フランスを代表するラグジュアリーインテリアブランド「Roche Bobois(ロッシュボボア)」が新作NATIV collectionを発表。今回のコレクションは、オランダのアイントホーフェン・デザイン・アカデミーで学んだデザイナー、ラファエル・ナヴォとのコラボレーションによるもの。有機的で官能的なデザインは、自然からのインスピレーションを源に、文化と自然とを交錯させ、上質な素材と伝統的な手工芸を駆使して表現しています。
同コレクションの発表に合わせて、ロッシュボボア東京店にてクリエイティブデザイナーであるニコラ・ロッシュによるプレゼンテーションが行われました。高級家具とは縁が遠い、だけどオシャレな部屋で暮らしたいと日々考えている編集部員野田が行ってまいりました。
ロッシュボボアは1960年に誕生したブランドで、約60年の歴史を持つインテリアブランドです。世界60か国に250店舗以上を展開し、日本では2017年4月、東京青山に日本旗艦店「Roche Bobois TOKYO」が誕生。2018年5月に「Roche Bobois TOKYO Nouveaux Classiques」がオープンしました。年に2回新作を投入しており、それぞれのコレクションは特徴あるものとなっています。そして、2019年に発表されたコレクションがNATIV collectionです。
「ラファエル・ナヴォとフランス・パリで展覧会をした時に、最初テーブルを依頼し、ラフ案でスケッチが上がってきました。そこで彼の木の素材に対するアプローチに、とても感銘を受けました。なぜなら、木は古来からずっと家具に使われている素材だからです。その流れから彼と仕事がしたいと思い、今回のコレクションの発表となりました。そして、テーブルも当初のデザインから改良されていったわけです。そこから派生してソファ、チェア、キャビネットも誕生しました」と、ニコラス・ロシュ氏。
NATIV collectionのデザインコンセプトは、一つは自然、もう一つは幾何学。それら、2つの要素を持ち合わせています。形や素材を重要視し、より長くユーザーに使用していただく、受け入れられるようなコレクションとなっています。
「木素材を大事にしたコレクションのため、塗装で素材自体をダメにしないように考えています。それは、日本の“ワビサビ”の精神にも通ずるところがあるかと思います。レザーに関しても、ブラッシュ加工した高級なものを使っていますが、素材の良さをしっかりと生かしたものとなっています」。いろいろと芸術観点から小難しい話をしていますが、フランスのラグジュアリーブランドに日本の美意識のひとつである“ワビサビ”に似た部分があるなんてホント驚きでした。たしかに木という素材には、温かみがあり、その無垢さを大事にすれば、それだけ高級感は高まるような気はします。
NATIV collection誕生のきっかけとなった「パッチワーク」テーブル。これは一枚のベニアの天板で仕上げるのではなく、小さくカットした板の方向をそれぞれ変えて組み合わせた、特徴のあるデザイン。パズルのように組み立てられた多数の木片で構成された驚くべき寄木細工の職人技が光っています。木目は各部分で異なり、素材を際立たせています。
続いては、ソファ「アンダーライン」。心地良さを追求したデザインで、とてもソフトでジオメトリーな要素も持ち合わせています。ソファを構成する各ピースがヘッドレストの周りを包み込み、ソファのベースとシートの間に下に伸びる薄いダウンでシルエットが強調されています。レザー生地はブラッシングしているので、赤ちゃんの肌のようにとても柔らかいです。大型3人掛け、3人掛け、2人掛け、カウチタイプなどのデザインを揃え、カラーバリエーションも豊富。実際に座ってみると、とてもお尻の沈み込み具合もよく、たしかに肌さわりもよく気持ち良かったです。こういう家具があるだけで、部屋の雰囲気も変わります。編集部の一室にこのネイティブコレクションの空間を作り込み、リラックススペースを構築してと、編集長に懇願しようと思いました。
その他、チェアやオットマン、ラグマットなどの家具も豊富に揃えたコレクションとなっています。最後にニコラス・ロシュ氏はこう言いました。「今回、ラファエロとコレクションが出せたことを幸せに思います。彼はとても才能のある若いデザイナーです。この家具はセットでなくとも、いち商品としてそれぞれキャラクターを持っていますので、素晴らしいコレクションに仕上がったことを、とても嬉しく思います」、と。
今回のNATIV collectionに実際に触れてみて、デザイナーズ家具はあらかじめ長く使うことを想定して作られている良さがあると感じました。質の高いこだわりにあふれた家具が身の回りにあると、自身もそれにふさわしい生活・人物になろうという意識が生まれる効果があります。それは良い意味でモチベーションとなり、仕事や日常の行動、発言となって表れることでしょう。