先日、花王が大々的に発表した衣料用洗剤「アタックZERO」は、同社が10年以上かけて開発したという新たな洗浄基材「バイオIOS」を採用していることが特徴です。
このバイオIOSは、従来の界面活性剤では難しいと言われていた“水に溶けやすく、油にもなじみやすい”という性質を持ち、洗剤の溶け残りがなく、すすぎも早く、衣類への洗剤残りもなく、汚れ落ちにも優れており、さらにこれまで利用されてこなかった食用パーム油(ヤシ油)の搾りカスから作られるため環境負荷も少ない、という夢のような成分となっています。
発表会の会場ではメディア向けに発売前の製品サンプルが配られたので、洗剤マニアの筆者としてはさっそく試さずにはいられず、実際に自宅で「アタックZERO」を使って洗濯をしてみました。
3つの革新を備えた次世代型洗剤
筆者は洗濯洗剤を「白物用」「色物用」「タオル用」「オシャレ着用」と、洗うものによって使いわけているのですが、これまでタオル用として花王「アタックNeo抗菌EX Wパワー」を愛用していました。
アタックNeo抗菌EX Wパワーは、国内の液体洗剤では唯一、「漂白剤」(過酸化水素)を配合していることが特徴で、特にニオイを落とす能力に優れており、部屋干し臭が発生しにくく、タオルが濡れたときのニオイ戻りもないところが気に入っています。
残念なことにこのアタックNeo抗菌EX Wパワーは、アタックZEROの発売にともない2019年3月末をもって廃番になることが決まっているそうなので、近所のホームセンターで大容量の詰め替え用をいくつかゲットしておきました。こうして筆者の洗剤コレクションはどんどん溜まっていくのです。
さて、アタックZEROですが、上記に挙げた新洗浄基材「バイオIOS」のほかにも画新的な特徴が2つあります。
ひとつは花王初となるドラム式洗濯機専用タイプをラインナップしていること。ドラム式はいわゆるタテ型よりも節水性に優れ、少ない水で洗えることが特徴ですが、たっぷりの水で洗うタテ型に比べて泥汚れ・スス汚れのような微粒子状の汚れが落としにくく、洗濯しても黒ずみが残ってしまうという声が上がっていたとのこと。
その悩みを解消するため、アタックZEROのドラム式専用タイプでは「節水対応ポリマー」をリッチに配合し、微粒子汚れをポリマーがキャッチして再汚染を防ぎます。ドラム式洗濯機のユーザーなら迷わずこちらを選びましょう。
もうひとつは、片手で軽量・投入が行える霧吹きのような形状の「ワンハンドプッシュ」ボトルを採用していること。ハンドルをプッシュする回数で量を調整できるので、誰でも手軽に使うことができます。
花王といえば、以前もオシャレ着用洗剤「エマール」で「ワンプッシュ計量キャップ」という仕組みを採用していましたね。これはボトルを押すと空気圧によって洗剤がキャップ部分に押し上げられ、キャップを外さなくても片手で軽量できる、という仕組みでした。私も使っていましたが、どうしても液モレしてしまいボトルがベトベトになるという欠点があったので、現行のエマールではキャップを外して軽量する一般的なボトルに戻されています。
今回のアタックZEROでは液モレは起きないのか? という点も気になるところです。
アタックZEROは蛍光増白剤フリーで微香性
まずはアタックZEROの基本情報をチェックしましょう。アタックZEROの液性は中性で蛍光増白剤は入っておらず、生成りや淡色系の衣類の洗濯にも使えます。酵素が配合されているので、しつこい汚れには浸け置き洗いが有効ですね。
液の色は淡いブルーで、香りは「清々しいリーフィブリーズの香り(微香)」と明記されています。現在愛用しているアタックNeo抗菌EX Wパワーは「リフレッシュアクア」という清涼感のあるフローラルオゾン調の香りですが、こちらのリーフィブリーズは樹木を感じさせる香りで、入浴剤によくある「森の香り」に近いと思いました。
最近では仕上げに柔軟剤を使う人も多く、洗剤自体の香りは微香性になりつつあるので、アタックZEROで実際に洗ったあとどれくらい香りが残るのか気になるところです。
実際にアタックZEROで洗ってみた
さっそくアタックZEROで洗濯をしてみましょう。今回は自前のタテ型洗濯機を使うので、ドラム式専用タイプではないノーマルタイプを選択しました。洗濯はぬるま湯による通常コース(洗濯8分、すすぎ2回、脱水9分)で、漂白剤や柔軟剤は使わずアタックZEROのみで洗い上げます。
製品には誤噴射防止のためのストッパーがついているので、使用前にこのストッパーを外します。アタックZEROのワンハンドプッシュボトルは、一般的なスプレーボトルのようにトリガーを引くものとは異なり、消火器のように上の部分を押して洗剤を噴射する仕組みになっています。そのため、誤って上に物を落としたりボトルが落下したりしてしまうと誤噴射してしまう可能性がありそうなので、個人的にはストッパーを捨てずに付けておき、使うたびに都度取り外すようにした方がいいかなと思いました。
洗濯機にぬるま湯を溜め、洗濯物を入れたあとにアタックZEROを直接洗濯層に投入します。ハンドルの上部を握るように持ち、軽く押すと「ビューッ」と勢いよく洗剤が飛び出します。しっかり噴射口を洗濯層内に向けていないと、洗濯層をはみ出してしまいかねませんのでご注意を。
アタックZEROの噴射口は液ダレしにくい設計になっているそうですが、使ってみると洗剤が少し噴射口に残ってしまいました。ボトルを軽く振って洗剤をしっかり切るか、タオルやティッシュなどで拭き取るようにした方がよいかもしれません。
使用量は、1プッシュが約5gで、5プッシュで従来のキャップ1杯分となります。水量に対する使用量自体は、現行のアタックNeo抗菌EX Wパワーと同じです。
最後の脱水まで終わったら洗濯ハンガーに干して、除湿機を置いた室内で乾かします。このとき、香りの強い洗剤や柔軟剤を使っていると室内中に香りが充満してしまうのですが、アタックZEROはかなり香りが抑えられていると感じました。完全に乾ききったあとはさらに香りが薄まっており、洗濯物を手に取って直接鼻を押し当てないと香りがわからないレベル。無臭とまではいきませんが、微香性の洗剤を求めている方や柔軟剤の香りだけを楽しみたい方にオススメできそうです。
乾いた衣類の部屋干し臭はありませんでしたが、ニオイ落ちについては従来のアタックNeo抗菌EX Wパワーが優秀だっただけに、若干劣るかな……という印象。ニオイをしっかり落としたいときは漂白剤をプラスするといいかもしれません。
肝心の汚れ落ちのほうは……普通に洗っただけでは判定しにくかったので、次はわざと汚したシャツを使って汚れ落ちテストを実施してみたいと思います。
●汚れ落ちテストの結果はこちらをチェック!!
→【2019年版】春の新洗剤を全部使って試してみた! 花王「アタックZERO&ハミング リンネ」編