【展示ゾーン②】クラシックなマスコンハンドルでの運転が可能
◆ジオラマパーク(2階)◆
1階のヒストリーシアターの奥に、このミュージアムのメイン施設、ロマンスカーギャラリーがある。ここには5車種10両のロマンスカーが保存される。こちらの展示内容に関しては前編を参照していただきたい。
ロマンスカーギャラリーを見終わった後は、エスカレーターで2階へ。そこにはジオラマパークが広がっている。なんとその大きさは約190平方メートルにもなるとか。坪数でいえば57.48坪という広大なスペースにジオラマが広がる。
そこには小田急線沿線の景色が再現されている。用意された建物数も800を超え、入口側が新宿、そしてジオラマの終端部分が箱根湯本駅となっている。
ジオラマにはHOゲージスケールのロマンスカー新旧10車種と、通勤電車5車種が走る。江ノ電の電車も走っている。Nゲージに比べて一回り大きなHOゲージの車両(箱根登山鉄道にはNゲージも使用)だけに、ロマンスカーの編成走行にも迫力が感じられる。使われる線路の総延長は400m、側線まで含めると500mに及ぶとされる。
ジオラマ展示では約36分にわたる「小田急沿線の1日」が。さらに合間には約9分間の「時間と距離のロマンス」と名付けられたジオラマショーが楽しめる。映像+音響+照明を伴った演出で臨場感たっぷりだ。
かなり手がかかったジオラマパークだが、制作したスタッフに聞いてみると構想10年、制作には3年以上の歳月をかけてできあがったものだとか。制作者の方たちの苦労が、4月の公開でようやく報われるわけである。
◇透明のカバーにより旧式マスコンハンドルの複雑な構造がわかる
凝ったジオラマパークの造りだが、面白かったのが用意された2つの「ジオラマ運転体験」用のコントロール機器。ツーハンドルと呼ばれる左にマスター・コントローラー(マスコンハンドルとも呼ばれる)と右にブレーキレバーがある作りだ。現在の小田急の新造車両はワンハンドルが主流になっているが、8000形などに残されるツーハンドルが、ここで再現されているのである。
右のブレーキハンドルは、使うことができないものの、左のマスコンハンドルを操作しての、ロマンスカーGSE(70000形)と、江ノ電500形の運転体験(3分100円)が楽しめる。
面白かったのは、用意されたマスコンハンドルの造り。通常のマスコンハンドルはボディ部分が鉄板に覆われているが、このパークのマスコンハンドルは透明カバーで覆われている。今の電子機器化されたワンハンドルに比べて、機械的な造りのツーハンドルで、ひと時代前のマスコンハンドルがいかに複雑な造りをしているのかがよくわかる。
【展示ゾーン③】ロマンスカーの部屋の中で存分に遊べる
◆キッズロマンスカーパーク(2階)◆
ジオラマパークを見終わり、部屋を出ると、そこには「キッズロマンスカーパーク」が広がる。木で造られた巨大なロマンスカー、7つの車両には子どもたちが遊べる空間が設けられている。
こちらには紙で作られたキッズジオラマが用意されている。工作部屋で手づくりしたペーパートレインを、キッズジオラマで走らせることができるのだ。
◇GSEカラーやMSEカラーの部屋があるのも楽しい
キッズロマンスカーパークの奥は土足厳禁のスペース。通路を入って行った部屋の外装は、GSE(70000形)や、MSE(60000形)といった車体カラーそのもの。本物のMSEの車体のようにオレンジと白の細いラインが入ったこだわりだ。部屋の中には、ロープで斜面を上り下りする遊具や、おかずの形をした木のおもちゃをロマンスカーの形のお弁当箱に詰める遊具セットなどもある。さらに、鉄道の絵本が読めるコーナーなども用意されていて、親子そろって楽しい時間を過ごすことができそうだ。