乗り物
2016/12/5 11:00

THE真面目! ヤマハ発動機「PAS」の新型ファミリーモデルは堅実なモノづくりで堅実にスペックアップ

1993年にヤマハ発動機が世界初の電動アシスト自転車をリリースしてから23年。常に業界をリードする同社から、2017年モデルとして20インチの小径ファミリーモデル「PAS Kiss mini un」「PAS Babby un」が発売される。

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↑左:PAS Babby un     価格14万4720円(2017年1月27日 発売予定) 右:PAS Kiss mini un 価格15万1200円(2017年3月1日 発売予定)

 

ユーザーからの不満を徹底的に改善

本製品は幼児2人同乗基準を満たしつつ、取り扱いや子どもの乗せ降ろしが容易な20インチの小径ホイールを採用した電動アシスト自転車。2017年モデルでは、ユーザーの不満に対応するべくイチから設計を見直したとのことで、モデル名としてフランス語で“1”を意味する“un(アン)”と名付けたそうだ。

 

特に不満の声が多かった「車体が重い」「小回りがきかない」という点に関しては、車体のコンパクト化と2016年モデル比で2.7~2.8㎏という軽量化を実現。そのほか「スタンドが掛けにくい」という声に対しては、ハンドル連動型ストッパーを採用したスタンド位置への変更、「急坂でのアシストが弱い」という声に対しては、シリーズ最高レベルのアシスト力へとパワーアップ、というように、一つひとつ堅実に対応。ユーザーの声に真摯に向き合う姿勢は、さすが業界のパイオニアといったところ。20161202_y-koba_yamaha_7

 

特徴的な“コクーンルーム”と“ゴツカワ”デザイン

新型モデルとして登場した「PAS Kiss mini un」には、フロント部分に「コクーンルーム」と呼ばれるチャイルドシートが装着されている。その名の通りコクーン(繭)のようなデザインになっており、包みこむようにして子どもの全身をしっかりとガード。フロントカバーはワンタッチでスライドダウンする。従来のモデルに対して15㎝ほど低い位置で乗降させることができるのも大きな魅力だ。また、安全性と快適性を両立する5点式シートベルトには、装着しやすようにベルトフックが設けられており、お尻の下に挟みこんでしまうこともない。

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一方、“ゴツカワ”と表現される「PAS Babby un」は、フロント部分にポリカーボネイト製のバスケットを装備。チェーン部分にはパンツの裾を巻き込まないフルカバータイプのチェーンケースを採用するなど安全性にも細かな配慮がなされている。後部のチャイルドシートはカジュアルなデザインとなり、ママだけでなくパパも使えるユニセックスな印象を受けた。

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また、両モデル共通の仕様として、デザインを一新した液晶5ファンクションメーターが採用されている。大きな液晶画面は視認性が高く、バッテリー残量や時計が常に表示されるなど使いやすさが向上。さらに、走行中に子どもが操作部を触って電動アシストが切れてしまうことを防止する「電源ロック機能」も追加され、安全性が高められている。

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小径タイヤのデメリットを感じさせないバツグンの安定感

今回の取材では、実際に新型モデルに試乗するチャンスが与えられたのだが「PAS Kiss mini un」「PAS Babby un」ともに、電動アシストの優秀さを実感させてくれた。誰かに背中を押してもらっているような不思議な感覚があり、急な上り坂でもグイグイと力強く進む。ペダルを強く踏み込んだり、サドルからお尻を上げて踏ん張ったりすることもなく、常に安定したペダリングが可能だ。電動のアシストによって漕ぎ出しが軽いので、子どもや買い物の荷物を積んだ場合でもハンドルがふら付くことはないだろう。

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走行モードには「強モード」「標準モード」「オートエコモードプラス」が用意され、坂道の角度に合わせて切り替えることで抜群の登坂力を発揮。内装3段のギアを装着しており、電動アシストの恩恵もあって頻繁にギアを変えることなくオートマチックな感覚で走ることができた。小径タイヤには路面の影響を受けやすいというデメリットも存在するが、アルミ素材を使用したフレームがうまく衝撃を吸収しているようで、段差を乗り越えた時でも不安を感じることはない。

 

また、既存の8.7Ahと同じ大きさで容量40%アップを実現した12.3Ahバッテリーの採用により、充電回数を減らすことに成功している点も見逃せない。気になる充電一回あたりの走行距離は、強モードで40㎞、標準モードで50㎞(PAS Kiss mini unは49㎞)、オートエコプラスで58㎞(PAS Kiss mini unは60㎞)となっている。

 

抜群の安定感と安全性、ユーザーの声をダイレクトに反映させた快適性の高さは電動アシスト自転車の世界を大きく進歩させたといっても過言ではない。前年対比で11%もの成長を遂げ、その多くは新規ユーザーという電動アシスト自転車市場。実用的で環境にも優しいヤマハ発動機の電動アシスト自転車は、これからも市場を牽引していくに違いない。

 

【SPEC】

ヤマハ PAS Kiss mini un/PAS Babby un

●全長×全幅×サドル高:1720×580×730~865㎜ ●タイヤサイズ:20×2.125HE ●適応身長:142㎝以上(幼児2名同乗時:146㎝以上) ●車両重量:30.3㎏(30.7㎏/PAS Babby un) ●アシストレベル:★★★★★★ ●電動機形式:プラシレスDCモーター(240W) ●変速方式:リヤハブ内装3段 ●バッテリー:リチウムイオン電池 ●電圧:25.5V ●容量:12.3Ah ●充電時間:約3.5時間