マンネリ化したインテリアを劇的にアップデートできるデザイナーズチェアを厳選紹介。「名作」と呼ぶにふさわしいイスの魅力、そして居住空間を最速で格上げするイス選びをインテリアのプロが解説する!
※こちらは「GetNavi」2023年6月号に掲載された記事を再編集したものです。
私が解説します!
スタイリスト 遠藤慎也さん
テレビや雑誌など幅広い媒体で活躍。名作デザイナーズチェアのビンテージをセルフリペアして愛用している。
いま、世界中のインテリア好きがジャンヌレに熱視線。
スイスの建築家、ピエール・ジャンヌレがインドで手掛けた家具群が、約半世紀の時を経て再び脚光を浴びている。世界中のインテリア愛好家を虜にするジャンヌレの魅力とは?
ビンテージ
ピエール・ジャンヌレ
イージーチェア
座面が低く、幅広で奥行きがありゆったりくつろげるラウンジチェア。経年で飴色に変化したチークのツヤや背面のラタンのステッチなど、ビンテージならではの風合いを感じられる。ジャンヌレが手がけた最も有名なイスのひとつだ。
ジャンヌレをイチから育てるセルフビンテージのススメ
ピエール・ジャンヌレは1950年代、近代建築の巨匠で従兄弟のル・コルビュジエとともに、インドの街チャンディーガルの都市計画に従事。公共空間のための建築や家具を総合的にデザインし、数千脚のイスが製作された。90年代に入ると老朽化が進み大量投棄されるが、その後、彼の仕事はフランスのギャラリーによって〝再発見〟される。
「2010年代にはラフ・シモンズら著名クリエイターが愛用し、人気が沸騰。16年にチャンディーガルがユネスコ世界文化遺産に登録されるとインド政府が輸出制限をかけ、希少価値の高いコレクションピースとなっています」(遠藤さん)
現在、ジャンヌレを買うには、オリジナルの「ビンテージ」と、復刻やオマージュとして意匠を継承する「現行品」(※)の選択肢がある。
「ビンテージはアートピースとしても存在感は十分。ただし値が張るので、現行品をイチから育てる〝セルフビンテージ〟という選択肢もあります。公共空間で日常使いされることを想定したデザインなので華美な装飾がなく、素朴で取り入れやすいのが魅力。学校や庁舎、図書館などで使われていた背景から、書斎のイスとして使うのもオススメです。世界的に再評価されたジャンヌレの価値は当分下がることはないはず。持っていて損はありません!」(遠藤さん)
現代のライフスタイルに馴染む素材と色にアップデート
オマージュ
カッシーナ
キャピトル コンプレックス オフィス チェア
アームレストを支えるのは、アイコニックな逆V字パーツ。無垢材を生かしたモダンなデザインを継承している。オリジナルと同じチーク材のほかオーク材2色も用意し、インテリアに合わせやすい。
(※)ここでは、意匠権の切れた製品について異なるメーカーが生産する製品(オマージュ、リプロダクト、 レプリカなどと呼ばれる)、および正規ライセンスの復刻版製品を合わせて「現行品」と表記