貴重となった103系1000番台の正面デザインを持つ。そのために注目度も高くなっている。

 

◆運用の現状:本数の少ない閑散区で狙いたい“下り”列車

紀勢本線の105系の運用では4扉車があくまで予備車両扱いだが、鉄道ファンからはこの予備車両の運行が「紀南代走」として注目が集まっている。とはいえ列車本数の少ない区間のこと。日中は2〜3時間も列車の間隔が空くという閑散区で、それだけ105系を巡りあえる機会が少ない。「紀南代走」は常に行われるものではないので、Twitter等で情報をキャッチした方が賢明だろう。

 

乗車はできるものの撮影となると、かなり難度が高そうだ。紀伊田辺駅発の日中(朝夕を除く)に走る“上り”列車は10時41分と13時10分発のみ、一方、新宮駅発の“下り”列車は9時23分、11時26分発、13時6分発、15時30分発と上りに比べると本数が多くなる。大阪方面からは、特急列車を使って撮影地近くの駅まで出かけ、下りの105系にのんびり乗車、撮影するのがベストと言えそうだ。

 

紀勢本線を最後に近畿地方の105系は3扉車を含めて全車両が引退の予定だ。とはいえこのコロナ禍である。海を背景に走るオーシャンカラーの105系は、ファンに見送られることもなく、静かに引退ということになるのかもしれない。

 

【105系が残る路線②】福塩線向け新造105系が今も健在

105系が残る他の3路線は、いずれも中国地方にある。まずは福塩線(ふくえんせん)の105系から紹介しよう。広島県の福山駅と塩町駅を結ぶ福塩線。この路線の福山駅と府中駅間が直流電化区間で105系が主力車両として活躍している。

 

◆車両の現状:福塩線電化区間の主力は105系

↑福塩線の神辺駅〜湯田村駅間を走る105系。新造された車両で、105系オリジナルの姿を残している

 

車両は福塩線用に造られた3扉の「新規製造車」。当初は山吹色の地色に紺色の帯だったが、2009年からは濃黄色に塗り替えられている。なお、府中駅〜塩町駅間は非電化区間で、キハ120形が使われている。また福山駅〜神辺駅(かんなべえき)間には井原鉄道の気動車も乗り入れている。

 

◆運用の現状:岡山駅まで乗り入れる105系運用の列車も

↑府中駅発7時51分、岡山駅9時53分着の列車には105系が使われていた。山陽本線の福山駅〜岡山駅間ならば105系が撮影可能になる

 

福塩線を走る105系は岡山電車区に配置される。車両数は2両×7編成の計14両で、それほど多くはない。列車の本数は1時間に1〜2本で、福山市の郊外路線として機能している。列車の一部には同じ濃黄色の113系もしくは115系が使われている。福塩線を訪れる際には、105系だけでなく、福塩線を走る113系や115系、さらに井原鉄道の気動車を一緒に撮影したほうが賢明だろう。

 

なお福塩線から岡山駅まで乗り入れる列車も日に2本運行、また岡山駅発、府中駅行の列車も1本が運行されている。つまり福塩線を訪れなくとも、山陽本線の福山駅〜岡山駅間で105系に乗ったり撮ったりすることはできるというわけだ。この乗り入れ列車を有効に活かしてみてはいかだろう。

 

【105系が残る路線③】まだまだ走る宇部線・小野田線の105系

今や貴重な105系が走る区間は山口県内にもある。山口県内を走る宇部線と小野田線だ。2本の路線は105系の共通運用区間なので一緒に紹介したい。この2線のうち特に宇部線は105系が主役として走る。ちなみに小野田線の主力は123系で、この123系も車両数が非常に少ない国鉄形電車だ。この123系の詳細は後述したい。

 

◆車両の現状:105系「新規製造車」が22両も残る

↑小野田線を走る105系。小野田線の主力は123系で、朝などラッシュ時に105系が使われる

 

宇部線、小野田線を走る105系は3扉の「新規製造車」。JR西日本の中国地方を走る電車と同じく濃黄色の車体で走る。配置は下関総合車両所運用検修センターで、2両×11編成、計22両と105系が最も多く配置される車両基地でもある。

 

◆運用の現状:下関駅〜宇部駅間を走る105系も

宇部線の宇部駅〜新山口駅間はほぼ1時間に1本、列車が走っている。また宇部駅〜宇部新川駅間は朝夕の列車本数が増える。このうちほとんどが105系での運行で、一部に123系で運行の列車も混じる。また宇部駅からは、朝は厚狭駅や下関駅行まで山陽本線へ乗り入れる列車も走っている。この乗り入れ列車には105系と123系が連結して走る列車があり、鉄道ファンに注目されている。また朝夕には、厚狭駅、下関駅、また小野田線の小野田駅から宇部線へ乗り入れる列車もあり、変化に富んだ列車運行が行われている。

