運動した後に、なぜか気持ち悪くなることがあります。遊びや気分転換のために身体を動かしたのに、逆に気分が悪くなってしまっては台無しですよね。一体なぜこのようなことが起きるのでしょうか? 最近、イギリスの解剖学者が2つの説を述べました。身体が気持ち悪くなる仕組みを知れば、その予防ができるかもしれません。
イギリスのランカスター大学で解剖学を研究するアダム・テイラー教授によると、運動中や運動後に気持ち悪くなる原因として次の2つの説が考えられるとのこと。
1: 運動前の食事
食事をすると胃が広がり、消化のための酵素などが分泌され、胃の筋肉が活発に動いて消化活動を行います。このとき胃腸には、消化のために多くの酸素や血流が必要。しかし運動すると、身体の筋肉や肺、心臓が活発に動き、その部分の血流が増加。運動中は胃腸に向かう血管を最大で8割ほどまで狭くして、その分だけ多くの血流を筋肉や肺などの活動に使おうとするそうです。
つまり、運動の前に食事をすると、胃腸が酸素や血液を必要とするのに、胃腸以外の組織も酸素や血液を必要とする事態となり、それによって吐き気を催す可能性があるのです。ちなみに、マラソンランナーのような持久力が求められるスポーツを行っている人は、長時間胃腸にわたる酸素と血流が減ることから、胃腸が弱い可能性が高いのだとか。
2: 臓器の圧迫
運動前に食事をとっていない場合でも、運動によって気持ち悪くなることがあります。それは運動によって胃などの臓器が圧迫されることがあるから。例えばスクワットを行うとき、肺は大量の空気を取り込み、それによって横隔膜が強く押し下げられます。そして、呼吸のたびに腹部の臓器が圧迫されるため、気持ち悪さを感じることがあるのです。
予防法
運動しても気持ち悪くならないために注意することはあるでしょうか?一番にできる方法としては、やはり運動前に食事をとらないことです。食べ物が胃から小腸にたどりつくまでおよそ2時間かかるので、運動する前の2時間は食事をとらないほうが良さそう。
また、運動前にとる食事の内容にも注意が必要です。消化が遅いものは食べ物が長く胃にとどまるため、その分吐き気をもよおす可能性が高くなります。繊維量が多く、高脂肪・高たんぱくの食べ物は避けるべき。さらにエナジードリンクやソーダ、スポーツドリンクなども運動中の吐き気と関係があると言われています。
運動は強度の低いものからゆっくり高いものに上げたり、運動の前後に十分な水分を取ったりすることも大切。運動してスッキリと気分よく終われるように、これらのことに注意してみてはいかがでしょうか?