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2018/3/9 17:00

ロシアで「そり」が進化中! シートベルトを搭載で、ただ「座るそり」からクルマのような「乗り物」へ

ロシアは1年の半分以上が雪です。そんな冬にかかせないものといえば「そり」。そり遊びはもちろん、冬の子どもたちの移動手段といえばこれしかありません。特に小さい子供たちは雪で足を取られなかなか前に進めないので、習い事だってなんだって移動はすべてそりを使います。そして最近、そのそりが進化して使いやすくなっているのです。本記事では、現在ロシアで人気急上昇中の最新2機種を紹介します。

 

あらゆる天候に対応する全天候型そり

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そもそも、そりはいつから使われるかご存知でしょうか? なんとなく「雪が降ればすぐに」というイメージかもしれません。しかし、そりは意外にも使用期間が限られているのです。ロシアでは1年の半分以上雪が降っているとはいえ、冬の初めと終わりは天候が安定せず、すぐ雪が溶けてしまうので、そりは使えません。そんな時期も含めて活躍するのが、「全天候型そり」です。

 

この全天候型そりのポイントは、座面の後方についているバーです。これを足で下げるだけで、収納されていた4つの車輪が出てきます。これにより、雪がないアスファルトなどの上はこの車輪で台車のようになるのです。雪がある面に差し掛かったら、後方のバーの隣にある取手を足で押すだけで車輪が収納されるので、1アクションで素早くトランスフォームでき、雪面を進むことができます。

 

この機能のおかげで、いままで完全に雪が積もっているときにしか使えなかったものが、雪が降り始める9月ごろから雪が残っている5月ごろまで、約3倍ほども使用できる期間が長くなりました。このそりの価格は約1800ルーブル(日本円で約3600円)。天候に左右されず、9か月間も使い続けられ、しかも使い勝手が良いと考えると、このそりはお得です。

 

ドライバー気分で乗れる「スノーカート」

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もう1つは雪上のゴーカート、「スノーカート」という商品です。移動にはもちろんのこと、子ども主体でアクティブにそりを楽しむために作られています。

 

ストライダー型のそりで、左右の車輪部分がスキー板のようになっています。前方にはハンドルと連動するもう1つの小さめのスキー板がついています。これによって、坂を滑る間など自分で操縦することが可能になります。自分で握るハンドルはさながらドライバー気分で、移動時はもちろん、特に下り坂でのそり遊びに本領を発揮します。ただ単に「座る」だけというのが従来のそりでしたが、これはまたがって「乗る」というものなのです。大人が引っ張るための紐もついており、平坦な道でもスイスイ進むことができます。

 

さらに、このスノーカートは従来のそりとはまったく異なった座面になっています。そりと言えば座面が硬く、決して座り心地が良いとは言えませんでしたが、こちらにはクッション性があり、座り心地も良くなっています。また座面に人気キャラクターのデザインが印刷され、車体自体のカラーバリエーションも多く、かわいい系からカッコイイ系まで見た目がとにかく魅力的です。こちらの価格は約2000ルーブル(日本円で約4000円)。冬の移動と遊び、両方に活躍してくれます。

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人気の理由はデザイン性だけではありません。安全性も大幅に向上しています。例えば、いままでなかったブレーキ機能が搭載されており、前方中央のツメを足で押せばブレーキに。左右のスキー板部分はが倒しないよう、きちんとバランスを取ってくれます。新開発のそりのなかには、背もたれにシートベルトがついているものもあり、小さい子どもが落ちないようになっているのです。通常のそり以上にアクティブな動きができるスノーカートだからこその安全性への気遣いが、お母さんの心を掴んでいます。

 

子どもが自分で操縦するタイプのそりはこれが初めて。まるで雪上を走るゴーカートのような気分が楽しめます。1歳半ごろから乗せることができ、体重は100キロまでいけるので大人も遊ぶことが可能。接地面であるボードがなめらかに滑っていくので、大人も思わず絶叫してしまうほどの楽しさです。あまり日本人には馴染みがありませんが、最近ではそりを導入するスキー場も出てきているようです。

 

最近では、モスクワ市内も従来型のソリを見ることは少なくなりました。操作性、利便性、デザイン性、そして安全性がすべてアップした新しいそりは、雪とともに暮らすロシア人家族にとって不可欠なアイテムとなりそうです。