ファストフード店などでよくある「Buy One Get One Free(1つ買うと、もう1つは無料)」のサービス。お得感が満載でつい買いたくなるものですが、イギリスでは2022年4月から脂肪分や糖分の高い食品でのそのようなサービスが法律で禁止される予定なのです。なぜそんなルールができるのでしょうか?
イギリスで4月から新しくできるルールは、「Buy One Get One Free」の頭文字をとった「BOGOF(ボゴフ)」と呼ばれるサービスの禁止。飲食店からアパレルまで、さまざまなお店でこの種のセールやキャンペーンが展開されていますが、イギリス政府は、脂肪分や糖分の高い食品においてBOGOFを禁止することに決めました。
その理由は、イギリスでは肥満の人が増えているから。最新の統計で、イギリスの成人の63%(およそ3分の2)が太りすぎや肥満に分類されています。同時に子どもの肥満も増加中。学齢期の子ども全体では27.7%が太りすぎ、または肥満であり、10~11歳に限ってみると、その割合が40.9%にまで拡大しているのです。
さらに追い打ちをかけるように、新型コロナのパンデミックが発生し、運動が少なく食事量が増える生活が広がり、肥満化が加速していると指摘されています。実際、イギリスではロックダウン(都市封鎖)中に家庭での食品の購入量が増加。しかもロックダウンが終わっても、その購入量は維持されたまま。ロックダウン中の食生活や運動が現在でも続いている可能性があります。
そこでイギリス保健省は、肥満対策の一環として「ニュー・ベター・ヘルス・キャンペーン(New Better Health Campaign)」を発表し、部分的にBOGOFを禁止する方針です。
広告も制限
同キャンペーンでは、子どもたちがテレビやインターネットをよく視聴する午後9時前までの時間帯で、脂肪分・糖分・塩分の多い食品の広告放映も禁止しています。
がんに関する研究機関「キャンサー・リサーチUK」の調査によると、テレビなどに放映された食品広告のおよそ半分(47.6%)は、脂肪分・糖分・塩分の多い食品で占められていたとのこと。しかも、子どもの視聴がピークになる午後6時から午後9時の時間帯に、この割合は60%に達していたのです。
そのため、イギリス政府は、ファストフードやジャンクフードなど肥満を助長するような食品の広告を、子どもたちの目に触れにくくすることで、子どもたちを健康的な食生活に誘導していきたい方針です。
イギリスなどの先進国における肥満はコロナ禍前から重要な問題であり、事態は悪化している模様。イギリスの取り組みがどのような効果を生むのか注目です。