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2018/5/7 20:00

アメリカで初めて日焼け止めが禁止へ――。陸海空で見るハワイの環境対策

ハワイの州議会で、現在熱く議論されているのが、日焼け止めの販売と流通を禁止するという法案。ハワイ周辺の海にあるサンゴ礁を守るための運動のひとつとして注目されているんです。年間で940万人(2017年実績)も訪れる世界有数のリゾート地ハワイでは、積極的な環境対策を実施しなければ、あの美しい海や山を維持することは難しいのが現実なのかもしれません。

 

「海」から考えるハワイの環境対策

最近、ハワイのニュースで盛んに報道されているのが、ハワイ州議会で討論されている、日焼け止めの禁止法案について。美しいサンゴ礁があり、格好のシュノーケリングスポットとして知られるオアフ島ハナウマ湾で昨年行われた調査で「オキシベンゾン」という化学物質が検出されました。オキシベンゾンは日焼け止めに含まれる物質で、紫外線から肌を守る働きがあるのですが、これがサンゴ礁に有害であると考えられているのです。

 

非営利団体ハエレティクス環境研究所によると、オキシベンゾンのような化学物質は若いサンゴ礁に染みこみ、脱色を促進。するとサンゴ礁のなかに生息する藻類が死んでしまい、サンゴ礁は白化してしまうのだとか。そのため、オキシベンゾンとオクティノクセイトという物質を含む日焼け止めの使用と販売を禁止する法案が提出されたのです。

 

日焼け止めを販売するメーカーなどからは反対意見があるものの、この法案は先日議会を通過。あとはハワイ州知事が署名を行えば、アメリカでこのような日焼け止めを禁止する法案を成立する初めての州となり、法案の施行は2021年1月からとなります。

「陸」ではレジ袋が有料化

また、陸上における環境対策では、ハワイではスーパーのレジ袋の有料化が実施されています。これは2015年から施行されている法案で、スーパーでの全面的な有料化に踏み切ったのは、ハワイがアメリカで初めての州です。

 

ご存知のように、プラスチックのレジ袋は天然資源を枯渇させ、さらに使い終わったレジ袋は自然分解されないため、海や山のゴミとなり動物が誤飲するといった被害が出ています。そこで始まったのが、レジ袋の有料化。店によって異なりますが、レジ袋の値段は1枚あたり$0.1ほど。法案施行前まではスーパーにマイバックを持参するような人はほとんど見かけることがなかったのに、いまではマイバックを持ってくる人やあまった段ボールに商品を入れて持ち帰る人などが多く見られます。日本でも同じようにレジ袋を有料にするスーパーも一部ではありますが、どの店も有料という取り組みは、やはり人々の環境への意識へ大きな変化をもたらしていると感じます。

 

「空」では電気自動車で二酸化炭素を削減

↑ホノルルで販売されている電気自動車

 

最後にご紹介したいのが、大気汚染へのハワイの対策について。日本でも、環境にやさしい電気自動車への注目は高まっていますが、ハワイでもその動きは同じ。特に、アメリカ本土に比べてガソリン価格が高いハワイでは、維持費を安く抑えられる電気自動車の導入が進んでおり、ショッピングセンターの駐車場にはたいてい、充電ステーションが設けられ、充電中の車を頻繁に見かけます。

 

ハワイは2045年までに電力を100%再生可能なエネルギーに変えるという目標を掲げており、電気自動車の導入も積極的に後押ししているんです。

 

ハワイは小さな島であらゆる資源が限られています。そのため、「環境対策をすすんで行わなければいけない」という意識が特に高いのかもしれません。