 

一方の小野田線の主力は123系となる。小野田線は宇部線と接続する居能駅(いのうえき)と小野田駅を結ぶ路線だが、途中の雀田駅(すずめだえき)から長門本山駅までは、本山支線という路線距離2.3kmの支線が延びている。朝に2往復と、夕方に1往復と、列車本数が非常に少ない路線で、しかもホームの有効長が1両分しかない、JRとしては異例な“超ローカル線”だ。走る123系も希少な車両ながら、非常に興味深い路線でもある。

↑宇部線の上嘉川駅〜深溝駅間の岡村第一踏切付近を走る105系。同線では濃黄色3扉の105系新規製造車が今も主力として走る

 

宇部線、小野田線ともなると、なかなか都市圏から遠く訪れる機会が少ないが、宇部線では新山口駅の隣、上嘉川駅(かみかがわえき)近くの岡村第一踏切が筆者のお気に入りの撮影スポットとなっている。水田風景が広がるところで見通し良好。宇部線の列車が途切れる時間は、近くの山陽本線に移動しての撮影ができる。宇部線の列車がやってくる時は、また宇部線に戻っての列車撮影が楽しめる場所で、まさに“一挙両得”といったポイントでもある。お勧めしたい。

 

【123系が残る路線】唯一となった123系が走る宇部線・小野田線

今回は宇部線・小野田線を走る123系の紹介もしておこう。この電車も今となっては貴重であり、レアな国鉄形電車でもある。

 

まずは生い立ちから。123系は1両での単行運転ができるJRグループでは貴重な電車である。国鉄がJRとなる前後の1986(昭和61)年から1988(昭和63)年にかけて誕生した。新造ではなく、当時、すでに使われなくなっていた荷物電車、事業用車を改造して新たに旅客用電車としたものだ。合計13両が造られている。JR東日本とJR東海、JR西日本の3社に引き継がれたが、すでにJR西日本のみにしか残っていない。

 

◆車両の現状:残る5両が小野田線を中心に“最後のご奉公”?

↑クモハ123-3。可部線用に改造されたグループの1両だ。乗降用扉が乗務員用の扉のすぐ近くにあるのが特徴だ

 

JR西日本に残るのはわずかに5両。すべて105系と同じ下関総合車両所運用検修センターに配置されている。残る123系は、クモハ123形の2から6まで。元の車両はクモニ143形という形式名の荷物車で1980(昭和55)年前後に造られた。2〜4車両と、5・6車両は履歴が異なるとともに、外観も異なっていて興味深い。2〜4車両は可部線向けに改造された車両で、後者の5・6車両は阪和線の羽衣支線用に改造された。両車両は側面の窓の形、そして扉の位置が異なっている。

↑クモハ123-6。こちらは阪和線羽衣支線用に改造された車両で乗降扉の位置と形が異なる。荷物車の面影を残すように扉が奥まった位置にある

 

◆運用の現状:小野田線の主力車両としてまた下関へも走る

小野田線では一部の列車を除き、123系が使われる。特に小野田線の本山支線は、ホームの長さの問題があり123系のみでの運行となる。

 

また前述したように宇部線から下関駅へ乗り入れる列車にも123系が連結されている。よって小野田線へ行けば、123系は確実に乗れるし、また撮影も可能と言っていいだろう。また写真で紹介したように、残存する123系の中でも形が異なる車両が含まれ、このあたりは意識的に捉えておきたいところだ。

↑残存する中ではトップナンバーのクモハ123-2。写真の塗装は旧塗装で今は全車濃黄色となっている 2013年9月14日撮影

 

宇部線・小野田線に残る105系や123系は今後、どのぐらいまで使われるのだろうか。JR西日本は車両を長く使う傾向があり、国鉄形電車が多く残る。もし変るとしたら105系は和歌山線や紀勢本線と同じように227系1000番台に、123系はJRグループで唯一1両の単行運転が可能な125系への置き換えとなると見られる。

 

とはいえ、JR西日本には103系や、113系、115系、117系とまだまだ古い国鉄形電車が多く残る。105系や123系よりも古い車両もあり、まずはそちらからの置き換えが優先されることになりそうだ。

 

小野田線の本山支線は、旧型国電最後のクモハ42形が2003(平成15)年3月まで使われた路線でもある。最後のクモハ42-001に至っては70年にわたって鉄路を走り続けた“超ご長寿車両”でもあった。この例から見ても宇部線・小野田線は、国鉄形電車が走る最後の“聖地”となる可能性を秘めている。

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