花の都と呼ばれるパリ。そのイメージとは裏腹に、このフランスの首都は以前からネズミに悩まされてきたことをご存知でしょうか? これまでにパリはネズミを撃退しようと対策を講じてきたものの、あえなく敗れてきました。そして先日、戦略の見直しを発表。戦いを諦めたパリは、ネズミと共存する道を模索することにしたのです。
パリとネズミの物語は大昔までさかのぼります。14世紀に中世ヨーロッパで腺ペスト(黒死病)が流行した際、ネズミはその原因とされました。しかし、19世紀後半に普仏戦争でパリがプロイセン王国に包囲された際、ネズミは貴重な食べ物になったそう。
近年では、パリにおけるネズミの数は600万匹前後で安定して推移していたとされていますが、それでもパリ市民にとっては不快でした。パリは2017年に170万ユーロ(約2億5700万円※)を投じて、対ネズミ計画を実施。この作戦では、密封されたゴミ箱をパリ中に導入したり忌避剤を広範囲にまいたりしました。しかし、この攻撃もネズミを倒すには不十分だったようです。
※1ユーロ=約151.2円で換算(2023年6月14日現在)
逆に、2023年春に発生したごみ収集員のストライキによってパリ中がごみだらけになり、ネズミが反撃に出たのではないかと見られています。
そして6月上旬、パリはネズミと平和に共存するための調査委員会を設置せざるを得なくなりました。この動きは賛否を呼んでいます。政治家の中には「パリはこれに甘んじてはならない」と落胆した声がある一方、動物愛護団体は今回の動きを前向きに評価し、「有害生物の駆除ではない方法を支持する」と声明を発表しています。
果たしてパリ市民はネズミとの共生社会を実現することができるのでしょうか?
【出典】
Politico. Paris needs to learn to live with rats, mayor concedes. June 9 2023
CNN. Can humans and rats live together? Paris is trying to find out. June 10 2023