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2019/9/11 19:00

そんなものから食べ物が!? ロンドンで開催中「将来のフード展」で見つけた面白いもの3選

いまロンドンで注目されている展示会といえば、ビクトリア・アンド・アルバート博物館の「FOOD: Bigger than the Plate」展です。これは自然とのかかわり方やサステナビリティをテーマとした将来のフード展で、革新的な展示物が勢ぞろいしています。本稿では、著者が実際に行ってみて特に印象深かった3つの展示物についてご紹介しましょう。

 

[その1]コーヒー豆でキノコ栽培

↑コーヒー豆を使ったキノコ栽培 © GroCycle

 

キノコといえば、森林のなかで栽培するものだというイメージがあると思いますが、実は使い捨ての豆かすを利用してキノコを栽培することができるんです。キノコのなかでも特にヒラタケはコーヒー豆と相性が良く、この栽培方法に適しているそう。

 

コーヒー豆を利用する利点は、通常のキノコ栽培のプロセスで高圧蒸気釜などを使って行われる「培地殺菌」という手間を省くことができ、結果的にエネルギーの消費量を抑えることができること。さらに場所を選ばずにキノコ栽培ができるようになるので、大都市への運送費用を抑え、排気ガスの削減にも貢献できます。ビクトリア・アルバート博物館内のカフェで利用されたコーヒー豆も、キノコの栽培に使われているそう。

 

[その2]食べれるボトル

プラスチック製品の廃棄問題は地球規模で深刻化していますが、この問題を背景に開発されたのが「食べることができるボトル」です。通常のペットボトルと異なり、海藻を原料とする自然細胞膜で作られているのがその特徴。この膜に液体を入れてペットボトルの代わりに使うというわけです。

↑こちらは本展示会の「食べれるチケット」© Victoria and Albert Museum

 

具体的な使い方としては、水やジュース、カクテルなどの飲み物を入れたり、お弁当用にマヨネーズやソースなどを入れて持ち運んだりすることが可能。特に飲料水をたくさん必要とするスポーツイベントにおいては、ペットボトルの削減に大きく貢献できると言われています。

 

[その3]人間のバクテリアから培養したチーズ

バクテリアと聞くと、つい病原菌をイメージしてしまう方もいるかもしれませんが、人間の体内には良いバクテリアも存在しています。この良いバクテリアを使ったチーズ作りがこれまでに様々な場所で試みられてきたのですが、今回は数々のセレブリティーたちが参加して話題に。チェシャーチーズはロックバンドのBlurに所属するアレックス・ジェームズ氏、コンテチーズは有名シェフのヘストン・ブルメンタール氏、チェダーチーズはシンガーソングライターのSuggs、モッツアレラチーズはラッパーのProfessor Green(上の画像の左側)など、イギリスの有名人から採取されたバクテリアが使われています。

 

チーズの独特な匂いはバクテリアが原因のひとつ。このバクテリアの状態は人間の身体のなかに存在しているものと似ています。通常のチーズ作りでは、最初に培養菌をミルクに入れて凝乳を助けます。人間のバクテリアを使用したチーズも同様のプロセスで作られ、セレブたちの身体の一部から綿棒で摂取した培養菌は当初、ある程度の大きさになるまで研究室で育てられました。最終的には、それぞれのチーズは匂いも微生物群も採集元の人物とそっくりになるのだそうです。

FOOD Bigger than the Plate at V&A © Victoria and Albert Museum, London

 

これらの展示のほかにも、ブドウやパイナップルの皮を材料として作ったワインのボトルや使い捨てのコーヒー豆で作ったコーヒーカップなど、コンポストを利用したユニークな作品が数多く展示されていました。

 

革新的かつ未来的なFOOD展は、将来の食べ物について考える良いきっかけとなるでしょう。2019年10月20日まで開催しているので、ロンドンを訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。

 

Victoria and Albert Museum

[住所]Cromwell Road, London, SW7 2RL

[開館時間*]平日: 10.00 – 17.45 金曜日: 10.00 – 22.00 *閉館15分前に展示会は終了

[日本語ウェブサイト]http://www.vam.ac.uk/content/articles/v/v-and-a-japanese-language/

・Food: Bigger than the Plateの展示場所: Gallery 39とthe North Court

・チケット料金: 大人£17(約2200円)。毎週金曜日のみ£10。12歳以下は無料

 

執筆者: ラッド順子

 

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