「若い人が買える国産スポーツカー」というカテゴリーも今はあってないようなもので、スポーツクーペが各メーカーから雨後のタケノコのようにうじゃうじゃと発売されていた80年代を懐かしむ中年世代は多い。しかしそんな時代だからこそ輝くのが、貴重なコンパクトサイズのスポーツクーペ、スバル「BRZ」だ。初代型のみで消えることなく、昨年、見事なフルモデルチェンジを遂げた同車の魅力を探る!
■今回紹介するクルマ
スバル/BRZ
※試乗グレード:R・6速MT
価格:308万円~343万2000円(税込)
BRZの乗り味は安定性の高いセッティング
国産スポーツカーファンにとって待望のクルマとして、初代モデルが誕生したのは2012年。BRZは、スポーツカーにとって冬の時代に現れた救世主的存在だった。メーカー側の「若い人に乗って欲しい」という意図に反して価格はそれほどこなれていなかったが、それでもクルマ好きにとっては貴重な存在、通好みの一台としてもてはやされてきた。その流れを受けて、2021年夏、満を持して登場したのが2代目たる、この新型BRZである。
先代型同様トヨタとの共同開発モデルだが、クルマの心臓部たるエンジンはスバルの水平対向型が採用されており、メカニズム的にはスバルの存在感が大きい。トヨタ版は「GR86」で、車両のベースは同じ。バンパーの造形などデザインが異なる程度で、エンブレムを見なければ一般の人に見分けはつかないかも。乗り味についても、BRZは安定性の高いセッティング、GR86は回頭性が高いセッティングとされているが、一般人が一般道を走って判別できるほどの違いはない。
スポーツカーということで走りがいいのは当たり前だが、なんといってもコントローラブルなところが美点である。先代型から軽量化を進め、ボディ剛性も高めるなどして、ドライバーが意のままに操れる、クルマとしての素性の良さを向上させており、運転することの喜びをしっかり味わえる。これは運転のプロなどでなくても感じられる部分なので、試乗できる機会があればぜひ試してみてほしい。