食の都サンフランシスコで、フードコンサルティング会社として25年間、350以上もの新商品を開発し、コストコをはじめ国内外の大手食品会社から地元レストランのシェフに至るまで、幅広いクライアントを持つCCD Helmsman。前編では、現地で同社のパートナーを務めるハースさんからお話を伺ったアメリカの最新「食」トレンドについてお伝えしました。後編では、現在アメリカで話題となっている間食や五感を使った食べ物、そして注目を集めている食事療法をご紹介します。
(前編)米国の食ブームが「和食」に結構近い!? 話題沸騰中の「プラントベースド・フード」とは?
【その1】間食が悪いとは限らない
アメリカの食事情において、いま話題となっているトピックに間食があります。家から職場そして取引先、さらに子どものお迎えに習い事など、1日に複数の場所を移動することが当たり前の現代社会。アメリカでも1日3食の食事形態が崩れ始め、移動しながら食べられる間食がむしろ食事の機会として捉えられつつあります。そのため、その内容においても無添加やオーガニック、ノンシュガーなど、健康志向の食品が主流となっています。
そのなかでも、持ち運びやすい食べ切りサイズの商品が特に人気。サラミやチーズ、ナッツといった定番を始め、最近はフリーズドライのイチゴやアボカドが携帯食品として出回っており、より食事に近いものとなると乾燥したサラダスナックなども出てきています。乾燥サラダの価格は500円ほど。中身には、ほうれん草、キャベツ、ニンジン、ヒマワリの種、そして青汁でおなじみのケールなどが入っています。サラダにはドレッシングの味がしっかりついており、サウザンアイランドやラズベリービネガー、アメリカで人気のランチドレッシング風味から選ぶことが可能。
【その2】五感で楽しむ食べ物も人気
さらに、アメリカの若者を中心に広がりを見せているトレンドとして、マルチセンサリー・フードと呼ばれるジャンルがあります。マルチセンサリー・フードとは、味や匂いはもちろんのこと、見た目や音、食感といった五感を刺激する飲食物の総称として使われており、これまでのアメリカにはなかった新食感やフレーバーなどを求める若者の間で話題沸騰中。甘味、酸味、苦み、さらさら感、カリカリ感、もちもち感など、異なる味覚や食感が同時に味わえるものが人気を集めており、日本では定番ですが、お餅にアイスクリームが入った雪見だいふくのようなデザートも認知度を高めているとのことです。
そのなかでも特に注目されているのが「アフリカの調味料」を使った食べ物。例えば、チュニジア料理に欠かせないハリサという唐辛子ペーストや、エチオピア料理に使われるバレバレという香辛料で味付けをしたスナック菓子やバター、ピザなどが新商品としてスーパーに並ぶようになってきているそうです。ナイジェリア生まれでアメリカ育ちの女性が立ち上げたスープ会社なども登場しており、スイカの種やピーナツバターのスープなど、いままでなかった味や食感が話題を呼んでいます。