デロンギというと、エスプレッソマシンのイメージが強いですが、実はレギュラーコーヒーにも強いこだわりがあるメーカーです。そのデロンギが、日本の家庭環境に合った全自動コーヒーマシンのフラッグシップ「エレッタ ECAM45760B」を3月1日に発売すると発表しました。価格は24万円(税抜)。1日5-6杯のコーヒーを飲む身としては、本機でいったいどんなコーヒーができるのか、興味津々。今回、その説明会&試飲会が昨年10月に東京・原宿にオープンしたショールーム「デロンギ 表参道」で開催されたので、参加してきました。
“エスプレッソ”を外し「全自動コーヒーマシン」とした理由とは?
「新製品は“全自動コーヒーマシン”を名乗っている。これまでは“全自動エスプレッソコーヒーマシン”で活動してきたが、これだとエスプレッソのイメージが強い。当社のコーヒーマシンは、レギュラーコーヒーもカプチーノもエスプレッソも淹れることができ、どれをとっても世界最高峰という自負がある。だから今回から“エスプレッソ”を外した」と、冒頭のあいさつに立ったデロンギ・ジャパンの杉本敦男社長は力強く語ります。
タンクが横に配置され奥行きがスッキリ
今回発表したエレッタは、「全自動コーヒーマシンの最高峰」を謳っています。同社では既にフラグシップモデルとして「プリマドンナXS」を発売しており、両モデルは価格も同じです。では新製品は何が違うのか。1つはサイズ。プリマドンナXSは幅が195mmとスリムな半面、背面に水タンクを備えるため奥行きが500mmと長いです。一方、エレッタは幅が260mmと広いですが、奥行きは460mmと短くなっています。これは、水タンクを側面に移動し、前面から引き出して使えるようにしたためです。というのも、日本では、カップボードやキッチンカウンターの上に棚がある場合が多く、水タンクが背面にあるととても使いづらいという不満があったのです。このサイズ変更により、水タンクが1.35Lから2Lへ、豆ホッパーも100gから370gへとそれぞれ大容量化。豆と水の補給頻度が減り、使い勝手が良くなりました。
7種のミルクメニューを用意し飲み心地の変化が楽しめる
もう一つの変更点は、プリセットメニューの充実。カプチーノ、カフェラテ、ホットミルクに加え、エスプレッソマキアート、ラテマキアート、フラットホワイト、マイミルクが新たに搭載され、全7種類のミルクメニューが楽しめるようになりました。これらはミルクとコーヒーの比率、ミルクの泡の大きさを変えることで、味と飲み心地の変化が楽しめます。筆者はカプチーノ、フラットホワイト、カフェラテを試しましたが、それぞれ泡の大きさ、滑らかさの違いによって、印象がまったく違いました。改めて、泡の違いでコーヒーの楽しみ方はこんなに広がるものなのか、と気づかされた次第です。
プリマドンナXS同様、「カフェ・ジャポーネ」も搭載。こちらは日本市場のために開発された深蒸しレギュラーコーヒー機能で、間欠抽出で粉を蒸らしながら抽出します。豆のおいしいところだけを抽出するため豆は2回挽き、レギュラーの2倍の量の豆を贅沢に使います。また、ミルクが最も甘く感じる温度である60-65℃を維持する「ラテクレマシステム」も搭載しています。筆者も「カフェ・ジャポーネ」を試飲してみましたが、その味はさすがに別格。「これぞホンモノのコーヒー」という深いコク、香りが楽しめました。
また、デロンギの全自動マシンの特徴は、まさに「全自動」であること。他社の全自動モデルは「豆を挽く→抽出」の工程を自動化しており、その前の豆と水の計量や、使用後の手入れはユーザーがやらなければなりません。これに対してエレッタは、ボタンを押すごとに1人分の豆(レギュラーコーヒーならば8g程度)と水を自動で計量して、「挽き」から「抽出」まで自動で行います。
タンクの水を使って内部洗浄も自動で行う
使用後のお手入れに関しては、マシン内はほぼ自動。スリープモードに切り替わるときや電源を切るタイミングで、タンクの水を利用して内部のチューブを高温の蒸気で自動洗浄します。これにより、次に使うときはクリーンな状態でフレッシュなコーヒーが楽しめるのです。コーヒーカスは本体中央のケースに自動的にたまっていく仕組み。10-15杯ごとに捨て、フィルターは2週間に1回の頻度で水洗いするだけなので面倒はありません。
粒の大きさを均一に保つグラインダーを採用
最高峰を謳っていだけあって、もちろんコーヒーの味にもこだわっています。コーヒー豆を挽くグラインダーはコーン式(コニカル式)を採用。実はこの豆を挽くという工程は、コーヒーの香りと味に大きな影響を与えるそうです。低価格なコーヒーミルに使われているプロペラ(ミキサー)式はブレードで豆に打撃を与えて粉砕するため、挽いた後の粒の大きさが均一にならず雑味が出やすく、高速回転による熱で粉が酸化して香りが飛んでしまいます。一方、ミドルクラスのコーヒーマシンに搭載されている臼(グラインド)式は粒は均一ですが、摩擦熱によってやはり香りが飛んでしまうとのこと。デロンギが採用したコーン式は、円錐状のギアのような刃で豆を徐々に小さく切っていくため熱を持ちにくく、粒の大きさが均一に保てるそうです。
挽き目、豆の量、湯温の調整で自分好みの味を追求できる
細かいカスタマイズができるのもデロンギの特徴です。豆の挽き目の粗さは7段階で調節可能。挽き目を細かくすると濃く苦味が強くなり、粗くすると酸味が強くすっきりした味わいになります。前面の操作パネルでは1回に挽く豆の量、つまり味の濃さを5段階で調節でき、この2つの組み合わせることで、35通りの味の調節ができます。さらにお湯の温度も4段階で調節可能。温度が高くなるほどに苦味が強くなり、低くなると酸味が強く出るといいます。さすが24万円のコーヒーメーカー、全自動、味へのこだわり、カスタマイズ性とどれをとっても最高峰。本機が1台あれば、文字通り「おうちカフェ」が楽しめそうです。
とはいえ、価格は24万円……。前作の「プリマドンナXS」の客層は30~50代の男性、年収1000万円以上の高所得者とのことで、本機も同様の客層が手に入れることになるのでしょう。エグゼクティブが自室に置くような、まさに「成功者のコーヒーメーカー」というべきモデルですね。表参道店では、エレッタのタッチ&トライおよび試飲ができますので、購入を検討するひとはもとより、成功者の気分を味わってみたい人は、訪れてみてはいかがでしょうか。