春は花粉対策に空気清浄機、夏は扇風機、冬はヒーター。日本の狭い住宅事情にも関わらず、必要となる空調機器は季節によってさまざま。ところが、設置面積がA4サイズとコンパクトながら、これらの機能を1台に集約した製品が9月28日より発売開始されます。それが、スマートフォンと連携できるダイソンの空気清浄機能付ファンヒーター「Dyson Pure Hot+Cool Link(ダイソン ピュア ホット アンド クール リンク)」です。
ダイソンの技術が「全部入り」の新製品
Pure Hot+Cool Linkの特徴は、前述したようにコンパクトなボディに空気清浄機、扇風機、ヒーターの3つの機能を集約していること。また、スマートフォンアプリ「Dyson Link」に対応し、部屋の空気の状態を可視化したり、スマートフォンから操作することができます。ちなみに、ダイソンは同じように一台三役でスマートフォン連携機能を搭載していない「Dyson Pure Hot+Cool(ダイソン ピュア ホット アンド クール)」や、ファンヒーター機能を搭載していない「Dyson Pure Cool Link(ダイソン ピュア クール リンク)」もすでに発売しています。今回発売されたDyson Pure Hot+Cool Linkは、これら両製品の機能を「全部入り」にし、さらに新モードを搭載した製品です。
使いやすさはそのままに2モードを新搭載
新しく追加されたモードは「オートモード」と「ナイトモード」の2種類。「オートモード」は、本体に内蔵された汚れを検知するセンサーと連動。部屋の空気が汚れていると判断すると、自動的に風量を調整します。
また、Pure Hot+Cool Linkは風量を1から10の強さに調整できますが、「ナイトモード」では風量を4以下にキープすることで静音性を保ちます。また、本体前部には風量や温度を表示するLED表示がありますが、「ナイトモード」ではこの表示も暗くしなるので、眠りを妨げることがありません。
またPure Hot+Cool Linkでは、従来通り風を狭い場所にピンポイントで届ける「フォーカスモード」と、広い範囲で部屋全体に風を届ける「ワイドモード」の選択が可能。さらに首ふり機能も搭載しています。
小さいファンで強い風を生む「羽根のない扇風機」の技術を搭載
ところで、ダイソンといえば「羽根のない扇風機」で有名です。これは、本体下部の見えない位置にあるファンが空気を吸い込み、本体上部のリングに送るという仕組み。送られた風は、リングに搭載されたスリットから放出され、周囲の空気を巻き込んむことで風量を増幅します。このため、内蔵されているファンは小さいにもかかわらず、強い風が産み出されるのです。
ニオイや花粉のほかPM0.1レベルの超微細粒子も除去
Pure Hot+Cool Linkは、空気を取り込むフィルターに独自のフィルターを搭載しています。このフィルターは筒形状で、内側は活性炭フィルターになっており部屋のニオイや塗料などの刺激臭を除去。そして、外側にはマイクログラスファイバー製の「360°グラスHEPAフィルター」を巻き付けています。このHEPAフィルターは花粉やカビ、PM2.5サイズの汚れはもちろん、ウイルスをはじめとするPM0.1レベルの超微細粒子も99.95%捕集可能とのこと。このHEPAフィルターは、表面積を増やすためにプリーツ状に畳まれて収納されています。そのため、筒形フィルターの直径は約22cmほどのサイズですが、その全長は何と約6m! 空気清浄能力が高いのも納得です。
【動画】
汚れに見立てたスモークを満たしたボックス内部をPure Hot+Cool Linkで清浄するデモンストレーションも。約10秒でボックス内の煙が消えるのが確認できました。
ちなみに、本機の空気清浄能力は8畳で約30分とそこまで早くはありません。同社によると、これは強い風圧で急速に空気清浄を行うと、フィルターが汚れを取りこぼす可能性が出てきてしまうため。そこで、より捕集能力を高めるために、わざとゆっくり集じんさせているそうです。
Dyson Linkアプリ対応で外出先から操作ができる
またPure Hot+Cool Linkは、名前に「Link」とあるように、今年4月から開始したダイソンのスマート機能「Dyson Link」に対応しています。Dyson Linkは対応した空調製品とスマートフォンを連携させるアプリのこと。
このアプリでは、Pure Hot+Cool Linkに搭載されたホコリセンサーやVOCニオイセンサーにより室内の空気の汚れ具合をリアルタイムで表示。そのほか、室内の温度や湿度も表示してくれます。さらに、過去の空気の汚れの推移をグラフ表示させたり、スマートフォンをリモコン代わりに操作することも可能です。
また、製品とスマートフォンをWi-Fiでつなげば、室内はもちろん外出先でも使用可能です。これにより、たとえば帰宅1時間前にヒーターを入れて部屋を暖めて置くといった使い方もできます。センサーは本体電源を切っていても有効なため、外出先から部屋の空気の汚れ具合なども常にチェックできます。
寝室のカビはアレルギーの元となる昆虫のエサになる
発表会では、医療ジャーナリストの森田豊氏や、カビなどに詳しいエフシージー総合研究所環境科学研究室長の川上裕司氏、そして元フジテレビアナウンサーの政井マヤ氏によるトークセッションも行われました。
川上氏は「以前は湿気の多い季節だけカビ対策すればよかった。しかし、現在は高気密高断熱な家が普及し、一年中カビが繁殖しやすい環境になっている。また、カビによっては乾燥に強い性質のものも存在しており、通年のカビ対策が必須」とコメント。
川上氏によると、とくに重要なのが寝室とリビングの対策だそう。リビングに比べ、寝室の対策は軽視されがちですが、ベッドや本棚がある寝室はカビの宝庫。とくに、本によく繁殖するアスペルギルスというカビは、単体でもアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などを発症させる危険があるそうです。さらにこのカビは、アレルギーのもととなるチャタテムシという昆虫のエサにもなり、より部屋の環境を悪化させるのだとか。だからこそ、掃除が必要なのはもちろん、空気環境を整えることも重要だといいます。
「過敏性肺炎」の原因はウイルスではなくカビだった
一方、森田氏は最近話題の「過敏性肺炎」について言及。以前は、肺炎は細菌性のものだと思われていましたが、最近はカビが原因となる過敏性肺炎が注目されています。この病気の特徴は、3日ほど旅行などで空気がキレイな場所にいくと症状が治まること。ただし、カビがある環境に戻るとすぐに症状が再発するそうです。こちらもカビが原因のため、対策としては掃除や空気清浄機による空気環境の正常化が有効とのです。
さらに、森田氏はPure Hot+Cool Linkについて「空気清浄機能の性能の高さはもちろんですが、コンパクトなのにヒーター機能があるのが良いですね」とコメントしました。森田氏によると、日本は寒い脱衣所などの寒暖差で起こる「ヒートショック」による死亡者が年間1万7000人おり、これは交通事故による死亡の約3倍の数なのだそう。これを防ぐためにも、本機は有効に使えそうです。
さて、Pure Hot+Cool Linkの店頭参考価格は、税抜7万2800円。決して安くはありませんが、ファンヒーター、空気清浄機、扇風機を個別に買うことを考えたらどうでしょう? さらに、空気の状態を可視化でき、安心が手に入ると思えば、むしろコストパフォーマンスの良い買い物かもしれませんよ。