最高気温が35度以上になる日を「猛暑日」と気象庁が2007年に定義してから、毎年当たり前に使われているこの言葉。年々、夏の厳しさが増し、春や秋も温暖になっていると感じられますが、最近発表された論文によると、北半球では2100年までに1年の半分が夏になるかもしれません。これから季節はどうなってしまうのでしょうか?
約60年間で夏が2週間以上増加
中国の科学技術の最高研究機関・中国科学院の海洋物理学者たちのチームが、1952年から2011年の北半球の日別の気候データを使い、春夏秋冬のそれぞれの長さと季節の変化について調べました。1年のうち最も高かった気温を基準に、その気温から25%以内の気温だった日を「夏」に、1年のうち最も低かった気温を基準にそこから25%以内の気温だった日を「冬」と定義し、北半球で過去の四季の長さについて導きだしました。
すると、1950年代は4つの季節の長さがほぼ均等で、季節の移り変わりは予測しやすいものだったとわかったのですが、1952年と2011年で平均的な四季の期間を見ると、次のような結果になるとわかったのです。
・春:124日→115日に短縮
・夏:78日→95日に延長
・秋:87日→82日に短縮
・冬:76日→73日に短縮
つまり4つの季節のうち、夏だけが17日と2週間以上長くなり、春、秋、冬は短くなっているのです。おまけに春と夏は季節の始まりが早まり、秋と冬の始まりは遅くなっていることもわかりました。
このまま夏が長くなり、それ以外の季節は短くなる傾向が続くと仮定した場合、研究チームが予測した2100年までの四季は次のようになります。
2100年までの春夏秋冬
・春:1月18日~5月5日(約108日)
・夏:5月6日~10月19日(約167日)
・秋:10月20日~12月17日(約59日)
・冬:12月18日~1月17日(約31日)
夏が6か月近くの長さになり、冬は12月中旬から1月中旬までのわずか1か月だけに短縮されることになります。
もしこの四季が現実となったら、植物の生育サイクルが変わり、農業や生態系などに大きな影響を及ぼし、花粉が長い期間飛んで人々を苦しめたり、病気を媒介する蚊が生育エリアを拡大したりする可能性も考えられます。
【出典】 Jiamin Wang et al, Changing Lengths of the Four Seasons by Global Warming, Geophysical Research Letters (2021). DOI: 10.1029/2020GL091753