夏はアイスコーヒーが飲みたくなる季節。仕事の合間についつい何度もアイスコーヒーを飲んでしまう人も多いのでは? 実は、アイスコーヒーは日本だけの飲み物ではなく、海外にも相当する飲み物が存在します。しかし、日本のようにスーパーやコンビニで販売されるほどポピュラーではありません。
筆者はコーヒー産地の南米コロンビアに住んでいるため、「コロンビアでは夏にアイスコーヒーを飲む習慣があるのか?」と聞かれる機会が多いです。しかし、そのときは必ず「ない」と答えています。それは、そもそもコロンビアにはそもそも日本のように「夏が来た!」といえるほどの気候の変化がないから。そして、地域によってはアイスコーヒーのように冷えたものを飲まない地域もあるからです。
コロンビアは暑そうなイメージに反して意外と寒い国
コロンビアに夏自体がないというと少し違うのですが、年中ほとんど気候に変化がありません。季節ではなく、その地域の標高、海に近いかどうかが、地域の気候を決定づけます。
コロンビア各地の日中の気温を比較すると、標高2600メートルの首都・ボゴタが20度、標高1500メートルの第2の都市・メデジン25度、沿岸部の第3の都市・カリ30度、コロンビアでいちばんの標高2900メートルの都市・イピアレスが15度となっています。
気温は季節ではなく、朝晩に大きく変化する傾向にあるのです。ちなみに筆者が住んでいるのは第2の都市メデジンで、年中春のような気候で「常春の都市」といわれています。
年間を通して気温の低い地域のイピアレスではホットコーヒはよく飲まれますが、アイスコーヒーを飲む習慣はありません。アイスコーヒーを飲むと、さらに寒くなってしまうからです。
それでは気温の高い地域のメデジンやカリではどうか? 同様に、アイスコーヒーを飲む習慣はほとんどありません。ほとんどと言ったのは一部例外があるから。例外については後半でご説明します。
しかし、その代わりに「Guarapo(グアラポ)」「Avena(アベナ)」という冷えた飲み物を飲むことが一般的です。
コロンビアでアイスコーヒー的な「Guarapo」「Avena」
「Guarapo」は簡単に言うと、サトウキビのジュース。沖縄のサトウキビジュースをイメージする人もいるかもしれませんが、甘すぎることなく、意外にフルーティー。
ピーチジュースにしょうがを少し足したような味で、非常に飲みやすいです。日本では飲んだことのない味。定食と一緒に出されることも多いですし、冷蔵庫に常備している家庭も多いです。
作り方は簡単で、「Panela(パネラ)」と呼ばれるサトウキビの砂糖を固めた丸い固形物をお湯に入れて20~30分ほど煮てからレモン汁をたらして、冷やすだけ。もちろん、冷やさずにそのままホットで飲むこともできます。
「Guarapo」は路上でもよく販売されているため、いかにコロンビア人が「Guarapo」を好んで飲んでいるのか分かります。路上の「Guarapo」はサトウキビそのものから絞ったものなので、非常に濃厚な味です。
もうひとつの「Avena」は、オートミール、水、ミルク、砂糖、シナモンをミキサーでかき混ぜた飲み物。
「Guarapo」と同じく冷やして飲みますが、甘いながらもさっぱりしていて飲みやすいです。これも日本では飲んだことのないような味ですが、定食についてくるほどコロンビア人が好きな飲み物。
それではコロンビアにアイスコーヒーなんて存在しないのかと言われると、そういうわけではありません。夏に飲む習慣がないだけで、あることはあります。
スターバックスやフアン・バルデスなどのコーヒーチェーンでは、クリームを山盛りのせたスタイルのアイスコーヒーが大人気です。大体300~400円ほどで販売されています。
アイスコーヒーはコーヒーチェーンが集中している都市部では飲まれているのです。ただ、コロンビア人にとってのアイスコーヒーは日本人にとってのアイスコーヒーほど一般的な飲み物ではないというだけ。
これからコロンビアコーヒーをアイスで飲むときは、日本で独自の進化を遂げたものと思って味わってみてはいかがでしょうか?