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2021/4/29 5:30

言語は電気信号!「ハエトリグサ」との会話が世界を救う

アサリやハマグリのような二枚貝が口を閉じるように、トゲがついた2枚の葉で虫を挟み込み捕食するハエトリグサ。この食虫植物と人間がスマートフォンを通して「会話」する技術が、最近シンガポールで開発されて話題となっています。一体どんな仕組みなのでしょうか?

↑人間とも少し話せます

 

植物は、周囲の環境を感知したり、それに対応したりする際、電気信号を発しています。この働きを研究する分野は植物電気生理学と呼ばれていますが、植物の電気信号はとても微弱で、植物の表面に電極をしっかり設置できないと検知することができません。

 

この問題に取り組んだのが、シンガポールの南洋理工大学の研究チーム。心房や心室に伝わる電気信号を波形として書き出す心電図検査にヒントを得た彼らは、伸縮性に優れた直径3mmのハイドロゲル状のデバイスをハエトリグサの茎の部分に装着したところ、光合成に影響を与えないまま、ハエトリグサの電気信号を読み取ることに成功したのです。

 

次に同研究チームは、以下の動画でわかるように、この装置をハエトリグサの葉につけて、スマホ経由で電気パルスを送信してみたところ、1.3秒で葉を閉じるように誘導することができました。さらに、彼らはハエトリグサの2枚の葉をロボットアームにつけて、同様の装置で電気パルスを送ったところ、ロボットアームの先端についたハエトリグサの葉は、直径0.5mmの針を「食べる」こともできました。

 

また、南洋理工大学の研究チームは、シンガポール科学技術研究庁との共同研究で、室温で液体からゲル状に変化する「サーモゲル」と呼ばれる物質が、植物のさまざまな形や質感に対して有効であるうえ、一般的なヒドロゲル(水を媒介とするゲル)の4〜5倍も強力に接着させることができると発表しています。このサーモゲルを電気信号読み取り装置と組み合わせれば、ハエトリグサ以外の植物でも、電気信号を使ったコミュニケーションができるようになるかもしれません。

 

同研究チームによると、この技術は農業分野に応用できるとか。植物の異常な電気信号をいち早く検知できると、農作物の病気などに早期に対応し、農作物の収穫量を増やすことに繋がるかもしれません。食糧不足や気候変動の農作物への影響を考慮すると、その意味は大きいでしょう。

 

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