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2019/5/8 21:00

14歳少年が世界を変える! プロの投資家たちを唸らせた話題沸騰の「超エコシャンプー」

毎年、飲料水やシャンプー、ボディーソープなどで使われるプラスチック製ボトルが大量に捨てられています。アメリカだけでも、1200個のフットボールスタジアムに相当するプラスチック製ボトルの廃棄物が、埋め立て地や海洋に蓄積しているそう。アメリカは国レベルでみると、地球温暖化対策の推進を目指したパリ協定から脱退するなど、世界における環境問題の考え方と逆行しているように思われる点もありますが、スタートアップを含めた企業ではプラスチック問題への動きが活発になっています。

それを示す一例が、プラスチックゴミがまったく出ないシャンプー「NOHBO」。洗濯ジェルボールのようなパックに入ったシャンプーで、お湯で濡らしパックを溶かして使う製品です。しかし、その驚くべき点は、開発者が14歳の少年だということ。本稿では次世代を担うこの若い開発者と2019年6月発売予定の本製品についてご紹介します。

 

母が使っていたジェルボール洗剤で閃く

↑NOHBO創業者のBenjamin Stern君とプラスチック製レジ袋

 

このシャンプーの開発者はBenjamin Stern君。海が美しいことで有名なフロリダ州出身の少年です。彼が初めて「ビジネス」を始めたのは、12歳の頃。とは言っても最初は、ご近所にコーヒーやクッキーを販売して、その利益を慈善団体に寄付するというものでした。

 

14歳のある日、彼は生物の授業でプラスチックボトル業界についてのドキュメンタリーを目にします。それによると、リサイクルされない大部分のプラスチックは、バスルームから出るシャンプー・ボディーソープ・シェービングクリームなどの空ボトルだったのでした。それを知った彼は、それらをプラスチック容器を使わずに作れないか考えました。そしてその時、母親が洗濯に使っていたジェルボール洗剤を見て、これと同じように作ればよいのではないかと思いつきました。

 

ただ、実際に商品化するとなると起業資金が必要になります。けれども、少年であっても「起業しよう!」と考えるのがアメリカらしいところ。彼は「Shark Tank(ビジネスアイデアをプレゼンして、審査員を務める投資家から投資をしてもらう人気テレビ番組)」に出演します。

 

ここで彼は、NOHBOのプラスチックフリーシャンプーのアイデアを提案し、審査員から「番組史上最も優れた製品」と大絶賛を受け、その場で目標資金額の25%である10万ドルの投資を見事獲得しました。さらに番組の反響は大きく、放送終了後にはわずか3日で目標金額の200%を達成。そして、その後もYoung Entrepreneur Awardや Influencive Top 30 under 30 Entrepreneurなど、若い開発者を対象とした賞を数々と受賞しました。

 

NOHBOの特徴

NOHBOは、洗濯洗剤のジェルボールがしずく形になったようなものです。シャンプー・コンディショナー・ボディウォッシュ・シェービングクリームが、水溶性フィルムに包まれています。この特殊フィルムは、サトウキビ由来の水溶性植物プラスチックでシャワーなどの温水に当てると3〜4秒で溶け、通常と同じように使えます。1回で使い切れる分量でパッケージされ、ゴミもまったく出ません。従来のシャンプーのような詰め替えも必要ないので、手間もなく衛生的です。また、すべてアメリカ製で、ペットボトルより軽いので、出荷コストも安く抑えられるのです。

 

一番の開発ポイントでもある特殊フィルムとその中身は、硫酸塩・パラベン・防腐剤・人工香料不使用で、動物実験も行われていません。小さい子どもの誤飲防止に敢えて苦い風味をつけてありますが、食べても問題ないレベルで作られており、万が一、自然界に流出しても中身の成分はもちろん、パッケージも生分解性の植物プラスチックなので、自然界で分解されます。人体はもちろん、動物や環境にも徹底的に優しい製品なのです。

14歳のこれから

Shark Tankで成功したことで、NOHBOは一躍有名になり、彼のアイデアに賛同する研究者や協力者が多数集まりました。現在はフロリダ州メルボルンに「Nohbo Labs」を運営しており、2019年6月の発売に向けて、日焼け止めやシェービングクリームなどの新たな製品開発や販促活動に取り組んでいます。

 

今後、Benjamin君が取り組む仕事のひとつが「大手ホテルチェーンとのタイアップ企画」。旅行業界でも環境に配慮した動きが広がっており、例えばマリオットインターナショナルは、2019年7月までに6500を超える同社の全ホテルからプラスチックストローをなくすことを決定しています。これによって年間10億本以上のプラスチック製ストローが削減されるとのこと。

 

同様に米ディズニーリゾートも2019年半ばまでに、すべてのリゾート内およびすべてのクルーズでプラスチックストローの使用を中止する予定(東京ディズニーリゾートは対象外)。これにより年間1億7500万のストローと1300万を超えるマドラーが削減される予定です。これに加えて、ポリスチレンカップやビニール袋などのプラスチック製品も軽減し、再利用可能な代替品の提供を計画しています。そのようなホテル業界にNOHBOのプラスチックフリー製品が投入されることはこれからあるのでしょうか? 若きリーダーの活動を見守りたいですね。