世界中の自動車メーカーから新モデルが次々と登場しているが、中でもドイツとフランスのSUVが活況だ。質実剛健のイメージが強いドイツ車、小粋でオシャレなフランス車。それぞれをこよなく愛するプロが、良さをプレゼンする!
※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。
【フランス車支持派】
優れた機能を美しく表現し生活を豊かにしてくれる
フランス車を語るうえでやはりバカンスは外せない。家族全員でリゾートを目指し、何週間も羽根を伸ばす。そのためにはキャビンでゆったり過ごせて、荷物がたくさん積めて、乗り心地が良く、高速道路から山道まで安定して走るクルマが必須だ。
多くのフランス車は、そんなユーザーの声に応える存在であり続けてきたが、いまではSUVこそ彼らにとって最適なパートナーだ。
フレンチSUVは、オフロード走行のために四駆にしたりということはほとんどない。ドライブモードセレクターを付ける程度だ。年に1〜2回しか使わないメカニズムなら不要というのが彼らの考え方。フランス車のお家芸でもある合理主義が息づいている。
その代わりデザインはきっちりオフタイム仕様に。同じクラスのハッチバックとはしっかり差別化している。もちろんガチガチのヘビーデューティを連想させる箱型にはしていない。日々の生活の中で映えるアウトドアファッション、例えばエーグルみたいなテイストを目指している。
エーグルはそこにあるだけで、どこかに出かけたくなる。気持ちにアピールしてくるデザインの力はさすがというほかない。
だがその形は見かけ倒しでは断じてない。アートの国だからこそ、デザインはアートとは違うことを理解している。優れた機能を美しく表現するという、真のデザイン能力に長けているのだ。
その思想はフレンチSUVにも息づいている。キャビンは同クラスのハッチバックより確実に広く、荷物もたくさん積めるうえに、使い勝手を高める生活の知恵的な仕掛けも盛り込んでいて、乗るたびに良い道具だと実感する。
ファッションやレストランにも言えることだが、フランスはいつも量より質の豊かさをもたらしてくれる。それはSUVにも当てはまることは間違いない。
【森口さんオススメのフランス車「SUV」3傑!】
【No.1】欧州SUVベストセラーに輝いたフレンチSUVの雄
ルノー
キャプチャー
299万円〜319万円
2020年の欧州ベストセラーSUVに輝いたモデル。ボンネットの抑揚など力強いデザインと、新設計の軽量かつ高剛性なプラットフォームにより、スムーズな走りを実現。先進の運転・駐車支援システム「ルノー イージードライブ」も搭載。
スタイリッシュかつ乗り心地と走りも合格点
「昨年の欧州SUVベストセラー。スタイリッシュなのにひとクラス上のキャビンの広さと、力強く上質な走りがポイントです」(森口さん)
【No.2】随所に曲線美を散りばめた“走るモダンアート”
DS オートモビル
DS3 クロスバック
373万円〜436万円
ボディの随所にあしらわれた彫刻のような陰影と曲線美が印象的なSUV。ダイヤモンド型にレイアウトされたスイッチとエアコン吹き出し口など、インテリアにもフランスの文化が息づく。
コンパクトなボディに豪華さをギュッと凝縮
「走るヴェルサイユ宮殿と呼びたくなる豪華なエクステリアとインテリア。これがコンパクトサイズで堪能できるのは貴重です」(森口さん)
【No.3】美しく力強いデザインでパワートレインも多彩
プジョー
3008
397万6000円〜565万円
垂直に立ち上がるフレームレスのフロントグリルの美しさと、ボディの力強い造形が印象的なSUV。ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドとパワートレインの多彩さも魅力だ。
鮮烈な印象のSUVは4WDの設定も選べる
「ボディサイドの上下を走るシルバーのラインが鮮烈な個性を表現。現行フレンチSUVで唯一の4WD設定という点にも注目です」(森口さん)
【ドイツ車支持派】
質実剛健かつオシャレでパワートレインも豊富!
世界の自動車マーケットのうち30%がSUVという時代であり、欧州でもSUV人気はとどまるところを知らない。それであれば俄然、自動車大国であるドイツに目を向けるべきだ。
さらに言えば、世界的に売れているSUVの中でも、広大な大陸のアメリカや中国では大型SUVが売れているが、中世の町並みが残る欧州ではミドルサイズやコンパクトSUVが売れている。それもあって、日本で乗るなら俄然、欧州で支持されるサイズのほうが実用的でもある。加えて、欧州勢で初めてSUVの分野に乗り出したのはBMWである。特筆すべきは、SUVではなくSAV(=スポーツ・アクティビティ・ビークル)と称して、あくまでBMWらしいスポーティな走りを重視して開発している点だ。もちろん、メルセデス・ベンツやアウディ、そしてスポーツカーのポルシェもSUVをラインナップしており、ドイツ車のSUVは百花繚乱だ。
技術大国ドイツらしく、パワートレインのラインナップも幅広く備えており、低燃費ディーゼルやハイブリッドモデルも揃い踏みだ。EV走行できる距離も長めになっており、静かな住宅地から朝早く出発するようなときでも、スーッと音もなく走り出せるし、エンジンと電気モーターの相乗効果を発揮して、ドイツのアウトバーンよろしく高速道路を快適に駆け抜けることもできる。
カッコや使い勝手も良くて、最新のコネクティッドを搭載となると、お高いんでしょう? と思うかもしれないが、400万円アンダーのエントリーモデルもラインナップ。手が届きやすい価格からプレミアムまで揃うのもうれしい。
家族を乗せることも多いSUVゆえに安全機能の充実もドイツ車の得意とするところ。質実剛健でもSUVならオシャレ。しかも安全性能も高い。ゆえに、筆者はドイツ車SUVを推すのだ。
【川端さんオススメのドイツ車「SUV」3傑!】
【No.1】大幅な軽量化を実現しスポーティな走りが楽しめる
BMW
X3
675万円〜908万円
BMWのSUVで中核的なモデル。先代よりも車両重量を55kg軽量化し、バネ下重量も削減して走りの質を高めている。ディーゼル、プラグインハイブリッドモデルも追加され、多彩なパワートレインから選択可能だ。
良く走りカッコイイ“ちょうど良い”SUV
「数多いBMWのSUVの中で、大きさと走りがちょうど良いモデル。荷物をたくさん積んで家族で出かけるのに最適です」(川端さん)
【No.2】アウディ最小のSUVはキレの良い操舵性が魅力
アウディ
Q2
394万円〜430万円
コンパクトながら余裕の居住性と積載性を備えたSUV。プログレッシブステアリングによるキレの良い操舵性は快適なハンドリングを実現する。気筒休止機構による燃費向上性能にも注目。
アンダー400万円で手に入るドイツ車SUV
「プレミアムブランドのアウディですが、このQ2はSUVシリーズの末っ子。ゆえに手が届きやすい価格帯なのも魅力です」(川端さん)
【No.3】圧倒的な加速力を誇る走りはポルシェそのもの
ポルシェ
マカン
737万円〜1252万円
同社フラッグシップSUVのカイエンの弟分に当たるモデル。インテリアや走りはポルシェそのものだ。最上位のマカン・ターボなら100km/hまでの加速がわずか4.5秒という強力な加速力を誇る。
ポルシェの名に恥じないスポーティさは圧巻
「1000万円以下で手に入るうえに人気のSUVともなれば、胸躍る人も多いはず。さすがポルシェと唸る走りも堪能できます」(川端さん)