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2016/9/3 7:00

アナログレコードは一過性のブームなのか? 国内唯一のレコード盤工場見学で感じた底力

CDより高音質なハイレゾ音源や、手軽に楽しめる音楽ストリーミングサービスがブレイクする一方で、アナログレコードにも注目が集まっています。デジタル音源にはない「味」が、古くからのオーディオファンのみならず20~30代にも支持を受け、オーディオメーカーから続々とアナログプレーヤーの新モデルが登場中です。

 

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テクニクスの限定レコードプレーヤーは30分で完売!

アナログレコードのリバイバルブームをけん引している存在のひとつが、パナソニックのオーディオブランド、テクニクス。同ブランドでは、1972年からレコードプレーヤー「SL-1200」シリーズを発売しました。クラブシーンでは「標準モデル」となり、2010年に惜しまれつつ生産終了となったものの、高い人気を誇っていたシリーズです。テクニクスは、2014年にハイレゾ対応の高級オーディオブランドとして復活。今年4月には、待望のアナログレコードプレーヤーSL-1200GAEが国内300台(全世界1200台)限定でリリースしました。35万円オーバー(※)の高価格モデルにもかかわらず、予約開始わずか30分ほどで完売。人気の健在ぶりを見せつけました。

※税込価格。以降の価格表記もすべて税込

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↑予約開始後わずか30分で完売となった、テクニクス「SL-1200GAE」。シリアルナンバーが刻印されています

 

この「SL-1200GAE」をベースとしたレギュラー生産モデル「SL-1200G」が、9月9日に登場。仕様のほとんどは「GAE」と共通ですが、トーンアームがツヤ仕上げからマットになった点と、インシュレーターの色がシルバーからブラックとなり、内部素材がαGELから特殊シリコンラバーに変更となった点が主な違いです。価格も「GAE」と同じ35万6400円で高価だが、こちらもヒット間違いなしと言われています。

↑9月9日に発売される、レギュラーモデルの「SL-1200G」。仕様は「GAE」とやや異なりますが、価格は同じ35万6400円です
↑9月9日に発売される、レギュラーモデルの「SL-1200G」。仕様は「GAE」とやや異なりますが、価格は同じ35万6400円です

 

“最強トリオ”による「レコード再発見プロジェクト」とは?

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのテクニクスですが、アナログレコードのブームを一過性で終わらせることなく、その魅力をより多くの人に伝えるため「レコード再発見プロジェクト」を立ち上げました。これはテクニクスのほか、レコード盤製造の東洋化成、レコード針製造のナガオカによるコラボ企画。8月末日に東洋化成の末広工場でイベントを開催し、アーティストの土岐麻子さんを招いたトークイベントのほか、レコード盤のカッティングからプレスまでを行える国内唯一の同工場の見学ツアーが行われました。

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左から、ナガオカの寺村 博さん、土岐麻子さん、パナソニックの志波正之さん、東洋化成の石丸 仁さん。トークイベントでは、それぞれがレコードへの思いを語っていました。土岐さんは昨年12月にアナログ盤のアルバム「Bittersweet」をリリースしており、そのなかから「Beautiful Day」を、「SL-1200G」をはじめとするテクニクスのシステムで再生しました。まるで生音のような臨場感!

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レコード針のナガオカといえば、知る人ぞ知る老舗メーカー。桑田佳祐さんが6月にリリースした「ヨシ子さん」の歌詞にもその名が登場することで話題を呼んでいます。

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東洋化成の末広工場は、レコード盤のカッティングからプレスまでを行える国内唯一の施設。国内の歴代シングル売上ナンバーワンの「およげ!たいやきくん」も、同社が手がけたものです。

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テクニクス SL-1200Gに使用されているオーディオパーツの数々。素材選びから製法まで妥協することなくこだわり抜いたことで、多くのファンに支持される逸品を作り上げました。

 

工場見学ツアーで「レコードの作り方」を再発見!

トークショーのあとの行われたメディア向けの工場見学ツアーでは、レコード盤の「カッティング」と「プレス」という2つの工程を見ることができました。

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まずは、音源をレコードの「溝」に変換する作業であるカッティング。テープまたはデジタルデータで納品された音源を調整し、専用のカッティングマシンに出力して溝を刻んでいきます。ちなみに、このカッティングマシンは40年以上前に製造されたものです。壊れてしまったらどうするんだろう……?

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音源をカッティング用に調整するための機材。熟練のスタッフにより、レコードから出る音とマスターの音とが同じになるように仕上げます。

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続いて、プレスの工程。カッティングされたマスターを基に、レコード盤を量産していく作業です。

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レコード盤の素材となる塩化ビニールのかたまり。これをプレスして溝を入れるだけで音が出るというのだから、なんか不思議な気もします。

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スタンパー(レコードの基になるマスター盤)、塩化ビニール素材、ラベルを重ねて、専用のマシンでプレスします。プレス時は160℃の高温となり、100tもの負荷をかけるそうです。ちなみに、このマシンも30年以上も前に製造されたものとのこと。

 

前述したように、ここ東洋化成の末広工場は、レコード盤のカッティングからプレスまでを行える国内唯一の施設です。これまでの日本の音楽シーンを彩ってきた地であることは間違いありませんが、アナログレコードのリバイバルにより、音楽の新たな歴史がここから生まれてくる予感がしました。

 

【TOPICS】

現在テクニクスではSL-1200Gを2016年9月9日(金)までに予約購入すると、もれなくテクニクスオリジナルレコードがもらえるキャンペーンを実施中! 詳しくはコチラをチェック!