飛行機といえば、円筒形の胴体に翼がついている形が一般的ですが、未来はV字型の飛行機が普通になるかもしれません。
KLMオランダ航空が現在、オランダのデルフト工科大学と共に開発を進めているのが「フライングV」。機体がV字型にデザインされた飛行機で、つい先日そのプロトタイプの試験飛行が行われ、V字型飛行機が空を飛ぶ様子が公開されました。
フライングVが発表されたのは、KLMオランダ航空が創立100周年を迎えた2019年のこと。従来の飛行機なら円筒状に伸びる胴体がV字型では2方向に別れ、そえぞれに客室と貨物室、燃料タンクがあります。
フライングVの大きさは長さ55m、高さ17mで、乗客定員は314人であるのに対して、現在の最新型旅客機のエアバスA350-900は定員数がほぼ同じですが、長さは66.8m、高さ17.1m。前者の長さはエアバスA350より短いものの、同じくらいの乗客数が飛行可能です。
しかも、まるで空を自由自在に飛び回る鳥のシルエットのようなV字型のデザインは、空気力学を考慮した設計になっているだけでなく、軽量化も進み、エアバスA350より燃料消費量が20%も低くなるそうです。
そして先日、このプロトタイプの試験飛行が行われ、その模様が公開されました。プロトタイプは全長約2.5mと実際の1/22のスケール。機体内部にコンピューターを搭載し、各種飛行データを収集したそうです。
公開された動画では、リモートコントローラーで操縦されながら、フライングVのプロトタイプが滑走路を走り離陸、やがて空を飛び着陸する様子がわかります。従来の円筒形ではなく、胴体がV字に2方向になっていることで、離着陸や飛行時の安定感などに懸念があったかもしれませんが、プロトタイプの飛行ではそのような障害は見られなかったようです。
フライングVの実用化は2040年~2050年などと報じるメディアもあり、実現にはまだ数十年かかるかもしれません。ただ、これまでは円筒形が当たり前だった飛行機が、未来にはV字型が一般的になる可能性もあるようです。