新しい生活様式の手段として注目を集めるキャンピングカー。密を避ける旅行手段としてだけでなく、リモートワークの広がりで仕事場としても活用できることで注目度が高まっています。そんなキャンピングカーが集まる日本最大のイベント「ジャパンキャンピングカーショー2021」が4月2日~4日の3日間、幕張メッセにて開催されました。軽自動車ベースのモデルから高級なキャンピングトレーラーまで、筆者が気になったモデルを紹介しましょう。
[軽キャンパー編]
軽自動車の規格に収まるサイズで、導入費用だけでなく維持費も安く抑えられるのが魅力です。これまでは軽バンをベースとしたモデルが中心でしたが、今年のショーでは軽トラをベースに、荷台にキャビンなどを設置したモデルも目立ちました。
【その1】横開きポップアップルーフで広い空間
「スマイルファクトリー/オフタイムトラベラー2 ポップアップルーフ」
こちらは軽バンのスズキ「エブリイ」がベースですが、横開き式のポップアップルーフを装備しているのが特徴。軽バンベースだと、車内空間が限られるのが欠点ですが、屋根が開いて居室になるポップアップルーフで空間を拡大できるようになっています。これまでは縦開き式のポップアップルーフが主流でしたが、このタイプは足元が狭く、寝ることはできても大人が過ごすには窮屈なものでしたが、横開き式とすることで空間にゆとりを確保。オプションを装備した展示車の価格は413万27円(ポップアップルーフなしは258万7828円)です。※以下、すべて税込。
【その2】落ち着けそうな和風の内装
「岡モータース/ミニチュアクルーズ遍路」
同じくスズキ「エブリイ」をベースにユニークな和風の内装に仕上がっている点に注目。リアシートを倒した空間に、畳を表皮に用いたマットを敷き詰め、フラットな空間を作り出しています。サイドの棚部分にも障子を設置し、カーテンも和風の素材を使うなど、細部まで徹底した作り込み。105Ahのサブバッテリーやエアコンも標準装備し、快適性能も忘れていません。価格は259万9300円〜で、ソーラーパネルなどのオプションを装備した展示車の価格は287万8700円。
【その3】格安で導入できる軽トラキャンパー
「マックレー/エルミタ LIMITEDパッケージ」
最近、注目度が高まっているのが、軽トラの荷台に設置する“モバイルハウス”とも呼ばれるボックスです。DIYで自作することもできますが、こちらの「エルミタ」シリーズは完成品として購入可能。写真の「LIMITEDパッケージ」は174万9000円ですが、最も安い「SHELLパッケージ」は108万9000円で購入できます。軽トラ自体は別途用意する必要がありますが、モバイルハウスの導入は泊まれる車内空間を導入したいと考えている人にはおすすめです。
【その4】個性的なデザインの軽トラベースモデル
「コイズミ/かるキャンなげっと」
スズキの「キャリイ」をベースに、フォード「F-150ラプター」をイメージしたフロントフェイスキット(16万2800円)を組み込み、4インチのリフトアップをするなど大きくイメージを変えたモデル。荷台に設置されるのはキャビンではなく「DEPLOY BOX」(74万8000円)というキャンプ道具などの収納ボックスで、その上にハードシェルタイプのルーフテント(44万8800円)を装備しています。泊まれるだけでなく、アウトドアで遊べるように仕上がったこのモデルは、乗り出し価格240万円で販売されていました。
[バンコン編]
トヨタ「ハイエース」、日産「NV350キャラバン」などのワンボックス車をベースにキャンピングカーに仕立てられたのがバンコンと呼ばれるジャンル。近年は商用車っぽい雰囲気を払拭したモデルや、ミニバンをベースとしたモデルが人気です。内装に木材を多用した“バンライフ”系のモデルも台数が増えています。
【その5】ディーラーで購入可能なメーカー純正車
「日産ピーズフィールドクラフト/NV350キャラバン マルチベッド」
メーカー自らブースを設け、このジャンルに力を入れていることを感じさせたのが日産ピーズフィールドクラフト。ファミリーユースにも人気が広がっている「NV350キャラバン」に専用のベッドキットを装着したモデルを展示していました。ベッドの表皮にシートと同じものが採用されているのはメーカー純正ならでは。ベッドは左右跳ね上げ式でオプションのテーブルを設置すれば、仕事場としても使えそう。ベッドキットはオグショー製で、跳ね上げた際に後方視界を邪魔しないのもいいところです。価格は340万3400〜で購入できます。
【その6】コンパクトで乗りやすく街に馴染む仕様
「日産ピーズフィールドクラフト/NV200バネット マルチベッドワゴン」
同じく日産ピーズフィールドクラフトブースには、よりコンパクトな「NV200バネット」をベースとしたモデルも展示されていました。このサイズであれば、普段の買い物などにも気負わず使えそうです。それでいて、ベッドキットを展開すれば奥行き1720mm、幅1270mmのフラットなスペースを作れるので、大人2人が横になれます。オプションにはテーブルも用意され、写真のような2トーンボディカラーを選べば商用車っぽい雰囲気も払拭できます。262万4600円〜という価格も魅力的ですね。
