最近、注目を集めているe-Bikeと呼ばれるスポーツタイプの電動アシスト自転車ですが、乗りたいとは思っていても、価格がハードルだと感じている人も少なくないのではないでしょうか。たしかに、e-Bikeは元々安いものではないですし、昨今の円安傾向や輸送費の高騰もあって価格は上昇傾向。そんな中で、昨年末に発表されたベネリの「MANTUS 27 CITY(マンタス 27 シティ)」は、17万7210円(税込)という価格もあって話題となっています。
発売前ですが、このe-Bikeに試乗する機会があったので、インプレッションをお届けします。
またぎやすい低床フレームを採用
「MANTUS 27 CITY」のベースとなっているのは、以前に試乗レポートをしたことがある「MANTUS 27 TRK」というモデル。ベースモデルと大きく違うのはフレーム形状で、トップチューブのないステップインと呼ばれるタイプとなっています。それも、単にトップチューブを廃しただけでなく、足が通る部分を低床設計としているのがポイント。小柄な人でも気軽に乗れる作りです。
そのほかにも、前後タイヤにはフェンダーが装備され、リアのキャリアやフロントのライトも標準装備。e-Bikeではありますが、普段の使い勝手に配慮したモデルになっています。スタンドも安定して車体を支えられる両足タイプで、フロントに装着できるバスケットもオプションで用意されているとのこと。通勤や通学にも安心して使えるモデルといえそうです。
ハンドル形状は手前に向けてゆったりとカーブしたもの。握りやすい形状でグリップもエルゴノミックタイプとするなど、長時間走っても疲れにくい設計です。サドルも快適性を重視したタイプで、お尻が痛くなりにくい。
シンプルな見た目を実現するアシストシステム
e-Bikeの心臓部であるドライブユニットはAKM製のハブモータータイプを採用。後輪の軸(ハブ)とモーターが一体となっているので、車体の中央に搭載するタイプのドライブユニットと違って目立たないので、電動アシストであることがわかりにくくなっています。バッテリーもフレームに内蔵されるタイプとなっているので、こちらも自転車のデザインを邪魔しないスッキリとした見た目です。
変速機構はシマノ製の「TOUNEY(ターニー)」グレードの7段。チェーンカバーが装着されているので、ズボンの裾などをチェーンに巻き込んでしまう心配がありません。
e-Bikeらしいスムーズなアシストを体感
e-Bikeとしては非常に求めやすい価格となっている「MANTUS 27 CITY」。ママチャリタイプの電動アシスト自転車に+α程度の価格で購入できます。そこで気になるのは、やはり走行性能でしょう。e-Bikeにはかなりのモデルを試乗してきましたが、多くは“値段なり”の走行性能なので、高いものはそれなりに上質な乗り味で、逆に安いものはアシスト制御の緻密さなどに差がある印象です。このモデルはどうなのか、実際に走り回ってみました。
走り出してすぐに感じるのは、アシストの制御が自然でe-Bikeらしい完成度になっていることです。低価格の電動アシスト自転車だと、ペダルを踏み込んだ瞬間に思った以上のアシストが立ち上がってしまったり、逆に遅れてアシストされるようなモデルもありますが、これはそうした違和感がなく、ペダルを踏んだ力にきれいにアシストが上乗せされるような印象です。
フレームの形状はステップインタイプで、フェンダーやキャリアなどの装備も使い勝手を重視した作りですが、乗り味はスポーツタイプのe-Bikeに近いフィーリング。その印象に効いているのが、サドルの真下にペダルが位置するようなフレーム設計です。スポーツタイプの自転車では一般的な設計ですが、この配置だとペダルを漕ぐ際に太腿の裏側やお尻の筋肉が使えるので、長時間乗っても疲れにくいというメリットがあります。
アシストの力強さを体験するため、坂道も走行してみました。マウンテンバイクタイプのe-Bikeなどと比較すると、力強さという点ではやや劣りますが、街中にある坂道程度であればまったく問題なくスイスイと登っていけます。アシストモードは3段階に切り替え可能ですが、登り坂では最も強力なモードに入れておいたほうが良さそう。あとはペダルを回しているだけで、急な坂でも座ったまま登れます。
非常にリーズナブルな価格を実現しながら、e-Bikeらしい乗り味を実現しているベネリの「MANTUS 27 CITY」。低床フレームなど気軽に乗れる設計ですが、実際に乗り回してみると自然なアシストフィーリングもあって、遠出もしてみたくなるような完成度です。3月発売とのことなので、新生活のスタートに合わせて導入すれば、行動範囲を広げてくれるでしょう。
撮影/松川 忍
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