日立アプライアンスの冷蔵庫「真空チルド」シリーズといえば、チルドルームを真空状態にする「真空チルド」と、二酸化炭素を生成して食材の劣化を防ぐ「プラチナ触媒」を使った「新鮮スリープ野菜室」が大きな特徴でした。
今回発表された新モデルの「XG・WXシリーズ」は、この2つの技術を進化させたほか、肉・野菜の旨みや栄養を保つ「デリシャス冷凍」を新採用。先述の「真空チルド」「新鮮スリープ野菜室」と合わせ、「3本の矢」ならぬ「3つの技術」として打ち出しました。ではその3つの技術があると、具体的にどんな効果が得られるのでしょうか? 以下で詳しく見ていきましょう!
技術その1 「真空チルド」で肉も魚も鮮度をキープ
日立の冷蔵庫の最大の特徴は、名称にもなっている「真空チルド」の存在でしょう。チルド室とは、一般的には冷蔵庫よりも低い温度の冷蔵室のこと。多くの冷蔵庫は冷蔵室が約3~5℃、そしてチルド室は約0~1℃くらいに設定されています。このため、冷蔵室よりも肉や魚などの生鮮食品の鮮度をキープしやすいのです。
日立のチルド室の最大の特徴は、ルーム内の空気を真空ポンプで吸引し、室内の空気を0.8気圧まで抜く「真空チルド」機能です。空気を抜くことで庫内の酸素量を減らし、食材が酸化しにくくなるというメリットがあります。このため、普通の状態よりも鮮度や栄養素をキープ。また、完全密封状態で間接冷却するので、ラップなしでも食材が乾燥することがありません。
もうひとつの特徴が、チルド室内に搭載された「プラチナ触媒」の存在です。これは、肉や魚からでるニオイの成分を炭酸ガスと水分子に分解する機能。今回発表されたXG・WXシリーズでは、炭酸ガスの発生量を従来製品の1.5倍までアップした「新プラチナ触媒」を搭載しています。炭酸ガスの量が増えることで、さらに酸素濃度を減らし、酵素のはたらきを抑えて眠らせるように保存が可能。食材の鮮度の低下を抑制します。
そして、チルド室の温度帯も特徴的です。前述したように、一般的なチルド室の温度は約0~1℃なのですが、XG・WXシリーズはさらに低温な約-1℃の「氷温」設定が可能です。実は肉や魚が凍る温度は約ー2℃。これらの食材がギリギリ凍らず、しかも鮮度がより長持ちする温度が-1℃なのです。ただし、-1℃だと、チーズやハムなどの水分の多い食材は凍ってしまうことも。そのため、XG・WXシリーズでは、約1℃の「チルド」にも変更可能です。
技術その2 「新鮮スリープ野菜室」で野菜がシャッキリ
2つめの「鮮度を守る技術」が使われているのが、野菜室です。日立の冷蔵庫には、野菜室にも「新プラチナ触媒」を導入。この触媒は、野菜を老化させるエチレンガスやニオイ成分などを炭酸ガスに分解する性質があります。しかも、野菜室が炭酸ガスで充満すると、野菜は表面の気孔を閉じて呼吸活動が低下し、まるで眠ったような状態に。栄養素を消費が抑えられ、鮮度が落ちにくくなるのです。新モデルでは、従来は野菜庫の一部にしか適用されなかった新鮮スリープ保存効果を野菜庫のすべてに適用。さらに、従来製品より炭酸ガス濃度が1.2倍高くなりました。
野菜庫のもうひとつのヒミツが「うるおいカバー」の存在。うるおいカバーは、野菜庫上面を覆って庫内の密閉度をアップし、野菜庫内が乾燥することを防ぎます。新モデルでは、このうるおいカバーにパッキンを追加することで野菜庫内の密閉度をアップし、より野菜が乾燥しにくくなっています。
技術その3 「デリシャス冷凍」で熱い食材も素早く冷凍
最後の技術が、どんな温度帯の食材も素早く冷凍できる「デリシャス冷凍」機能です。一般的な冷凍庫は底面が熱伝導性の低い樹脂製ですが、デリシャス冷凍のエリアにはアルミのトレーがセットされています。アルミは素早く熱を吸収するため、このトレーに接地した部分から素早く冷凍できるのです。
従来の急速冷凍スペースは、自動製氷スペース横の狭く深さのある引き出しスペースでした。しかし、深さのあるスペースは冷凍したい食材を積み上げる必要があり、アルミトレーに接地しない部分が増えてしまいます。そこで、新モデルでは大きなメイン冷凍スペースの上段にデリシャス冷凍エリアを移動。アルミトレーの平面部面積は2.3倍に拡大しました。ちなみに、食材を重ねて保存することは想定されていないため、高さはかなり浅くなっています。このため、保存容積は従来モデルの「急速冷凍」ルームとほぼ同じです。
デリシャス冷凍の機能は、アルミトレーで素早く冷凍できるだけではありません。もうひとつの特徴が温度センサーの搭載です。デリシャス冷凍ルームは、炊き立てのご飯などの熱い食材を入れると、自動的に強い冷気をあてて急速冷凍するのです。実は、食品は-1~-5℃という温度になると、内部に氷結晶ができやすくなります。この結晶は食材の細胞を破壊するため、旨みや栄養が減少する原因となります。そこで、デリシャス冷凍は一般的な冷凍庫の半分の時間で食材を冷凍して(同社調べ)氷結晶の成長を抑え、一般的な冷凍と比べて食材劣化を抑えたといいます。
重い食材を入れても軽々使えるWXシリーズ
ところで、今回はXGシリーズとWXシリーズが同時に発表されました。両モデルの大きな違いは、電動引き出しの有無。最上位モデルとなるWXシリーズは、下段冷凍庫と野菜室がボタン一つで自動的に開く「電動引き出し」機能を搭載しているのです。また、WXシリーズのみ、業界最大容量(同社調べ)となる735Lという大容量モデルを用意しています。
ちなみに実売予想価格は、XGシリーズの容積量670Lモデル「R-XG6700G」が40万円、615Lモデル「R-XG6200G」が37万円、555Lモデル「R-XG5600G」が34万円、505Lモデル「R-XG5100G」が32万円、475Lモデル「R-XG4800G」が31万円、430Lモデル「R-XG4300G」が30万円です。また、上位モデルのWXシリーズは、735Lモデル「R-WX7400G」が47万円、670Lモデル「R-WX6700G」が44万円、615Lモデル「R-WX6200G」が41万円、555Lモデル「R-WX5600G」が38万円となります。
30万円以上と価格は高いですが、「3つの技術」により、冷凍室、チルド、野菜室のすべてに最新技術を搭載。あらゆる食材の鮮度を長く保ち、また栄養素も保つということであれば、この値段もリーズナブルといえるのかもしれません。
【URL】
日立アプライアンス http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2016/07/0721.html