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2018/7/27 19:30

AI研究者にも衝撃! サルや鳥に続いてミツバチも「ゼロ」を理解していた

何もないことを意味する「ゼロ」という概念。これは、モノの数を数える以上に高度なことで、幼い子どもは「ゼロ」について理解することは難しいそうです。そんな「ゼロ」をミツバチが理解していることが最新の研究で判明しました。今後のAI技術にも転用できる可能性があるというミツバチの能力とは、どんなものなのでしょうか?

 

「ゼロ」の概念を持つのはヒトだけではない

「ゼロ」には、2つの概念があると考えられています。ひとつは「存在が何もない」という意味。もうひとつが、「0、1、2、3…」という順列としてのゼロです。「ゼロ」の考え方は古代インドで生まれたといわれ、これによって位取りや計算が飛躍的に進歩しました。

 

しかし、目に見えるモノを数えることと違って、何もないことを「ゼロ」と捉えることは、人間の子どもであっても理解することは簡単ではありません。そのため、動物などにはできない、人間ならではの概念であると長く考えられていました。

 

しかし、2015年に東北大学の研究チームが、サルの脳に「ゼロ」に強く反応する細胞があること世界で初めて発見。言葉や数字記号がなくても、「ゼロ」を認識できる可能性が示唆されたのです。

 

ミツバチが「何もない=ゼロ」と認識

サルの他に、鳥についても、「ゼロ」を認識することがわかっていましたが、今回の研究者たちが注目したのはミツバチでした。ミツバチは、他のミツバチの複雑な技術を学んだり、一致するモノと異なるモノがわかったり、高度な知能を持っている昆虫だと知られています。

 

科学誌「サイエンス」に発表された内容によると、研究者はまずミツバチに数を教えるところからスタート。四角や三角のマークが複数描かれたカードを用意して、マークの数が少ないカードの方を選ぶように訓練しました。たとえば、四角いマークが4つ描かれたカードと、3つ描かれたカードを見せた場合、3のカードを選ぶという具合です。

 

そして、何もマークが描かれていないカードと、1つ以上のマークが描かれたカードを見せたとき、ミツバチは真っ白なカードの方を選んだというのです。白いカードを見せたことはなかったのに、「何もない」ということが、他の数字よりも少ないものだと理解していたとわかります。

AI研究に応用

今回の発見は、AI研究に転用が期待されると言われています。たとえば、人が道を横断するとき、車もバイクも自転クルマも何も来ていないと確認して、渡っても大丈夫だと判断します。しかし、同じことをAIが行う場合、クルマ以外にも家や街頭など様々なものが存在する複雑な環境下で、「道を渡るのに危険なモノがゼロである」とジャッジすることは簡単なことではありません。

 

ヒトの脳には860億のニューロン(神経細胞)があるのに対して、ミツバチのニューロンはわずか100万足らず。そのため、ミツバチがなぜこれだけ少ないニューロンで「ゼロ」を理解できたのか、注目されているんです。ミツバチの脳を研究することで、もし「ゼロ」を認識するシンプルなメカニズムが判明したら、AIに転用できるのではないかと期待されているのです。

 

小さな脳しかないミツバチが「ゼロ」を理解するとは、驚くべき発見だと、神経科学などの専門家の間では受け止められています。もしかしたら、ミツバチと同じ能力を持つ動物や虫がもっと存在するのかもしれません。