子どもを一瞬で虜にするよしお兄さん流の“遊び体操”とは?
園内見学と対談も佳境をむかえ、次はいよいよ、よしお兄さんに体操を披露してもらうことに。「よしお兄さ~ん!!」と園児の歓声に迎えられ、壇上に上がったお兄さん。エジプトからのみなさんも見守る中、スタートした“遊び体操”への反応は?
山上 園児たちの盛り上がり方がすごかったですね! この広い体育館でこれだけの人数の子どもをまとめ上げるだけでも驚きます。マイクも使わず演じられるんだ、と日本側の先生方も感心されていましたよ!
小林 普段は声が小さいんですよ。「え、なんて言ったの?」て聞き返されるくらい(笑)。でも子どもたちの前に出ると自然とスイッチが入る。番組収録の時もマイクは使わなかったです。ある時、感覚的に気が付いた瞬間があったんですね、子どもに伝える、届けるちょうどよい声の緩急に。
山上 エジプトではアルファベットを教える時も「もっと大きく声を出して!」と声を張り上げさせるので、研修員にも新鮮だったと思います。みなさんも途中から一緒になって踊ってましたよね(笑)。
山上 エジプトは、踊りや歌を取り入れていても、「上手くやろう」とか「キレイにみせよう」という意識が先行してしまい、こんな風に笑いあったり拍手し合ったりして「楽しむ」という形はあまり見られません。
小林 プロの運動選手を育てることを目指しているわけではないのですから、「上手にやる」事がゴールではないし、正解でもないんですよね、保育って。私自身もまだまだ勉強中ですが、それこそ“遊び”の要素を取り入れた保育現場で“プレイリーダー”のような存在になりたいと考えています。今後は、そのための場所や環境づくりもしていきたいですね。
“エジプト版よしお兄さん”の誕生に期待!?
山上 “プレイリーダー”という発想、素敵ですね。先ほどもおっしゃっていた、子どもたちの「憧れ」となる象徴的存在でありながら、一緒に楽しく遊ぶ相手というか。
小林 そうですね。私も番組が始まった当初は肩ひじ張ってたんですよ、それこそ声も張り上げて上手くやろうと。ただ子どもにしてみれば、前に立つ人が楽しく遊んでいさえすればいいんだって、気がついた。自分はただ“入口”を開いてあげる存在になればいいんだと。“近所のお兄ちゃん”感覚で接するだけでいいというか。
山上 なるほど。指導者という感覚を外した時、遊びを通じた学びの入口が開かれると。
小林 実際、エジプトの方々も表情がどんどんほぐれて、動きが自由になっていきましたよね、共に遊ぶ時間を通して。お互いに引き出しあっている。
山上 そう、エジプトの人って本来は本当に自由なんですよ。それこそ“エジプト版よしお兄さん”が現地で生まれてくれたらいいのに。
小林 ぜひ(笑)。ただ、私自身は日本の幼児教育もまだまだこれからだと思っていますし、今回は日本の教育を振り返る良い機会にもなりました。今後はむしろエジプトから逆輸入的に新しい“遊び”を取り入れていくこともあるかもしれませんよね。施設が不十分という環境を逆手にとったら、オリジナルが生まれるかも。
山上 エジプトでもぜひ、よしお兄さんの“プレイリーダー”としての在り方を伝えたいです。今回、お会いできてさらにやる気が湧いてきました。本当にありがとうございました!
山上千秋(JICAエジプト事務所職員)
やまがみ ちあき。JICAエジプト事務所所員。2018年6月よりエジプトに勤務し、基礎教育分野を中心に各種プロジェクトを担当。幼児教育分野では、日本の遊びを取り入れた保育を現地に導入し、保育の質を改善していくため、エジプト側関係者と日本側関係者の橋渡しに努めている。
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