ソニーが年初に海外で開催されたエレクトロニクスショーで発表した有機ELテレビをいよいよ国内で発売します。映像・音・デザインの出来映えはどうなのか? その全容に迫ります。
①【価格】東芝やLGよりもやや安価
2017年モデルの最注目株は有機ELディスプレイを搭載するブラビア「A1」シリーズ。2つのサイズ展開で、いずれもオープン価格ですが市場での想定売価は65型の「KJ-65A1」が80万円前後、55型の「KJ-55A1」が50万円前後を見込んでいます。
発表当初の想定売価を他社の有機ELテレビと比べてみると、東芝レグザシリーズは65型モデル「65X910」が90万円前後、55型の「55X910」は70万円前後。LGエレクトロニクスは上位の65型「65W7P」が100万円前後、「65E7P」が80万円前後なので、ブラビアA1シリーズのほうがやや安価からスタートを切ることになりそうです。なお、秋以降のタイミングで77型の有機ELテレビも導入を検討しているとのこと。
②【画質】ブラビアのもうひとつの「最高画質」
A1シリーズは、ブラビアのフラグシップモデルのために開発された映像エンジン「X1 Extreme」を搭載。その効果は、発色が鮮やかで解像感の高い4K/HDR映像に表れてきます。
高画質モデルというと、昨年に“ブラビア史上最高画質のフラグシップ”として発売された液晶テレビ「Z9D」シリーズを思い起こす方もいるかと思いますが、こちらも販売は継続。ソニーでは液晶のZ9Dシリーズと、有機ELのA1シリーズの両方を“ブラビアのふたつの最高画質”として位置づけながら、液晶の特徴である「活き活きとした明るさとコントラスト・階調感」、有機ELの特徴とされている「引き締まった黒色と暗部の豊かな階調感。点光源の煌めき」を再現できるテレビとして、それぞれの魅力をアピールしていくようです。店頭で見比べてみると画質の特徴が見極められると思います。
③【音質】画面から音が出る!?
A1シリーズの特徴は有機ELディスプレイを搭載していることだけではありません。個性的な機能のひとつである「アコースティック サーフェス」はテレビの画面から音が出るというユニークなもの。本体の背面パネルに振動を発生させる複数のアクチュエーター素子を配置して、DSPでコントロールしながら前面ガラスに振動を伝えて音を鳴らすという仕組みです。とても微細な振動なので画質に影響を及ぼすことはありません。
本体背面のスタンドには別筐体のサブウーファーを乗せて力強い低音域を再生します。ディスプレイの背面や、フレームの下側に向かって細いスピーカーを乗せるよりも、さらにクリアで明快な音像定位が得られるので、まるで画面に映っている被写体から直接音が出てくるような感覚が得られます。映像コンテンツへの没入感もひときわ高くなるでしょう。ソニーではA1シリーズが実現する「究極の画・音一体体験」を強くアピールしています。テレビの置き場所は床の上、ラックの上などそれぞれなので、置き場所を決めたあとで設定メニューから最適な音場感を調節することもできます。
④【デザイン】存在を“消す”ようなデザイン
そのほかに注目すべきは、本体のデザイン。1枚板のディスプレイはベゼル(パネル周囲の縁)を極限まで狭くして、映像と同じ位置から出てくる音への没入感を高めています。また、画面の背中からスタンドで支えるフォトフレームのようなデザインとしているので、テレビを正面から見るとまるで映像が空間に浮かんでいるような視聴体験が得られます。これはある意味、テレビの存在を“消す”ことを意識したデザインと言えるでしょう。ただ、フォトフレームのように三角に立てて置くスタイルになるので、ラックの上にのせる場合はある程度の奥行きサイズが必要になるかもしれません。スタンドを畳んだ状態にすれば壁掛け設置もできます。
そのほか、インターネットにつないで専用のアプリをインストールすることで、VODに音楽配信、ゲームなどが楽しめる「Android TV」に対応していることもトピック。他社の有機ELテレビと比べるときには、映像の出来映えのほかにも音質やデザイン、機能性などもチェックポイントとして意識しておくとよいでしょう。
なお、ソニーストアのシアタールームでは、6月11日まで予約制の特別展示としてA1シリーズを設置しています。この機会にソニーの有機ELテレビの実力を確かめてみてはいかがでしょうか。