【その7】フランス生まれのバンをキャンパー仕様に
「ホワイトハウス/ベルランゴ キャンパー・ソレイユ」
スペース効率に優れた輸入車として注目されているシトロエンの「ベルランゴ」。そのキャンパー仕様が早くも出展されていました。セカンドシートを倒して実現するフラットなスペースのほか、ポップアップルーフを装備し、車内で4人が就寝可能。就寝スペースの下にはスライド式の収納も備えていて、そこをアウトギャレーとして活用するオプションも用意されています。車内のスペースをアウトドアスペースとして拡大できますよ。価格は449万3500円〜。
【その8】キャンピングカーのリアルな使用感がわかる
「TOY-FACTORY/BADEN Casa Homestyle Edition」
スタッフが実際にプライベートや通勤で使っている車体を展示していたのがTOY-FACTORYのブース。ベース車両は「ハイエース」のキャンパー特装車で2.7Lガソリンエンジンの4WDなので、様々なシーンで活用できそう。キャビン部分はベッド展開できるほか、車体後部にもベッドを装備し、5人が就寝可能。車両本体価格は668万円、インバーターや電子レンジ、大型ナビなどのオプションを装着した展示車の価格は885万1100円です。
【その9】商用車をオシャレな車中泊仕様に
「GORDON MILLER MOTORS/GMLVAN-C01JSF」
「ハイエース」や日産「NV200」などの商用バンをベースに、ウッド素材で内装をリファイン。GORDON MILLER MOTORS(ゴードン ミラー モータース)は、フロントフェイスなどの外装も変更することで商用車っぽい雰囲気を払拭した車中泊仕様車をリリースしています。今回紹介したいのは、journal standard Furniture(ジャーナルスタンダード ファニチャー)とコラボしたモデル。「NV200」をベースに、車内をフラットにできるようにカスタマイズし、シートにはオリジナル生地を採用することでオシャレな雰囲気に仕立てています。価格は2WDで421万3000円、4WDは465万3000円です。
[キャブコン・バスコン・トレーラー編]
トラックなどをベースにキャビンを架装したのがキャブコン。マイクロバスをベースとしたものがバスコンです。バンコンに比べて車体が大きく、車内で立てる空間を確保するなど居住性が高いのがメリットです。クルマで牽引するキャンピングトレーラーも人気が高まっているジャンル。価格を抑えたモデルから超豪華なものまで選べるのが特徴です。
【その10】アウトドア派やペットと一緒に旅したい人に
「VANTECH/CORDE RUNDY」
キャブコンのビルダーとして幅広いモデルを展開しているVANTECH(バンテック)が新たにリリースしたのが「CORDE RUNDY(コルドランディ)」。リビングスペースは1860×1390mmの広大なベッドスペースに展開可能なほか、エントランスの床部分には防水加工を施し、汚れたら水洗いが可能です。アウトドアアクティビティを楽しみたい人や、ペット連れで旅をする人にはありがたい装備。運転席上のロフトベッドは左右に振り分けたツインタイプとなっているのも新しい提案です。価格は765万3000円。
【その11】運転のしやすさにも配慮したバスコン
「RVグランモービル/トラッド699」
トヨタのマイクロバス「コースター」をベースに、内装をキャンパー仕様としたモデル。キャビンの奥には2つの常設ベッドを備えるほか、リビングスペースもベッド展開が可能で大人3人が就寝できます。それでいて、9人が乗車可能なように前向きの座席も残しており、窓も塞がずに運転もしやすいように配慮。3世代の家族で出掛けて、若い世代は外でキャンプするような使い方を想定しているとのことです。価格は1188万円。
【その12】こんなリビング空間を持ち運べる
「ケイワークス/X-cabin 300」
トレーラーには牽引免許が必要なモデルもありますが、「X-cabin 300」は750kg以下の普通自動車免許で引くことができます。キューブ型のシルエットもユニークですが、内装もシンクやトイレなどの水回り装備を廃してシンプルなリビング空間を実現しています。広いソファはベッド展開も可能で、広がりを感じる作りは牽引免許不要なモデルとは思えない完成度。キューブ型の形状を活かした設計です。価格は473万円〜。
【その13】ビジネスシーンにも対応できるハイグレードラウンジ
「ニートRV/ウィネベーゴ ボヤージュ フィフスホイール V3436FL」
全長11.95mというサイズに驚く巨大トレーラー。フロントリビング部分などは引き出すように左右のスペースが拡大可能で、内装も移動可能とは思えないほど豪華な作りです。エアコンや温水シャワーはもちろん、ガス式の温水装置やヒーターなども備え、快適な居住が可能。キングサイズのベッド(オプション。標準はクイーンサイズ)や広いキッチンもあり、完全に“住める”装備で、価格も1232万円〜と家並みとなっています。
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